“ロングヒッター”ブルックス・ケプカのスイングとクラブを分析
筒 康博のスイング&クラブマッチング
飛ばし屋がひしめくPGAツアーのなかでも屈指のロングヒッターであるブルックス・ケプカ選手。今回は、そんなケプカ選手のスイングとクラブを分析!
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ブルックス・ケプカ
1990年5月3日生まれ。185㎝、82㎏。米国フロリダ州出身。2013年に欧州ツアー3勝、2015年から米国ツアーに。フェニクスオープンでPGAツアー初優勝を飾る。2018年は全米オープンを連覇し、全米プロもメジャー制覇した。
解説:筒康博
伝説のプロコーチ・後藤修氏に師事し、独自のスイング理論とプロコーチ術を学びながら、ギアにも深く精通。数々のゴルフ誌にギア企画、スイング論やレッスン記事で登場している。プロアマ問わず7万人以上のゴルファーにアドバイス経験を持ち、フィッティングセミナーや公演も精力的に行っている。
ブルックス・ケプカ選手のスイングとクラブを分析
1カット目
適度なヒザの曲げと前傾で身長通りのアドレス
2カット目
顔を固定せず体と一緒にテークバック
3カット目
コックを使わず上げるのでシャフトに負荷がかからず捻ることができる
4カット目
曲がった脚の伸直が下半身リードの源
5カット目
トップで出前持だった右手首をキープする
6カット目
フェースを返さずに腕ごとフォロースルーへ
7カット目
ヘッドスピードが速く腕の返しがもともと大きいケプカ選手は左のミスを極力警戒している
8カット目
左右の移動が少ないためインパクト以降のクラブの巻きつけが速い
ブルックス・ケプカ選手のスイングのポイント
《腕とクラブを1つのパーツとして振り切っている》
2017年の「全米プロ」連覇を果たしたブルックス・ケプカ選手。今でこそ「飛んで曲がらない」選手の代表になりましたが、それはゴルフに真摯に向き合う彼のトレーニングと努力の賜物。
あれだけ速いヘッドスピードを誇りながら、300ヤード先をピンポイントで狙えるのは恵まれた体格をさらに鍛え上げスイングを極力シンプルなものに仕上げているからです。
それは強い下半身を上下に使い腕からクラブまでを一つのパーツとして振り切っているから。フェースを返して飛ばしているわけではなく、身体の伸直のパワーを生かしてパターの延長戦で大きな丸い円運動を心掛けています。
結果として、インパクト後もほとんどヘッドスピードが落ちることなくスピン量をコントロールしたストレートフェードを安定して放っています。
▲ブルックス・ケプカ選手のスイング
パワーに恵まれたケプカ選手ですが、大きな飛距離の源は全身を無駄なく使うための「準備動作」が非常に上手い選手です。インパクトで両足を伸ばすために、スキージャンプの準備のようにわずかに身体を縮め、速いスピードでも振り遅れないために右手を「出前持ち」にすることでシャットなトップを作り出しています。
ブルックス・ケプカ選手のクラブのポイント
使用クラブ:テーラーメイド M2
- ヘッド体積:460㎤
- ロフト:9.5度
- シャフト:ディアマナD70
- フレックス:TX
《適度な浅重心設計と硬めのシャフトで安心して振れる》
ヘッドスピードが速いケプカ選手にとって難敵は多すぎるスピン量による不安定なショット。
テーラーメイド「M2」は適度な浅重心設計の芯の広いやさしいモデル。しかも可変調整で若干ロフトを増やしてやさしくミートできる安心感を持っています。
装着している三菱ケミカル「ディアマナD 70TX」は全体とくに先端が非常に硬いシャ フトでスピンを抑える特長があります。またシャフト全体が硬いことで余計なしなりがなくなり、まるで3番ウッドのようにヘッドの挙動を抑えることができます。
読者の皆さんには、硬くする代わりに少しだけ短くすると似た効果を得られると思います。短くなると、思い切り振ってもフィニッシュでよろけるスイングになりにくく、曲がりも減るメリットがあります。ぜひ試してみてください。
GOLF TODAY本誌 No.548 126〜127ページより