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松山英樹のコーチに目澤秀憲「松山英樹が進もうとしている道を照らせる存在になりたい」

最速インタビュー|目澤秀憲がチーム松山に迎え入れられた理由とは

2020/12/22 ゴルフサプリ 編集部

河本結の専属プロコーチとして知られる目澤秀憲は、以前から「自分がコーチするプロが、4大メジャーのいずれかで優勝することが目標」と語っていた。その目標に、飛躍的に近づいた。日本人プロゴルファーの中で最もメジャー制覇に近い選手、松山英樹のコーチになったのだ。しかし、松山英樹は、これまでセルフコーチング派として戦ってきた選手。二人はどのようにして近づき、互いを認め合ったのか。その経緯を目澤秀憲自身に語ってもらった。

松山英樹と目澤秀憲の出会いを取り持ったのは、二人のツアーレップ

ゴルフサプリ(以下GS) まずは、松山英樹選手のコーチ就任及びチーム松山への参加、おめでとうございます。では、改めてお聞きします。松山選手のスイングコーチとして迎えられということでいいのでしょうか? どのような形でチーム松山に迎えられたのか教えていただけますか。

目澤秀憲プロコーチ(以下目澤) スイングというか。これまで松山選手を支えてきたトレーナーの飯田(光輝)さんやキャディの早藤(将太)くん、松山選手のクラブを担当しているダンロップの宮野敏一さんといった方々で構成されているチームの一員として、松山選手をサポートするために入らせていただくことになりました。

GS チーム松山に加わるということが決まった経緯は?

目澤 河本結選手のコーチとして、10月に「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」(10月8日〜11日)に行ったんですね。その後、PGAツアーの「ザ・CJカップ@シャドークリーク」(10月15日〜18日)に行くことになったんです。それというのも、公私ともにお付き合いをさせていただいているゴルフメーカーのツアーレップの方々からの誘いがあったからなんです。

GS それは、松山選手に会ってみない?という誘いだったんでしょうか。

目澤 そこまで明確ではないですけど。たまたま松山選手が「全米オープン」の時に、最終日に崩れてしまったことや、コロナ渦で(ペースが崩されやすい中で)どうやって自分のゴルフをシフトチェンジしていくかで悩んでいたみたいで。そんな時に、僕が河本選手の帯同でアメリカの試合に来ることになっていたんで、「よかったら、こっち(PGAツアー)にも来ない?」って誘っていただけて、僕としては松山選手と話せたり、めったに生で見ることができないPGAツアーを見ることで勉強をさせてもらおうという気持ちでした。

GS では、松山選手とは「ザ・CJカップ@シャドークリーク」で初めて会ったということですか。

目澤 そうですね。学生時代からもちろん名前は知っていたし、コーチになってからも常にチェックをしている選手ではありました。ですが、会って、話したのは、それが初めてでしたね。

GS お会いした時点では、まさかコーチとしてチームに加わるなんて予想もしてなかったのでしょうか。

目澤 はい。むしろ“大人の社会科見学”のような気持ちで会場に行ったので、松山選手のコーチになろうなどという考えは、その時点ではなかったですね。

GS ですが、その時の松山選手と目澤さんのやりとりの中で、松山選手を動かす何かがあったということですよね。練習ラウンドにも帯同されたんですものね?

目澤 そうですね。でも、きっかけは本当にわからないですね。もともと松山選手のようなトップ選手は、どんなことも肌感覚でわかっているというか。それに、その時の僕は教えるというよりも、教わる気持ちのほうが強かったですし。松山選手に聞きたいことを聞かせてもらって、松山選手はそれに答えてくれて。もちろん松山選手からも、「こういう時に、こうなっちゃうんですけど。どう思いますか?」って質問してくれて、それに対して僕の考えを話したり。

GS 松山選手が目澤さんに質問したことを具体的に聞いてもいいですか?

