1. TOP メニュー
  2. テクニックに効く
  3. スイング作り
  4. 目澤秀憲が解説!東京オリンピック注目ゴルファーのドライバースイング連続写真(2/2)

目澤秀憲が解説!東京オリンピック注目ゴルファーのドライバースイング連続写真(2/2)

13カ国18人の代表候補スイングを目澤秀憲が解説!次の金メダリストはこの中に!?

2020/04/30 ゴルフサプリ編集部

日程は延期ながら開催は決定した東京オリンピック。前回大会のリオオリンピックからゴルフ競技が復活し、世界各国から国を代表するプロフェッショナルが一堂に会する一大イベント。その代表候補の選手の中から注目度の高い選手をピックアップし、連続写真でスイングの見所を解説。オリンピック先取りでこの夏を1番に楽しもう!

●TOKYO2020オリンピックまでじっくり研究!
連続写真で見る金メダルスイング(1/2)
連続写真で見る金メダルスイング(2/2)

目澤秀憲
めざわ・ひでのり
1991年生まれ。日大ゴルフ部で活躍後米国に留学しTPILevel2のライセンスを取得。16年には日本に数名しかいないLevel3を取得した。

トミー・フリートウッドのドライバースイング連続写真

トミー・フリートウッド
1991年生まれ。2010年プロ転向。178㎝/76㎏。その他5勝

右ヒジの折りたたみとインパクトでの前傾キープが特徴

体を回転し続けて後からクラブがついてくる

インパクトで両足は地面を蹴り上げているが、前傾姿勢は限りなくキープされています。この形を作り上げているのは、右ヒジの形。一直線に伸び続ける左腕に対して、右ヒジはお腹にピッタリとついてしまうほど折りたたんでいます。この曲げた右ヒジをインパクトから一気に解放することで「球を押し込む」というインパクトができ、フェースローテーションを極力使わないスイングで、方向性を安定させることができるのです。

❶グリップを短く持つのには、単純に腕が長いことが考えられます。
❷体の回転を先行させることにより、左腕を伸ばし続けることができます。その上で右ヒジを曲げることにより、前傾角度をキープすることができます。
❸クラブが完全にフィニッシュの形になるまで、前傾角度は変わりません。これも、曲げた右ヒジをインパクトで解放することにより、フェースローテーションを極力減らせているからです。

ジャスティン・ローズのドライバースイング連続写真

ジャスティン・ローズ
1980年生まれ。1998年プロ転向。187㎝/88㎏。米国通算10勝(内メジャー1勝)、日本1勝、その他9勝

左手を伸ばし続けるオーソドックスなドローヒッター

コンパクトなトップでインサイドから下ろす

コンパクトなトップの利点はフォローでクラブを大きく振り抜くことができるのにプラスして、トップでは右ワキが閉じた状態になるのでそのまま地面に向かって右ヒジを下ろすイメージを持つことで、ヘッドが自然とインサイドから下ろせること。そして、左腕を常に真っすぐ保つことで左手リードになるので右手が余計な動きをするのを防いでいる

❶以前は腰が大きく反っていたが、最近はお尻から頭までが一直線になるくらいに戻ってきた。反ることによって、腰にムダな圧がかかっていた。
❷コンパクトなトップを作ることで、ヘッドがインサイドから下ろしやすくなる。
❸トップから頭が少し上に上がってしまうことで、ヘッドがインからアウトに卓球のドライブのようなスピンがかかってしまう。

シェーン・ローリーのドライバースイング連続写真

シェーン・ローリー
1987年生まれ。200コッキングを使いダウンブローの軌道を描く|体の回転ではなく、手首を使ってフェースを返す

コッキングを使いダウンブローの軌道を描く

欧州選手ならではの風に強い球筋が打てる

体の回転をあまり使わずに手元のコッキングをうまく使っている選手です。手首を大きく曲げるトップで、グリップエンドを直線的に球へと下ろしていきます。その際に腕が詰まらないように上半身を上げる動きをインパクトで取り入れています。PGA選手の中で手首を返す動きを顕著に使っているのは、シェーン・ローリー選手とマーク・リーシュマン選手です。どちらの選手も体の回転を使わずに手元でクラブをコントロールしています。

