マスターズのトリビア! 初日に隠された勝利の条件。
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.51
例年より7カ月遅れでマスターズウイークがやってきた。やはり華やかなゴルフの祭典は心が浮き立つ。そこで今回は、マスターズ優勝者に関するデータ的トリビアを紹介しよう。
マスターズのトリビア! 初日に隠された勝利の条件。
大会史上初の11月開催となるマスターズ。例年とは異なる趣になりそうだが、昨年までのデータから優勝するための重要な条件をひとつ取り上げたい。それは、初日の順位だ。
2005年から昨年までの過去15大会の優勝者の初日順位はというと、13回までがトップ10に入っていた。確率にすると87%だ。
ほかのメジャーではどうか。同じく過去15大会分で比較したい。全英オープンこそトップ10スタートが12回と多いが、全米オープンは10回、全米プロに至っては6回だけである。
11位以下から優勝した例を挙げると、2018年の全米オープンでは初日に75を叩いて46位と出遅れたブルックス・ケプカが大会連覇を果たしている。全米プロでは今年のコリン・モリカワ(33位)を含め、6人もの選手が初日30位以下から盛り返して優勝している。つまり、多少の出遅れは、それほど結果に直結するわけではないといえるわけだ。
マスターズのデータをもう少し詳しく分析しよう。過去15年でトップ10ではなかったのは昨年のタイガー・ウッズの11位と、2005年ウッズの33位。つまり、ウッズ以外の優勝者はすべてトップ10スタートだったということになる。
2005年以前に11位以下から優勝したのは2001年の15位。これもウッズだった。ウッズ以外で初日11位以下から勝った選手は1998年のマーク・オメーラ(25位)までさかのぼらないといけない。
つまり、ウッズくらい圧倒的な存在感の選手でないとマスターズでは初日の出遅れから巻き返して優勝するのは至難の業だということ。ほかのメジャーよりも初日にトップ10に入ることの重要性が高いわけだ。
今年もこのデータは生きるのか。初日の順位に注目だ。
マスターズ優勝者の初日順位(2005年以降)
年 | 選手名 | 順位 |
---|---|---|
2005年 | タイガー・ウッズ | 33位 |
2006年 | フィル・ミケルソン | 4位 |
2007年 | ザック・ジョンソン | 5位 |
2008年 | トレバー・イメルマン | 1位 |
2009年 | アンヘル・カブレラ | 6位 |
2010年 | フィル・ミケルソン | 2位 |
2011年 | シャール・シュワーツェル | 7位 |
2012年 | バッバ・ワトソン | 4位 |
2013年 | アダム・スコット | 10位 |
2014年 | バッバ・ワトソン | 2位 |
2015年 | ジョーダン・スピース | 1位 |
2016年 | ダニー・ウィレット | 9位 |
2017年 | セルヒオ・ガルシア | 4位 |
2018年 | パトリック・リード | 4位 |
2019年 | タイガー・ウッズ | 11位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影/マスターズ・オフィシャルフォト
撮影トーナメント/2019マスターズ