目澤 それはちょっとごめんなさい。松山選手もあまり具体的に話してもらいたくないかもしれませんし、僕も本人のいないところで話すのは気が引けちゃうので。少しだけ話せるとしたら、僕の考えを伝えた時に「それは自分ではわからなかったです」とは言ってくれました。(松山選手が)一人でやっていたら、触れたくない部分だったらしいんですが、「求めている動き、打ちたい球があるんだったら、こうしたほうがいいのではないか」という僕の考えを受け止めて、それがきっかけというか、響いたのかもしれませんね。

GS 松山選手にとって、必要かもしれないことを客観的に言ってもらえたこと。また、その内容が松山選手の考えにも沿っていた、ということなんでしょうね。

目澤 そうなんでしょうね。それから、本人が言っていたのは「忘れていた感覚」とは言っていました。「言われてみたら“たしかに”と思えるけど、その時はわからなかった」とも言っていましたね。

GS 月曜日に会場入りして、4日間一緒だったということですが。

目澤 そうですね。月曜日はPCR検査もあったので、午後2時くらいに会場に入って。3時間くらい練習を見て、次の日は練習ラウンドだったので18ホール帯同して、水曜日はプロアマの後の練習を見て。初日のプレーを見て、その後の練習にも顔を出して、という感じでしたね。

GS 練習ラウンド中は、どんな会話をしたんですか。

目澤 コース内で「こういう場所だと、こうした球が出ちゃうんですが、どう打ちますか」とか。でも、やっぱり“初めまして”だったので、どういうゴルフ観を持っていて、どういうふうにこれまでやってきたか、とか。そういう話が多かったですね。それに、僕がコーチとして知っていること、そして選手でなければ知らないことについて質問し合ったり、という感じでした。逆に、松山選手が持っている疑問を議題に話し合ったり。4日間、意見交換をしていた感じですよね。

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「本物」でなければ一緒に仕事をできないと、思わせてくれる選手

GS 松山選手と初めて会って、話してみて、印象はどうでしたか。

目澤 これまで抱いていた印象とは、変わりましたね。とても柔軟な人だと思いました。試合中の姿しか見られないし、練習でどういうことをしているかわからなかったですからね。でも、練習に入るまでのプロセスをとても大事にしていて “一番練習をしている選手”と言われていることに関しては、その通りでしたね。それから、これまでずっとツアーチャンピオンシップにも出続けて、ずっとトップレベルの選手であり続けていながら、練習場に来たら少年のように球を追っているんです。その姿勢には感銘を受けましたね。それに、改めてこういう人を教えられるようになるには、自分にもっと“深さ”が必要だとも思いました。こうした選手が「本物」なんだとも思いましたし、一緒に仕事をするには、こちらも「本物」にならなければと思わせてくれる選手でした。

GS 松山選手は、プロゴルファーとしては「本物」ということですね。

目澤 そうですね。そうでなければ、あそこで戦い続けることはできないと思いますからね。

GS では、そんな尊敬できる選手と接して、こんな選手のコーチになりたい、という思いが強く生まれたんじゃないでしょうか。

目澤 本当に勉強のためだと思って行っていたので、その時は思わなかったですね。ただ、あの4日間だけ話をするような無責任なことはしたくなかったので、「ザ・CJカップ@シャドークリーク」が終わって、「どうだった」という連絡はしました。松山選手は「すぐにはできないけど、でもスッキリしました」と言ってくれたので、少しは助けになれたのかなって思いました。

GS その後の試合でもやりとりはしたんですか。

目澤 そうですね。すぐに「ZOZO CHAMPIONSHIP」(10月22日〜25日)があって、その時はオンラインでやりとりをして、スイングも見たりしながら「マスターズ」(11月12日〜15日)が終わるまでは、連絡を取り合っていましたね。それから「マスターズ」の前週に「ビビント ヒューストンオープン」(11月5日〜8日)があって、その大会は2位だったんですけど。「ヒューストンオープン」の3日目が終わった後の練習で「いい(調子)かもしれない」と言っていて、それで2位という結果だったんですよね。発言と結果がリンクしていますよね。それは選手にとって、すごいいいことだと思いますし、「マスターズ」も途中とても良かったですし。それで、少しは手助けできているんだと思えました。

チェッカーとかではなく、松山選手の「鏡」のような存在になりたい

GS それで、明確に「お願いします」という話があって、どう思われたんですか。

目澤 PGAツアー選手のコーチをしたいと思っていましたし、コーチとしての夢は教えている選手がメジャーで勝つことでしたから、こんなチャンスはないというふうに感じていました。だから、チーム松山に加わるという話が出た時は、自分からも「やらせてほしい」と言いました。それが11月の終わりか12月入ってからくらいですかね。

