石井忍コーチが大西葵に教えたゴルフスイング向上ドリル
人気プロコーチの"80台が出る"即効スイング向上ドリルPART2
常に選手の近くで好不調を管理し、自身の持つ知識を惜しむことなく伝え、選手が誰よりも信頼をおくプロコーチ。今回はプロコーチとして実績を残す5名に、選手の悩みにどう答えたのか、2020年シーズンに向けてどんなアドバイスをしたのか、詳しく教えてもらった!
石井 忍
いしい・しのぶ
1974年生まれ。千葉県出身。98年にツアープロに転向しレギュラーツアーに参戦。近年はパーソナルレッスンを行う「エースゴルフクラブ」を主宰し、千葉、赤坂、神保町などに展開している。
教えているのは→
大西 葵(YKK AP)
おおにし・あおい
1994年生まれ。千葉県出身。2014年プロテスト合格。昨年の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で2位タイに入る活躍を見せ、初シード入りを果たした。初優勝に期待のかかる選手だ。
大西葵テーマ|ドライバーのチーピンを直したい【Part1】
体が左に流れるとフォローでヘッドが返ってチーピンが出る
トップから体を突っ込む、もしくは体が左に流れることによって、体のトルク(回転)は失われてしまいます。大西の場合、チーピンが出る理由として、フォローでヘッドが返り過ぎてしまうことが原因だったので、まずはダウンスイングの体の動きから修正することにしました。
まずは左足を一歩後ろに下げてスイングすることで、トップから体が突っ込むのを防ぎます。そして、体が左に流れないように右ヒザを外旋させる動きができるようになることで、左股関節が右股関節から剥がれていくような動きを体感することができます。左股関節と右股関節に違う動きを持たせることでトルクを最大限に活かせるのです。
右ヒザを外旋する意識を持つことでヘッドがインサイドから来るのを防ぐ
トップから右ヒザを外旋する意識を持てば、体が左に流れるのを防ぐことができる。ここで右肩が前に出ると、ダウンスイングが窮屈になるので注意。
左股関節だけ開いていくイメージ
ダウンで右ヒザを外旋すると、左の股関節を右股関節から剥がすような動きができます。この動きによって、体の軸をブラさずにダウンスイングすることができます。
右足を左足と一緒に内旋すると、体が流れてフォローでヘッドが返る
フォローでフェースが返るのは、体の軸が左に流れるから。その原因が、トップからの右ヒザの動き。右ヒザが内旋してしまうことで体が左に流れてしまう。
チーピン直しポイント1|左足を下げたら、左足の前に球がくるように移動
右ヒザが体と一緒に流れると、ヘッドが返ってチーピンが出る
チーピン直しポイント2|左足が下がっている分トップはコンパクトでOK
左足を下げている分上げられるところまででOK。これを無理に手で回すと窮屈なスイングになってしまうので、ドリルの意味がありません。
大西葵テーマ|ドライバーのチーピンを直したい【Part2】
トルクを使えると体のパワーを逃さずに球に伝えることができる
前ページはトルクの生み出し方のドリルでしたが、ここはそのトルクが生み出す力を最大限球に伝えるためのドリルを紹介します。
ベルトフックに刺したスティックが、トップから下向きに動くようにダウンスイングします。彼女の場合、フォローでフェースが返りすぎてしまうのにインサイドパスが強すぎるという原因もありました。スティックが上向きになるということは、ヘッドが背面、つまりインサイドから来て、インパクトでは体が浮いた状態になります。
そこでスティックに下を向かせたままダウンスイングすることで、ヘッドがインサイドから来すぎるのを防ぎ、さらにインパクトで体が浮かなくなるので、トルクが生むパワーを逃さずに球に伝えることができるようになります。
×ヘッドが垂れるとクラブは詰まって手首でヘッドを思い切り返してしまう
スティックが上向きになると、ヘッドは背面に垂れてしまい、スイングが窮屈になって、フォローでヘッドが大きく返ってしまいます。
○トルクを使うと力を逃さずにインパクトまで体を回せる
スティックを下向きのまま下ろせるということは、体が伸び上がらなくなるということ、トルクが生んだ力を逃さずに球へ伝えられます。
Check!ダウンスイングで体が詰まるようなバックスイングはしない
バックスイングの段階から、スティックの先端を低く下向かせてしまうと、動きが詰まってしまう。トップまでは、スティックを下げないように。
大西葵テーマ|ドライバーのチーピンを直したい【Part3】
ヒッカケを直すにはインサイドパスを弱めてあげること
大西の場合、インサイドパスでヘッドが下りてきて、インパクトで手元が低くなりがちでした。手元を高めにする方が、ヘッドの開閉は少なくなるので、チーピンを防ぐことができます。
まず、左手だけで重いものを振ってみましょう。重いものを支えようと自然と手元は高い位置をキープします。手元を高くすることによって、フェースがどう動くかを確認するのには、長めのコロコロや平べったいホウキなどを左手だけで動かしてみるのが良いでしょう。
コロコロの場合、一直線に地面を掃除し続けるように、ホウキの場合は一直線に掃き続ける動きが手元が低くならずにフェースが返りすぎないインパクトからフォローにかけての形になります。
左手を高い位置でキープするとフェースターンが少なくなりチーピンを防げる
手元の高さをキープしてインパクト~フォローまで振り切れると、フェースの開閉が少なくなるからチーピンを防げる。
コロコロで掃除をするように左手を動かすと、手元は下がらない
手元が低くなると、アップライトになってフェースが返りやすい
手元が低いだけで、フェースはインパクトでかぶってチーピンが出る。女子プロのようにインサイドからヘッドが下りてきても手元の高さをキープすることで、自然なヘッドの返りになりドローボールが打てる。
チーピン直しポイント|コロコロと同じ要領でドライバーもフェース面の向きを変えずに動かしてみよう!
長めのコロコロやホウキが無い場合でも、左手一本でドライバーを持ち、フェースの向きが変わらない程度に地面をズリズリと滑らすことで左手の動かし方が確認できる。
撮影協力/エースゴルフクラブ赤坂、エースゴルフクラブ神保町、ユニオンゴルフクラブ、大箱根カントリークラブ、東京ゴルフスタジオ
GOLF TODAY本誌 No.574 30〜35ページより
【人気プロコーチの"80台が出る"即効スイング向上ドリルシリーズ一覧】
●PART1:目澤秀憲コーチが河本結に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART2:石井忍コーチが大西葵に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART3:大西翔太コーチが青木瀬令奈に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART4:三觜善一コーチが辻梨恵&髙木優奈に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART5:阿河 徹コーチが森田遥&金田久美子&塩見好輝に教えたゴルフスイング向上ドリル
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