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ゴルファーのための風の読み方のコツ 風が強い時ほど、どのクラブでもフルショットは禁物です
スコア80台でラウンドするためのゴルフ学|メンタル&マネジメント VOL.18
「ゴルフは自然との闘い」とはよく言ったもので、風の強い日はスコアがまとまりにくい。
そんなときどんな作戦を立てればいいのか。
マネジメントもそうだが、メンタル面においても「失敗してもいいミス」を決めておく準備も大切な要素となることを知っておこう。
GOLF TODAY本誌 No.578 /114~115ページより
【マネジメント編】風が読めないときは「基本の風」を信じましょう
風が強いほどフルショットを避けることも大事
風が強い日はトーナメントプレーヤーたちにとってもゴルフがすごく難しくなります。風を読んだつもりでも、グリーンの周りが林や崖で囲まれていると風向きが逆のこともありますし、風がぶつかり合って舞っていることだってあります。風ってしっかり読もうとするほど頭が痛くなってしまうんですね。
プロキャディの仕事としては、試合の前日やスタート前にウェザー情報の無料アプリなどを活用して1時間おきの風向きとか風の強さを必ずチェックします。要は準備が大事なわけです。
皆さんに風についてのとっておきのアドバイスを送るとしたら、迷ったら「基本の風向き」を信じるのが一番間違いは少ないということでしょうね。基本の風とはコースの上空を吹き抜ける風向きです。同じホールでもロケーション次第でティーイングエリアとセカンド地点で風向きが変わることがよくあるけれど、その場その場で高い木の枝がどう揺れているか、雲がどの方向に流れているかなどを見て判断するのがベストだと思います。
あとは風を敵に回さないようなプレーを心掛けることです。風とケンカしないで、うまく利用するのです。強いアゲンストの風が吹くときは風に負けないと強く叩きがちですが、そうするとスピン量が多くなって風に流されやすい。アイアンなら一番手大きいクラブを持って、ポーンと軽めに打ちましょう。風が強いほどどのクラブでもフルショットしない。実はこれ、風対策の肝なんです。
フォローの風ならキャリーが伸びることがよくあるので、グリーンオーバーしないように一番手下げるとか、横風でしたら目標設定を変えて風に乗せてあげるイメージで打つなど上手く対策を練ってくださいね。
伊能恵子
(いのう・けいこ)
千葉県出身。男女ツアープロをサポートするプロキャディの第一人者。現在は主に片岡大育のキャディをつとめる一方、リンパセラピストとしても活躍中。
【マネジメント編】Q.「突然ショートパットが 打てなくなるのはどうして?」
やってもいい失敗を決めておけば不安が消えてくる
ここ一番のところで手が動かなくなる。入ると思って打ったパットが入らない。こうしたパットのお悩みが多いのも、やっぱりメンタルが大きく関わっているのかなとつくづく感じます。
突然ショートパットが打てなくなるというのは、自分への期待値がとても高いからでしょうね。そして必死の思いで打ったパットを外すと、「こんなはずじゃなかった」と大きく失望してしまうわけです。
この場合は「やってもいい失敗」を先に決めておきましょうという答えがベストだと思います。たとえばスライスラインを打つときはカップの右に抜けてはノーチャンスだから、「カップの右に抜けるのはダメ、左に抜けるのはOK」という具合です。それを「右もダメ、左もダメ」となると、どっちつかずになって打てなくなる。そんな心理状態が技術的なミスを引き起こしてしまうのです。
スライスラインはカップの左側に打ちさえすれば、曲がれば入りやすい。ミスの幅が広いわけです。「左に抜けてもいい」と思えば案外しっかり打てますし、「許せるミス」を決めて打つことで、結果的にカップインする要素が増えることになります。
フェアウェイ右サイドがOBのホールも同様です。「フェアウェイの真ん中を狙って真っすぐ打とう」では何の対策もとれていません。「左サイドならどこでもOK」とか「右に行きにくいように7番ウッドで打とう」などと危険への対策を取ることが大事。「失敗を怖れる=危機管理能力が高い」のです。
「地震なんて来ないよ」とか「地震がきたらどうしよう」じゃなくて、避難場所を決めておく、非常食を備えておく、非常袋を用意しておく。地震はなくならないけれど、備えておくことで被害を少なく抑えられますし、回避もしやすくなります。不安も少しは拭い取れますよね。
これはゴルフにおいて、やってもいい失敗を先に決めておくことと同じなのです。
A.「自分で許せるミスを先に決めておきましょう!」
北野正之
(きたの・まさゆき)
1966年5月18日生まれ。93年プロ入り。松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)やサザンヤードCC(茨城県水戸市)などで多くのアマチュアをレッスン。