GS でも、これまでセルフコーチング派として長く戦ってきた選手ですから、大きな決断だったんでしょうね。

目澤 そうだと思います。簡単に決められることではないでしょうからね。僕自身は、これまで松山選手が築き上げてきた実績、それをサポートしてきた人たちの中に入るというのは、光栄なことですけど、ちょっと怖いなという思いも正直ありました。ですが、自分がもし頼られているのであれば、全力で応えたいと伝えたら、松山選手も受け入れてくれて、チームの一員になったという次第ですね。

GS 世間からは、スイングコーチとして、松山選手のスイングに言及する立場だと認識されると思うのですが、目澤さんはどのように松山選手をサポートしていこうと考えているんですか。

目澤 スイングというよりは、松山選手の「鏡」になってあげるのが役割かなと思います。チェッカーと言うよりも、松山選手が実現したいことが実現できるように、橋渡し的な存在になれたらと考えています。それに、松山選手は勝つイメージは持っていると思いますし、勝つ手段も知っています。コーチは選手ではないですから、勝つ手段はわからないところなので、そこをコントロールするつもりはないです。僕がやるべきことは、トレーナーやキャディといったチームメイトと連動して、チーム松山をより盛り上げる存在となること。そして、その連動した力を松山選手の成功につなげること。そうすることで、日本のゴルフ界が盛り上がればいいなと思うし、自分がというよりも、みんなでサポートしていきたいと考えています。

GS 目澤さんは、自分が理想とするスイングに選手を当てはめる、というコーチングはしないですものね。

目澤 そうですね。スイングは人それぞれ違いますからね。

GS アメリカに行くことで、何か楽しみなことはありますか。

目澤 松山選手のサポートをしていく中で、PGAツアーの現場で色々なコーチに出会えたり、選手と話せるチャンスも生まれると思います。その中で、自分の知らなかったことを知れたり、見えなかった世界が見えるようになるというのは、すごい楽しみですね。それから、今回のチーム松山への参加は、与えてもらったチャンスだと思います。ですから、周りの人への感謝しかないので、お返しがしたいですね。松山選手のような選手、ライバルになるような選手が輩出されるようなゴルフ界の環境作りだったり、コーチ業界が盛り上がっていくきっかけが作れたらとも思います。

GS 2021年からは、目澤さんの仕事の主戦場はアメリカになるわけですね。

目澤 そうですね。やっぱり、今までなるべく選手とは現場でコミュニケーションを取りたいと考えていたけど、やりきれなかったということもありますし。ただ、アマチュアの方へのレッスンはもちろん、こうした取材や撮影といった、色々な事柄や経験が自分にとっての大きな糧になっていた事実もあります。だから、来年からの活動は、本当に新しい挑戦になるので、どうなるのかな、という気持ちもあります。でも、ワクワクしていますし、ここからは自分のやりたいことを優先して、やらなければいけない時期かもなとも思っています。

GS 目澤さんのコーチとしての夢は「教えている選手がメジャーで勝つ」ということですが、松山選手をサポートすることになって、その夢がより明確になったと思いますが?

目澤 それは、たしかにそうですね。ですが、優勝するには技術だけじゃなくて運だったり、そのほかのことも必要です。ですから、これまで通り選手をサポートするっていうのは変わらないことなので、自分にできることをやって、その夢につながればうれしいなと思います。まずは、チーム松山の一員として、松山選手が進もうとしている道を照らせるようにサポートしていけたらと考えています。

GS 夢が実現することを祈っています。今日はありがとうございました。

目澤 ありがとうございました。

目澤秀憲
めざわ・ひでのり。1991年2月17日生まれ。東京都出身。大学卒業後渡米し、日本に数名しかいない、アメリカのレッスンプロの資格TPI(TitlistPerformanceInstitute)レベル3を取得。河本結のコーチを務める傍ら、アマチュアにもレッスンをしている。日本大学卒業。

撮影/相田克巳
写真/Getty Images
取材・文/角田柊二

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