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テーラーメイド「TP5/TP5x」の5層構造に隠された進化。~『Qi4D』の知られざる挑戦~(4)

話題の新作 開発ストーリー秘話 ギアモノ語り VOL.53|TaylorMade Qi4D

2026/02/13 ゴルフトゥデイ 編集部

テーラーメイドがはじめて5層構造のボールを発売したのが2010年。2017年に『TP5』が誕生してからはボールシェアが10倍以上に伸びた。5層構造のボールはどのように進化したのか?

GOLF TODAY本誌 No.645/特別付録より
取材・構成・文/野中真一 撮影/相田克己、PMT

約10年でシェアを10倍にした5層構造に隠された進化。2つの『TP5』で2つの頂点へ。

~3層構造とは異なる5層構造の選び方~

日本でも米国でも大幅にボールシェアを伸ばしてきた要因について、同社のボール担当・田中桂は次のように語った。

「大前提として、テーラーメイドには5層構造の優位性があります。ゴルフの場合、クラブは14本あるのに、ボールは1つ。ドライバーもユーティリティもアイアンもウェッジもパターも1つのボールで何とかしないといけない。テーラーメイドのボールは5層構造に5つの役割を持たせていることが1番の強みです」

3層構造のツアーボールとは具体的に何が違うのか?

「3層構造だと3つの役割しか持たせることができません。例えば最近のツアーボールは硬めのタイプの方がドライバーの飛距離性能が高くなりますが、スピン量も増えてしまう。しかし、テーラーメイドの『TP5x』は5つの層があることで、ドライバーに限りなく特化したコア層はボールスピードの最大化と低スピン性能の両立を追求し、2層目はフェアウェイウッドやハイブリッドに必要な初速と適切なスピン量を実現。3層目でミドル、ショートアイアンの打ち出し角やスピン量をコントロールし、4層目と5層目でウェッジのスピン量やパターの打感を最適化。パターの打感はカバーだけではなくてその下の4層目の硬さの影響が大きい。テーラーメイドはそこも意識しています」

5層構造の『TP5』シリーズによって、大きな成功を手に入れたのが昨年のPGAツアー年間王者となったトミー・フリートウッドだ。

「以前のフリートウッド選手はミドルアイアン以降はマッスルバックなのに、ロングアイアンはキャビティバックにしていました。その理由はロングアイアンをマッスルバックにするとボールが吹け上がってしまっていたからです。でも、『TP5x(PIX)』にしてからはロングアイアンからPWまでマッスルバックになりました。それはロングアイアンを打ったときはボールが適切なスピン量と打ち出し角に調整してくれるからです。車に例えるなら『TP5』は5速の自動運転機能を搭載した最新車種です」

「性能は高くなっていますが、打感は2024年モデルから変えていない。前作から違和感なくスイッチできると思います」

テーラーメイド ゴルフ(株)ハードグッズプロダクト アソシエイトマネージャー
田中 桂
Kay Tanaka

シェアが10倍になった理由はそれだけではない。

「今でもよく覚えていますが、2016年に米国本社で行われたマーケティングの会議で『これからはボールに投資する』『ボールの優先順位を上げる』という発表がありました。あの会議は大きな転換点でした。それ以降、テーラーメイドはボール部門に多額の投資をするようになった。工場も増やして、現在はサウスカロライナ(米国)、韓国、台湾の3カ所にウレタンボールを作れる自社工場があります」

積極的な投資は開発工程も変えた。

「従来は約200種類のプロトタイプを作って最適な組み合わせを選んでいました。今ではデジタルで10万通りの組み合わせで各層の厚み、硬さ、素材を検証できるようになった」

5代目となる最新の『TP5』では何が変わったのか?

