ゴルフレッスン|インパクトをぶ厚くしたいなら「欧州スイング」がいい!
Reported in THE OPEN |風と硬い地面が育んだ「欧州スイング」がいい!(1/4)
シェーン・ローリーが優勝し、トミー・フリートウッドといったヨーロッパ出身の選手の活躍が目立った、今年の全英オープン。その現場で、吉田洋一郎とともに欧州出身の選手たちのスイングを取材し、リンクスの風に負けない“インパクト”の秘密を探った。
●Reported in THE OPEN
(1/4):ボールを押さえ込む「欧州スイングのスタンダード」
(2/4):欧州No.1コーチ、ピート・コーウェンに学ぶ欧州スイングの極意
(3/4):欧州スイングの作り方 | バックスイング編
(4/4):欧州スイングの作り方 | ダウンスイング編
解説/吉田洋一郎
よしだ・ひろいちろう。北海道出身。ピート・コーウェンやデビッド・レッドベターをはじめ、欧米の一流インストラクターのもとを訪れ、直接学び、世界中のスイング理論を網羅する知識を有す。国内外のツアーにも頻繁に足を運び、実践的なスイング構築スキルを、日々アップデートしている。
腕を積極的に使って、ボールを押さえ込む「欧州スイングのスタンダード」
ダウンスイングで体を先行させず、腕を積極的に使うことで、球質を弱くするリスクを生む「振り遅れ」を徹底的に排除する。そうすることによって、ぶ厚いインパクトを実現させる。それが、欧州スイングの基本中の基本だ。
力を下に向けて押さえ込んでいくダウンスイング
欧州スイングにおいて、ダウンスイングは「上から下」に力を向けるのがスタンダードであり、スイング自体が上下動によって構成されるイメージだ。
インパクトのイメージはダウンブロー
日本ならではの表現でいえば、ダウンブローのイメージ。腕を積極的に使うことで、振り遅れを防ぎ、ボールに「圧」をかけるインパクト。
フェースは返さずボールを押し込んでいる
ヘッドを押し込んでいくようなフォロー。意図的に、俗に言う「フェースを返す」といった動きは加えない。
フィニッシュでクラブは体に巻きつかない
「上から下」に押さえ込むインパクトの欧州スイングでは、フィニッシュは低い位置におさまるのが一般的。
振り遅れが致命的なミスにつながる欧州のコース
欧州のリンクスでは、日本や米国とは比べものにならないほど強い風が吹く。そして、フェアウェイは硬く、起伏によって、ボールのコロがりを読むことも難しい。
そうした環境でスコアを出すためには、風に負けない強さと、コントロール性を兼ね備えたボールが打てなければならない。そうした環境で培われた欧州出身の選手のインパクトは、“ぶ厚い”という表現がピタッとはまる。弾くのでもなく、強く叩くわけでもない。いわゆる“ボールを押し込んでいくインパクト”だ。
そして、そのインパクトを作り出すのが、腕を積極的に使い、ヘッドを押さえ込んでいくように振り下ろされるダウンスイングだ。
なぜ、このような腕を積極的に使ったスイングになるかといえば、欧州においては振り遅れによるミスは、致命的と言えるからだ。振り遅れによって、フェースが開いてこすり球になったり、力が乗らずに球質が弱くなったりすれば、風に対抗できるボールは打てない。
そのため、現在米国で主流となっているシャットにフェースを使ったうえで、振り遅れた状態のダウンスイングから、体を積極的に使ってスクエアにインパクトするスイングとは、正反対の腕を積極的に使ったスイングとなるのだ。
トミー・フリートウッド
イングランド出身。欧州ツアーを主戦場とし、今年の全英オープンは2位と健闘。2017年、欧州ツアーの年間王者にも輝いたことのある実力者。
シャットフェースにして体を積極的に使うのが主流の米ツアーとは真逆だね
デビッド・レッドベター
「シャットフェースにして体を積極的に 使うのが主流の 米ツアーとは真逆だね。欧州と米国の違いといえば、まずはフェースの使い方だろうね。現在、米ツアーでは、シャットに使うのが主流だけど、欧州出身の選手はスクエア~オープン(フェースを開閉させる)に使うからね。それに、腕を積極的に使う点も欧州のスイングの特徴かな。米ツアーでは、腕も使うけど、体の運動量を増やして振り遅れないように打っているね」
GOLF TODAY本誌 No.568 58〜61ページより