4ホールに及んだ激闘 ラフやバンカーから勝負を託したのは
クジラ型と呼ばれるデザインがお気に入り。
通算9アンダーで並んだ安田、河本と中村心のプレーオフは、朝からの雨がより強くなる過酷な条件下での戦いとなりました。
1ホール目でボギーを叩いた中村が脱落し、そこからの3ホールは安田と河本の一騎打ち。計4ホールの全てで河本が2打目で使ったのが「XR OS ユーティリティ」(キャロウェイ)の4番でした。
発売は2016年の2月。河本は日体大に入学した頃から使っており、この年は出場した下部ツアー3試合でローアマに。翌2017年にはツアーの3試合でローアマになる活躍に貢献。使い始めて10年目を迎えたクラブは、もはや体の一部といえるぐらいになっていてラフやバンカーからのシビアな状況でも使うことを迷わないほど。
さらに「クジラ形」とも呼ばれる、アドレスするとヘッドのトウ側が頭で、そこからヘッドの後ろ側が描くカーブが背中のようにも見える独特のデザインもお気に入りで、手放すことができないそうです。
どうしても手放せない「クジラ形」 とはいえ溝のすり減りは…
これだけ使い続けているとフェース面の溝はすり減ります。
毎回スイートエリア付近でインパクトするトップ選手 ですから、ほぼ一定の場所に負荷がかかります。
その結果として生じるのが「雨だとフライヤーするんです。それが怖くて、怖くて」(河本)。
プロですから使う番手とその時の気象条件などで、キャリーでボールがどれだけ飛ぶかは予想できます。
ただし雨が降ると、溝がすり減ってインパクト時にボールとフェースの間に挟まった水が効果的に排出できなくなることでフライヤーが起きやすくなります。
プレーオフの舞台だった石坂GC(埼玉)の18番パー4はグリーン奥に外すとパーを取るのは至難なのでプレーオフでは命取りになりかねません。
その状況で「どれだけ転がるかわからない」(河本)クラブで打つのは恐怖との戦いですが、それでも使うのは絶大な信頼の証でしょう。
代替品は中古ショップかネットオークションで探すしかない
次に選ぶのは同じモデルか、最新モデルになるか。
こうなると「スペア」を用意した方が良さそうですが、これだけ古いモデルはメーカーにも在庫がありません。
同じモデルを使うためには、一般ゴルファーのように中古ショップで買うか、ネットオークションなどでゲットするしかありません。
中古クラブとしての相場は1万円前後ですが、さすがに状態のいいモノはなく、プロが試合で使えるコンディションかどうかは買ってみて現物を見ないとわかりません。
それだけに「替えるきっかけになりました」とモデルチェンジを決意したようです。
「頑張ってくれました」とクラブに対する思いやり
河本の今シーズンのポイントランキング(富士フイルム・スタジオアリス終了時)は4位。昨シーズンは7位でいずれもキャロウェイの契約選手では最上位です。
いわば「メーカーの顔」ともいえる立場ですから、代替モデル選びは全力でサポートしてもえるはずです。
そして近く“お役御免”となる見込みの「XR OS」に対しては「今日(最終日)は6回ぐらい使ったけど、よく頑張ってくれました」と、単なる道具ではなく試合で戦う上で欠かせないパートナーに対するともいえる思いやりの込められた言葉で表現しました。
さらなる信頼を置ける新たな「相棒」が見つかれば、女王争いの本命となりそうです。
(取材・文・写真/森伊知郎)