❶アドレスから地面と腕が平行になるところまでは手首は大きく使わない。トップまで腕が上がったら、手首を曲げてダウンスイングへのタイミングを計っている。
❷グリップエンドを直線的に球へと下ろす。ここで体の回転が入ると手元は浮いてしまう。
❸右手を使いながらフォローにかけてヘッドを返していく。手を返すタイミングで球筋をコントロールしている。

イム・ソンジェのドライバースイング連続写真

イム・ソンジェ
1998年生まれ。2015年プロ転向。181㎝/90㎏。米国通算1勝

大きく開いたフェースは頭を右に残すことで返す

スライドしながら打つと頭が残せる

常に体の真ん中にベルトのバックルがあることから、回転ではなくスライドで球を捕らえる選手だということが分かります。腰の回転力を生かす米国の選手よりも腰を回転させずに左にスライドしながら球を捕らえる松山英樹のスイングと似ています。バックスイングでかなりフェースを開きながら上げるのが特徴ですが、インパクトで頭を右に残すことで開いていたフェースをしっかり返すことができています。

❶バックスイングでフェースを大きく開くのが特徴。
❷頭を残すことは昔からよく言われ続けてきたことだが、この動きは61 腰を回転ではなくスライドさせて初めてできる動き。
❸右足のベタ足は韓国人選手に多いが、イムソンジュの場合はインパクトにかけて体が左に大きくスライドするため右足右側から浮く。

松山英樹のドライバースイング連続写真

松山英樹
1992年生まれ。2013年プロ転向。181㎝/89.9㎏。日本通算8勝(内メジャー1勝)、米国通算5勝

体の回転を少なくして股関節でパワーを受け止める

胸と頭を残し、ドローボールに特化したスイング

スイング中にあまり体の回転を使わないスイング。松山選手は、球へと伝えるパワーを回転力で生んでいるのではなく、トップで右股関節に力を受け止めさせ、そのパワーを左股関節へとスライドさせる途中で球へとパワーを伝えている。インパクトで両足を伸ばすような地面反力ももちろん使っているが、基本的には胸を右側に残す意識を持つことで、ヘッドをインサイドから下ろし、ドローボールが打ちたいことが伝わってくる。

❶腰の回転を使わないからこそ、スタンス幅を広げたアドレス。
❷右股関節で受け止めた力を、左へとうまくスライドさせている分、トップで止まっているように見えるが、それは左股関節で力をうまく受け止められている証拠。
❸ドローボールを打つために、胸を右に残す動作を入れている。そのために頭も残す動きがある。

今平周吾のドライバースイング連続写真

今平周吾
1992年生まれ。2011年プロ転向。165㎝/64㎏。日本通算4勝、その他2勝

体のスライドを使ってフェースを開閉させる

左利きの利を生かしたスイング

ハーフウェイバックでフェースを大きく開き、インパクト後に閉じてくる、フェースの開閉を大きく使う選手です。その開閉を生んでいるのが、体を左右にスライドする動き。今平選手は松山選手と同様に、体の回転ではなく、スライドを大きく使ったスイングが特徴です。スライドに加えて、彼は左利きで左腕のリードを使えるので、スライドするスイングでクラブを振り抜くことができます。

❶左腕を主導にして、ヘッドを低く長くバックスイングすることで大きなアークでスイングすることができる。
❷右から左へと大きく体をスライドすることによって、フェースの開閉も大きく使うことができる。

フランチェスコ・モリナリのドライバースイング連続写真

フランチェスコ・モリナリ
1982年生まれ。2004年プロ転向。172㎝/72㎏。米国通算4勝(内メジャー1勝)、その他4勝

体が硬いなりのスーパーエコな足の使い方で飛ばす

体が硬い分、足を有効活用

トップの位置で股関節が硬くて体をスムーズに回すことができないフランチェスコ・モリナリ選手は、左足のカカトを上げることによって体を回すことができています。そして切り返しでは反力が生まれるポイントに、体が少し沈む動きを取り入れることによって地面に対する足の圧を作っています。フォローでまたしても股関節が硬いので左ツマ先をめくることで体の回転力を生んでいます。