「前作は飛距離の『TP5x』、ショートゲームの『TP5』と2つの個性を際立たせたことで、『TP5x』の方が明らかに飛距離性能が高くなっていました。26年モデルは『TP5』の飛距離性能を高くして、『TP5x』並みに近づけた。選び方としては打感とショートゲーム。ソフトな打感でグリーン周りのスピン性能を重視するなら『TP5』で、しっかりした打感で1ヤードでも飛ばしたいなら『TP5x』です」

日本でのボールシェアは10%を超えてきたが、

「まだまだです。5層構造の性能からすれば、ここからシェアが2倍、3倍になる可能性は十分。『TP5』も『TP5x』もそれぞれのカテゴリーで頂点のボールだと思っています」

TP5x
前作より さらに速く、遠くへ
構造/5ピース
ディンプル/322
価格/オープン

飛距離性能重視の『TP5x』だが、内部構造を見直すことでアプローチでのスピン性能も強化。

TP5
ソフトな打感のまま飛距離性能を伸ばした
構造/5ピース
ディンプル/322
価格/オープン

ショートゲームでのソフトな打感、スピンコントロールだけではなく飛距離性能も高くした。

自社工場で生産・管理することによって検品精度のレベルも上がる。ホワイト以外にカラーボールのイエロー、『TP5 pix』『TP5 STRIPE』など視覚機能付きもラインナップ。

5層構造で自動運転化した『TP5』だが弾道を安定させる最後のピースはコーティングの“厚み”にあった。

NEW『TP5』シリーズには米国で特許出願中のテクノロジー、『マイクロコーティング』が採用されている。そのきっかけとなったのはロボットテストでの予想外の結果だった。

5層の硬さ、厚さ、素材は10万通り以上のパターンから最適な組み合わせを選んでいる。
5層の硬さ、厚さ、素材は10万通り以上のパターンから最適な組み合わせを選んでいる。マイクロコーティングは粒子が小さく、厚さが一定になるので、ディンプルの底でもコーティングが溜まらない。

「特許出願中のマイクロコーティングは圧倒的な薄さで均一性が持続する」

ローリー・マキロイのグランドスラム、トミー・フリートウッドの年間王者にも貢献した『TP5』シリーズ。2017年の初代から約10年をかけて完成度を高めていたが、フィッティングの聖地『ザ・キングダム』のロボットテストでは不思議な現象が起きていた。

「ボールのテストではGCクワッド、トラックマンはもちろん、インパクトから着弾までずっとボールデータをトラッキングできるDARTシステムという計測器を使っています。300ヤードのショットを打って数インチ前後の誤差という精度の高い計測装置です。もちろん打つのはロボット。開発メンバーが不思議だったのは同じボール、同じ条件、同じロボットで打っているのに1球毎に微妙に結果が違ったことです」

その原因は何だったのか?

「顕微鏡でボールの内部構造や傷などいろいろ調べていてわかったのが、原因はコーティングの違いでした。どんなゴルフボールも最後にコーティングされていますが、ミクロレベルでコーティングを分析するとコーティングが厚いところと薄いところがある。特にディンプルの底はコーティングが溜まったり、厚くなっていた。コーティングの厚みが違うと、どんなに理想的なディンプルパターンでも設計通りの効果は発揮できない。専門用語ではプーリングと呼ばれる現象が起きていました」

ゴルフボールは耐久性や品質のためにコーティングをしないわけにはいかない。どうやって問題を解決したのか?

「一般的なコーティングは白い塗装を2回行ってからクリアコートをかけます。そのクリアコートを噴霧したときにディンプルの表面は適切ですが、ディンプルの最下部に厚いコーティングが残る。今回の『TP5シリーズ』ではクリアコートの粒子を極限まで細かくして、ディンプルの浅いところでも深いところでもコーティングの厚みが一定になる特殊な塗り方をしました。その結果、新『TP5』シリーズは同じショットを打ったときの精度が限りなく揃うようになりました」

テーラーメイドのロボットテストの結果によるとマイクロコーティングによる新『TP5』シリーズは前作のコーティングに比べて縦方向・横方向のバラツキが約15%も改善。さらにディンプル本来の性能を発揮したことによってキャリーも伸びた。

