4打リードのスタートホールでいきなりピンチ

初優勝へ向けて4打リードでスタートした入谷は1番パー5のティショットが左ラフへ飛びます。
2打目もラフで、3打目は木が邪魔でグリーンを狙えず花道へ。
次のアプローチは5メートルもショートするミスが出ました。

コース周辺で最大瞬間風速16.4メートルを記録したこの日は、予選を通過した上位50人のプレーだったにもかかわらず、平均スコアは73.72と3日間で最も悪くなりました。

とはいえスタートホールのパー5。まして18ホールで3番目にやさしいホールでボギーを叩くのは流れを悪くしてしまうことになりますが、パーパットはきっちり沈めました。

今週から投入したパター

ここで手にしていたのがこの試合から投入した「TPコレクション ブラック デルモンテ トラスヒール」パター(テーラーメイド)です。

「前のパターも悪かったわけではないのですけど、平均パット数を減らしたかったので」という入谷に今週、テーラーメイドのプロ担当が渡したのがこのパターでした。

特徴は市販品と違い、フジクラのカーボンシャフト(MC PUTTER)が挿されていることです。
入谷はパターのシャフトでスチールとカーボンの混合モデルは使ったことがあるものの、フルカーボンにしたのは初めてでした。

初体験のシャフトについて入谷は「バックスイングのブレ幅がない」と言いました。

「ブレ幅がない」

「ブレ幅」とは、バックスイングでヘッドが“よれる”ような、意図せぬ動きをしてしまうことを意味するのだそうです。
これがあると、ストローク中にフェースがあらぬ方向を向いてしまうことになります。

ラインの読みと距離感が正しくても、パターが意図しない方向に向いてしまうかもしれない…というのは勝負所では大変なストレスです。

とはいえ、この「ブレ」を人間の目で判別することはまず不可能。ハイスピードカメラの映像でわかるぐらいですが、入谷はこれを感じ取ることができるのですね。

新兵器のパターはシャフトに「MC PUTTER」のX-FIRM(エキストラファーム)フレックスが使われていました。
クラブ用でいうとXフレックスなので、3モデルの「MC PUTTER」で最も硬いモノです。

当然、余計な動きはしませんから、入谷の言う「ブレ幅がない」フィーリングに繋がったようです。

パット数は激減!

今大会3日間のパット数は29、25 、23と先週までの30.4884から激減!
最終日のパット数はこの日プレーした50人で最少でした。

ちなみにこのシャフトは入谷が指定したのではなく、あらかじめ挿さっているモノをレツアー担当が持ってきてくれたのだそうです。
若干重く感じたものの「(ボールが)前に転がってくれる」メリットも感じたため、長さのみ調整して即投入しました。

勝負所のパットを決めて優勝したのは入谷ですが、最高のパフォーマンスを発揮するギアを提供した担当者もプロの仕事をした、ということですね。

飛ばし屋が勝利をつかむための、最後の“ワンピース”

入谷を祝福に来た右から清本美波、中村心、菅楓華、都玲華。

今シーズンの平均飛距離258.2ヤードはツアーで2位。
最終日に計測された平均267ヤードは全体の1位とビッグドライブが注目される入谷ですが、優勝への最後の“ワンピース”となったのは、振り心地のいいシャフトが挿されたパターでした。

パターにはシャフトのフレックス表記がまずされていませんが、アフターマーケット用のモデルには複数のフレックスがラインアップされているモデルもあります。
比べてみると、一般ゴルファーでも驚くほど振り心地が変わる(違う)ことがありますから、試してみる価値は大、です。

(取材・文/森伊知郎)