メジャーVから日英で2週連続出場 最終日は一時首位に立つ

山下美夢有は日本時間では4日月曜日の未明に「AIG全英女子オープン」で日本人6人目のメジャー制覇を達成すると、翌5日の火曜日午前に帰国。
同日夕方には都内で日本記者クラブの会見に招かれ、その後北海道入り。
8日から「北海道meijiカップ」の本戦が始まり、その前日にはプロアマ戦にも出場する強行軍でした。

優勝した河本結には2打届かない4位だったものの、最終日には一時首位に立ち、史上初の日米両ツアーでの2週連続優勝達成なるかと思わせるなど、メジャー覇者の貫録を見せてくれました。

メジャー覇者がもたらす波及効果 6年前の渋野日向子の場合は

それでもメジャーで優勝した選手が翌週の日本ツアーに出場したのは、2019年に「全英女子オープン」で優勝した渋野日向子が、今回の山下と同じく「北海道meijiカップ」に出たケースがあります。

この時は、日本人のメジャー制覇が1977年「全米女子プロ」での樋口久子さん以来42年ぶりだったこともあり、一気に“シブコ・フィーバー”が起きました。

そして女子ゴルフ界にも多くの波及効果が発生しました。
順序は前後しますが、それらを振り返ってみたいと思います。

10月の「富士通レディース」では、当時19歳だった古江彩佳が史上7人目のアマチュアでの優勝を飾っています。

2週間後の「三菱電機」でプロデビューすると、以後日本ツアーで7勝。昨年の「エビアン選手権」でメジャー優勝する選手になったのはご存じの通りです。

ちなみに古江と2打差の2位は翌シーズンの女王、稲見萌寧でした。

古江彩佳がアマチュア優勝し、畑岡奈紗が国内メジャーで連勝した2019年

9月の「日本女子プロ」は渋野と同じ黄金世代の畑岡奈紗が8打差で圧勝しました。

畑岡は10月の「日本女子オープン」でも優勝して国内メジャー連勝。この時の会見では渋野の「全英女子」優勝について「初めはすごくうれしかった。でも時間が経つにつれて悔しさが…」とのライバル心を見せており、それが勝利の原動力にもなったようです。

終盤は鈴木愛が3連勝も、渋野が女王取りに待ったをかける

終盤戦では鈴木愛が「三菱電機」から「伊藤園」まで3連勝して逆転で賞金女王(このシーズンまでは賞金ランキングで年間女王を決めていました)を手中に、と思われた展開に待ったをかけたのが他ならぬ渋野でした。

最終戦のひとつ前の「大王製紙」でシーズン4勝目(全英女子を除く国内ツアー分)を挙げると、自身も賞金女王の可能性を残して最終戦に臨むという白熱した展開の主役となっていました。

他にも“渋野効果”があった選手たちが

“渋野効果”は他にもありました。
凱旋出場3戦目だった「CATレディース」では、渋野からパッティングのイメージの出し方を聞いた蛭田みな美がツアー史上3位タイとなる7ホール連続バーディを達成しました。
この大会では、やはり黄金世代の淺井咲希が初優勝を挙げています。

9月の「ミヤギテレビ杯」で初優勝を挙げた柏原明日架も、渋野がプレー中の心境について語った記事を読むことで、気持ちのコントロールを参考にしたと明かしています。

先週も「山下効果」が

先週の「北海道meijiカップ」では、現在日本ツアーでポイントランキングトップの佐久間朱莉が予選ラウンドの2日間を山下と同組で回り「色んなショットだったり、パットだったりが上手だなと思う場面が多かった。淡々とプレーしている姿もすごいなと思ったので見習いたい」と話しました。

「全英女子オープン」では予選落ちだっただけに、同じ舞台で優勝した山下のプレーぶりは大いに参考と刺激になったはずです。

優勝した河本結も「美夢有ちゃんと一緒にプレーしたかった」とメジャー覇者との競演を心待ちにしていましたが、これは叶わず。

それでも年間女王の有力候補がシーズン初勝利を挙げたことで、今後の女子ツアーがますます白熱したものになることは必至です。

山下はアメリカLPGAツアーを主戦場としているだけに、6年前の渋野のように自身が今シーズンの日本ツアーで活躍する姿を見せることはほぼできません が、1試合出てくれただけでも大きな置き土産を残してくれたといえそうです。

(文/森伊知郎)