ヘッドスピード40m/sならシャフトは50グラム台がベスト! 適正重量の見極め方を解説
吉本巧のゴルフギア教室 第89回
ドライバーのシャフトは「軽ければ振りやすい」「重ければ安定する」と言われるが、実際に自分に合う重量を見極めるのは容易ではない。ここ数年で急速に進んだ軽量化の流れを踏まえ、プロコーチ・吉本巧が40〜70グラム台までの代表的な重量帯ごとに特徴と適正ヘッドスピードを整理・解説する。
適正重量がはっきりしなければ50グラム台からスタートしよう
ここ数年、ドライバーシャフトの軽量化が進んでいます。確かにシャフトが軽くなることでクラブは振りやすくなりますが、必ずしもピークパフォーマンスができるとは限りません。また、使い続けてくうちに陥穽にハマることも考えられます。ここであらためて40~70グラム台のシャフトを取り上げ、ドライバーのシャフトは何グラム台がいいのかを考えていきましょう。
60グラム台 適正ヘッドスピード44~46m/s
一昔前には定番だった重量帯で、試打クラブやフィッテイングの際には大体60グラム台からスタートするなど、打つ機会の多かったですが、最近はすっかり重めの部類に入るようになりました。言うまでもなくドライバーシャフト全体の軽量化が進んだせいで、もはや定番の重量とは言えません。
ベテランゴルファーの中には60グラム台が打てて当たり前と考えている人もいると思いますが、標準より重くなった今は打ちこなせなくても何の問題もありません。適正ヘッドスピードは44~46m/sです。なお、適正ヘッドスピードは、クラブの総重量、バランス、キックポイントなども影響してきますので、シャフト重量に限定した場合の目安と考えてください(以下同様)。いずれにしても60グラム台は平均的なアマチュアゴルファーよりもヘッドスピードが速めの人に向きます。
50グラム台 適正ヘッドスピード40~42m/s
最近のドライバーシャフトでは定番になっている軽量化の主役的存在の重量帯で、適合するゴルファーが最も多いと言えます。適正ヘッドスピードは40~42m/s。アマチュアの方に一番多いと考えられる層ですので、自分の適正がはっきりしないようなら、まずこの重量帯からスタートするのが無難だと思います。傾向的には60グラム台がハードに感じる、また、シャフトの重量がわからないけれど、ラウンド後半になって疲れたり、練習もたくさんできないようなら試してみるといいでしょう。反対にクラブが軽すぎて物足りなさを感じている人も試してみる価値ありです。
40グラム台 適正ヘッドスピード38m/s以下
定番化しつつある50グラム台よりもさらに軽く、軽量化されたシャフトの中でも軽い部類に属します。平均的なアマチュアゴルファーでも軽く感じるので、例えばレディスのドライバーに物足りなさを感じているレディスゴルファーや体力の衰えを感じているシニアゴルファー、まだ体ができていないジュニアがワンクッション置く感じで使うのもいいでしょう。振りやすいため純正シャフトに入っていることも多くなりました。余談ですが、純正シャフトには万人が振れるものを用意しなければならない関係でアンダースペックになる人が多いです。楽には打てますが、ヘッドスピードが速いゴルファーがそのまま振ると曲がるので、必然的に振れなくなります。「振れなくなる=手打ちになるリスクがある」ということですから、はじめのうちはよくても徐々にスイングが退化していきます。
70グラム台 適正ヘッドスピード48m/s以上
今や重量級になったシャフトで、ヘッドスピードが速いパワーヒッター向け。ヘッドスピードは48m/s以上ほしいです。そうなるともうプロレベルです。60グラム台とは10グラムの違いですが、50グラム台と60グラム台の違いとは全く違って、60グラム台との間にはかなり大きなギャップがあります。プロのアマチュアの境めにあるシャフトと言ってもいいでしょう。とはいえ、今はプロでもこの重量帯のシャフトを使う人は減りました。プロでも体に負担のかからない、やや軽量のシャフトを選ぶようになっているということです。
これらの他に超軽量の30グラム台、超重量の80グラム台もありますが、前者は特注品やカスタムモデル、後者は完全にカスタム化しています。ちなみに前者の適正ヘッドスピードは33~34m/s、後者は52m/s以上が目安です。
最適重量のシャフトを選ぶ際には、例えば40グラム台と50グラム台から選ぶ、といったように、最終的に隣同士2つの重量帯に絞るといい。いたずらに重量帯を広げても、1つに絞っても迷いやすいからです。絞ったうえでヘッドとの相性やバランス、硬さ、キックポイントを見ていきましょう。私が考える理想の重量は、ちょっと重く感じるもの。プラスマイナス20グラムになるとオーバースペックやアンダースペックになるのでプラス10グラムまでの範囲で選ぶのがいいと思います。
また、スイングタイプによっても適正重量は変わってきます。簡単に言うと、クラブの重さを感じながらゆっくりスイングできるなら重めのシャフト、重さを感じずシャープに振るタイプなら軽めのシャフトが合います。この場合ヘッドスピードはあまり関係なく、どう振りたいかがポイントになります。さらに、シャフト重量には好みもあります。ヘッドスピードに関係なく重いものが好きな人がいれば、軽いものが好きな人もいますが、結果さえ伴っていればミスマッチではありません。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
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