飛んで曲がらない!イ・ボミのドライバースイングを写真で解説
カラダをしっかり回せる35歳以下の若者向け
『結果にコミットする』で話題のライザップ・ゴルフ。今回はチーフインストラクターの「斉藤 功」コーチが特別に、話題の女子プロゴルファーのドライバースイングを解析して、独自のメソッドで「マネるべきポイント」をわかりやすく解説してくれた。
第一回目は、新妻プロとして活躍が期待されるスマイルキャンディー『イ・ボミ』のドライバースイングを解析。
これであなたもボミちゃんの“美しすぎる”スイングを身につけて、スキルアップに役立てよう。
「アドレスからフィニッシュまで、飛距離と方向性に優れたドライバーショットを可能にするスイング。各ポジションとも理想的な動きができているので、マネるべきポイントは盛りだくさんです」
「ただし、スイング全体の基礎となるアドレス時でのスタンス幅が、肩幅よりやや広めなので、カラダを存分に使える筋力が必要。その点では、比較的若い年齢、35歳以下、もしくはカラダの柔軟性のあるゴルファーにおすすめといえるでしょう」
イ・ボミのドライバースイング|アドレス
ふんばりが効いてカラダを大きく使える肩幅より少し広めのスタンス
「効率よく体重移動や重心移動させるためには、スタンスは肩幅が理想ですが、イ・ボミ選手は少し広め。その分ふんばりが効くので、カラダを大きく使えるため飛距離が出ます」
「逆にいうと、大きい動きができないとスイングが崩れてしまうので、カラダの可動域に自信のない人はスタンス幅を広くしない方がいいでしょう」
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カラダが硬く可動域が狭い人は、スタンス幅を狭くした方がカラダを回しやすい
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スタンス幅が広いとスイングが大きくなり飛距離は出るが、可動域の広い大きな動きが必要になる
イ・ボミのドライバースイング|テークバック
フェースが必要以上に開かない、上半身と下半身が一体となったテークバック
「上半身と下半身が一体感をもちながら回転を始動しています。結果、フェース面が前傾姿勢と同じ角度になっています」
「基本的に、真っすぐ飛ばすには、クラブの開閉は行わず、アドレス時の状態をキープするのが理想です。イ・ボミ選手はこれが実現できています」
カラダを起こした状態で、クラブのグリップエンドをお腹につけて上半身を右に捻る。イ・ボミ選手のテークバックは、その状態から上半身を前傾させただけだとイメージしよう。
ボールに当てたいという気持ちが強いと、ボールを見過ぎてしまい、胸がボールを向いた状態でテークバックをしてしまいがちだ。これではイ・ボミ選手のテークバックと違って、上半身と下半身、そしてクラブの動きがバラバラになってしまう。
また、胸がボールを向いたままで上半身を十分に捻転しないと、右ヒジをたたみ、左腕で右腕を覆うようにしてバックスイングをしてしまうことに。フェースの向きが極端に変わってしまうだけでなく、そもそも十分な捻転ができなくなるので注意しましょう。
イ・ボミのドライバースイング|バックスイング
右ヒジが地面を指したままだから、フェース向きが変わりにくい
「左腕が地面と平行になったポジションで、グリップとカラダの距離がアドレス時とほぼ変わっていません。しっかりボディターンすることによって、クラブがカラダに必要以上に近づいたりしないのです。
また、このポジションで右ヒジが地面を指しているところもポイントです。右ヒジが地面を指しているということは、アドレス時からフェース面が大きく変わっていない証だからです」
胸をしっかりと回さず、腕だけでクラブを上げようとすると右ヒジはカラダの背面を指す形になる。この状態から真っすぐ飛ばせるインパクトにつながるダウンスイングを行うのは、非常に難しくなる。
バックスイングでは、上半身と下半身、そしてクラブ(腕)の動きに一体感を持たせることを忘れずに。テークバックでクラブをインサイドに引きすぎたり、ボールを意識し過ぎて手だけでクラブを上げたりしないように注意しよう。
イ・ボミのドライバースイング|トップ
上半身と下半身の捻転差を作って、スイングのパワーを大きくする
「上半身が十分に捻転しているため、左肩がきれいに正面を向いています。そして、肩甲骨の可動域が広いため、トップがとても高くなっています」
「ここが、イ・ボミ選手が大きな飛距離を出せるポイントのひとつです。トップが高いということは、インパクトまでの助走距離が長いということだからです」