❶アドレス時点で、左足のツマ先を少し開くことで、ダウンスイングからフォローまでの体の回転がよりスムーズになるようにしている。
❷インパクトで他の選手に比べると腰は正面を向いています。体の前にクラブがあることでコントロールしやすくなります。
❸股関節を柔らかくして打ちましょう。よりも、モリナリのように硬いなら硬いなりの打ち方があると再確認できるスイングです。

エイブラハム・アンサーのドライバースイング連続写真

エイブラハム・アンサー
1991年生まれ。2013年プロ転向。170㎝/72㎏。

体の軸を右に傾ける事でドローボールを打つ

低いドローボールが持ち球

腰を回転させるとインパクトでフェースが開いてしまうミスが出てしまうのでエイブラハム選手もイム・ソンジェ選手と同様にトップから回転せずに左にスライドさせて球を捕まえるスイングです。彼はさらに右へ行かせないために体の軸を右に傾けることでハンドファーストでインパクトしています。確実にインサイドからヘッドを下ろしてハンドファーストで当てる低いドローボールが持ち球になっていますね。

❶腕を伸ばしたハイトップで体が左に倒れないのは、体幹の強さ。
❷体を回転させるインパクトだと、フェースを開いた状態から戻しきれずに右に抜ける球が出る可能性がある。
❸左にスライドしながら右に体を傾けることで、ハンドファーストのインパクトになるから、低いドローボールが打てる。

ジャズ・ジェーンワタナノンドのドライバースイング連続写真

ジャズ・ジェーンワタナノンド
1995年生まれ。2010年プロ転向。173㎝/66㎏。日本1勝、その他5勝

上半身と下半身の分離を大きくして、柔軟性で飛ばす

上半身の柔軟性が生きる、安定感抜群の下半身

彼のスイングの最大の特徴は上半身と下半身のそれぞれの力の伝え方をうまく活用できているところ。下半身はトップで両内モモに力を入れることで、パワーを貯める。股関節にパワーを貯めるよりもドッシリとしたトップが作れる。そこからダウンスイングするのだが、この時に腰が左に流れずにその場で回転できているのは、上半身を斜めに倒しているから。頭と腰が引っ張り合うような関係になり、ヘッドに大きなパワーが伝わります。

❶トップから頭が沈むことで、トップまで貯めたパワーを逃さずに球へと伝えることができる。
❷インパクトの前に右足のカカトは地面を蹴り上げるが、カカトを真上に上げると前傾が起き上がってしまうため、左の股関節に向かって斜め上にカカトを蹴っている。

ビクトル・ホブランのドライバースイング連続写真

ビクトル・ホブラン
1997年生まれ。2019年プロ転向。177㎝。米国通算1勝

左お尻への圧を保つことでインサイドから振れる

体は右に傾きながら、左お尻の位置をキープ

特徴はアドレス、トップ、インパクトとフォローの全てで右斜めに体が傾いていること。それをただ斜めになっているだけではなく、体は右にいながらも左サイドを低く保とうと、左お尻にとても圧をかけています。この動きができると、ヘッドをインサイドから下ろすことができるので、ドローボールが打ちやすくなります。しかし、体を斜めにキープしすぎてインパクトで右手首が窮屈になりすぎているのでケガには注意ですね。

❶上半身を斜めに倒すこと自体悪い事ではないが、ホブランのようにどこかに圧をかけて前傾をキープしないと上半身はすぐに起き上がってしまう。
❷ダウンスイングで体と一緒に頭も沈む。これは真下に沈んでいるのではなく、上半身を斜めに倒すことによって沈んでいる。
❸体を右斜めに倒しすぎて、インパクトで右手首が窮屈になる。現在テーピングをしているが、このまま悪化しないようにするには少し傾き具合を抑えた方が良いのかもしれない。

撮影トーナメント/ZOZOチャンピオンシップ
ソニーオープンインハワイ
ダンロップフェニックスゴルフトーナメント
ジェネシスオープン
アーノルドパーマーインビテーション

GOLF TODAY本誌 No.575 58〜67ページより


TOKYO2020オリンピックまでじっくり研究!連続写真で見る金メダルスイング(2/2)


前回を読む

【関連】
ドライバー打ち方の基本を小川泰弘プロがレッスン【飛距離アップ!】
小柄でも飛ばせる!ドライバー飛距離アップの工夫を女子プロゴルファー5人が解説