『TP5』がコアが大きくなって飛距離性能が上がった。

『TP5』と『TP5x』は各層の厚み、素材配合も違っている。『TP5』はコアを大きくしたことで初速性能が上がった。
『TP5』と『TP5x』は各層の厚み、素材配合も違っている。『TP5』はコアを大きくしたことで初速性能が上がった。

~約10年かけて『TP5』を進化させた~

2017初代『TPシリーズ』は3つのコアと2つのカバーという画期的な5層構造で世界デビュー。

20192代目は4層目に高弾性の『ハイフレックス・モデュラス』を採用して初速アップを実現。

2021テーラーメイドとしては約10年ぶりの新ディンプルパターンを開発した3代目。

2024より長い開発期間を注いだ4代目は新開発のスピードラップコアで高初速と打感を両立した。

20265代目は米国での特許出願中のマイクロコーティングによって飛距離、安定性が向上。

マキロイが『TP5』にスイッチした理由。

『TP5』の快進撃はローリー・マキロイが使いはじめたところから始まった。ただし、マキロイは不思議なボール選びをする選手でもある。

~ローリー・マキロイは『Qi4D』に続いて、ボールもNEW『TP5』に~

ローリー・マキロイがテーラーメイドと契約したのは2017年。すぐに『TP5x』を使いはじめて、翌年には契約後初勝利。2018年からは初代『TP5x』を使い始めたが、2019年になると『TP5』、2020年は再び『TP5x』に戻していた。年代によって『TP5』と『TP5x』の選択を変えていたマキロイ。2025年のマスターズ制覇、グランドスラム達成につながったのもボールの変更だった。

2025年の開幕戦では『TP5x』を使っていたが、1月下旬に突然『TP5』にスイッチ。すると1週間後の「AT &Tペブルビーチプロアマ」で優勝。優勝会見でボールを変えた理由を聞かれると、

「僕は『TP5x』をすごく気に入っていたので、『TP5』はほとんどテストしていなかった。でも1週間くらい前にたまたま『TP5』で短いチップショットを打っていたら、すごく感触が良かった。60ヤード、70ヤードくらいを打ったら、打ち出しもいいし、スピンも効いていた」

ボールを変更したマキロイは3月には「ザ・プレーヤーズ選手権」を制し、そして4月の「マスターズ」で悲願のグランドスラムを達成。ボールは『TP5』のままだった。

2026年のローリー・マキロイはすでにドライバー、3番ウッドを『Qi4D』にスイッチしているが、1月4週からボールもNEW『TP5』にスイッチした。マキロイのように2つのボールを試してみる。そこからテーラーメイドのフィッティングをはじめてみるのもいいだろう。

NEW SYN FIT

ローリー・マキロイがテーラーメイドと契約したのは2017年。すぐに『TP5x』を使いはじめて、翌年には契約後初勝利。2018年からは初代『TP5x』を使い始めたが、2019年になると『TP5』、2020年は再び『TP5x』に戻していた。年代によって『TP5』と『TP5x』の選択を変えていたマキロイ。2025年のマスターズ制覇、グランドスラム達成につながったのもボールの変更だった。

2025年の開幕戦では『TP5x』を使っていたが、1月下旬に突然『TP5』にスイッチ。すると1週間後の「AT &Tペブルビーチプロアマ」で優勝。優勝会見でボールを変えた理由を聞かれると、

「僕は『TP5x』をすごく気に入っていたので、『TP5』はほとんどテストしていなかった。でも1週間くらい前にたまたま『TP5』で短いチップショットを打っていたら、すごく感触が良かった。60ヤード、70ヤードくらいを打ったら、打ち出しもいいし、スピンも効いていた」

ボールを変更したマキロイは3月には「ザ・プレーヤーズ選手権」を制し、そして4月の「マスターズ」で悲願のグランドスラムを達成。ボールは『TP5』のままだった。

2026年のローリー・マキロイはすでにドライバー、3番ウッドを『Qi4D』にスイッチしているが、1月4週からボールもNEW『TP5』にスイッチした。マキロイのように2つのボールを試してみる。そこからテーラーメイドのフィッティングをはじめてみるのもいいだろう。


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