「ちなみに、シャフトの長さが1インチ(約2.5センチ)長くなると、10ヤード飛距離が伸びるといわれています。同様に、カラダをしっかりと捻転させ、高いトップをつくることで、シャフトの長さを変えなくても飛距離アップが可能になります」
「また、イ・ボミ選手は上半身と下半身の捻転差が大きく、胸椎の可動域も広そうです。これもスイングのパワーが大きくなるポイントです」
※胸椎……胸の高さにあたる脊椎のこと。
ボールを打ちたいと思うと肩が回りきらず、結果、手の動きの限界値が少なくなり、その分トップの位置が低くなる。
胸椎の可動域が小さいと、アドレス時点で猫背になりがち。軸となる背骨が真っすぐな状態ではじめて、正しく回転できるのがスイング。猫背は軸が歪んだ状態になるので、正しく回転できない。
イ・ボミのドライバースイング|ダウンスイング
切り返しは下半身から。カラダの力でクラブを振る
「トップからの切り返し、ダウンスイングは腕からではなく下半身から動いています。また、クラブと地面が平行になるポジション(ハーフウェイダウン)では、右ヒジがカラダに近いところを通っています」
「力を発揮するには、この動きがポイントとなります。たとえば、綱引きを想像してみてください。綱を引くとき、まず綱を持つ手を引くのではなく、下半身をぐっと安定させてから、ワキを閉めるようにして下半身の力で綱を引っ張りますよね」
「ゴルフスイングも同様で、クラブを加速させるには、カラダの力を使わないといけません。下半身からダウンスイングをスタートさせることで、クラブが加速するんです。クラブを速く振ろうとして手を使ってしまうと、カラダの動きが阻害されてパワーを大きくすることはできません」
イ・ボミのドライバースイング|インパクト
ボールを押し込むような体重移動を伴ったインパクト
「右足のカカトが少し浮いて、右ヒザが飛球線方向に曲がっています。下半身の力を使っている証拠です。また、腰の高さが変わらず、左サイドへスライドすることもなく、その場でターンしています」
「これにより、上方向にも左方向にも力が逃げていません。体重移動がしっかりできており、フェース面もスクエア、曲がる要素が見当たらないインパクトです」
体重移動ができていないと右足の上に頭が残り、力の抜けたインパクトになる。右サイドが傾き、そのためフェースも開いてインパクトしやすくなる。そこに反応してヘッドを返そうとすると、チーピン・ヒッカケとなる。
フィニッシュで頭が左足の上に乗るように、切り返しからは下半身を使ってしっかりと体重移動を行いたい。
イ・ボミのドライバースイング|フォロー
スイング中、ワキが緩まないから遠心力が働く
「遠心力によってクラブが振られていることがわかります。頭の位置が動いていないのもポイントで、これによりカラダが軸となり、遠心力によって両腕が伸びきっています」
「また、イ・ボミ選手はスイング中にワキが緩みません。ワキが緩むと、腕(クラブ)とカラダとの距離感が変わり、スイングが乱れてミート率が下がります。しっかりとカラダを使って、ワキを緩めずに腕を振ることができているので遠心力が働いたスイングになっています」
インパクト以降、フォローで腰と胸が同じくらいターンしているイメージは間違い。切り返しからは下半身がリードするため、フォローでは胸は腰よりも開き、腰は胸よりも開いていない状態であることが一般的。また、意識的にフォローで腕を振ろうとすると、左の写真のように左ワキが開いて“クラブを引き込む”ような形になる。
イ・ボミのドライバースイング|フィニッシュ
フィニッシュでわかる軸の上から微動だにしない頭
「飛球線方向から見たとき、右足の裏がすべて見えるほど蹴り上げられています。下半身を積極的に使っている証拠です」
「また、スイング中に生じる軸の上から動かなかった頭は、フィニッシュで体重が乗り切った左足の上にあり、最後まで軸からズレることはありません。飛んで曲がらないインパクトのために、マネるべきポイントです」
ボールを上げようという気持ちが強かったり、切り返しから体重を左サイドに乗せきれなかったり、当てにいってしまうと、このような振り切れていなフィニッシュになりがち。イ・ボミのように、安定していつつも力感のあるスイングを目指し、体重が左足に乗った振り切れたフィニッシュを目指そう。
【イ・ボミ】
1988年8月21日生まれ。158cm。A型。韓国出身。2019年度賞金ランク21位。ドライビングディスタンス238.32ヤード。延田グループ所属。
連続写真:ヤマハレディースオープン葛城(2019年)
連続写真撮影:相田克己
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取材協力:ライザップ ゴルフ・六本木店
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