日本男子ツアープロ12選手のドライバースイング連続写真|飛ばしのコツ
【大特集】80台が出るドライバーショット|ぶっ飛びインパクトの作り方 PART3
国内ツアーのプレーヤーたちのスイングから何を学べばいいかを佐藤信人がわかりやすく解説。スイングのタイプ別も取り上げたので、自分にマッチした飛ばしテクもつかめる。
※平均飛距離は2019シーズンのデータです。
GOLF TODAY本誌 No.583 48〜63ページより
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 1|シャットフェースで真っすぐ打てる!
①トップに近づいてもフェース面がまだボールを見ている感じ
②フェースがスクエアに戻りやすく、ボールがつかまりやすい
フェース面がボールを見続けるイメージでクラブを上げていく
時松隆光に限らず、最近のプロたちはフェースをシャットに使う傾向が多く見られます。今どきのデカヘッドのドライバーは直進性が高いため、フェースの開閉を使わないほうが合理的。さらにテークバックでフェースを開くとインパクトでフェースが元に戻りにくく、球がつかまりにくいのです。
フェースをシャットに上げて、その向きのままで振り下ろすイメージを持てばインパクトでフェースが開かず、球をしっかりとらえられます。
時松隆光 ときまつ・りゅうこう
1993年9月7日生まれ、福岡県出身。168㎝、75㎏。2012年プロ転向後、17年ブリヂストンオープンなどツアー通算3勝。今季からは選手会長としての重責を担ってプレー。本名は源蔵。筑紫ヶ丘GC所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 2|カラダが小さくても大きなタメで飛ばせる!
①手首をいっさい使わず、ノーコックでクラブを上げる
②クラブをトップの位置に置き去りにして下半身を先行させる
③切り返しのカラダの強烈なコイルが大きなタメを生む
④タメを一気に解放してクラブを大きく振り抜いている
切り返しの上体と下半身の回転角度差がタメを作るコツ
浅地洋佑、比嘉一喜、重永亜斗夢の3人の共通点はダウンスイングの大きなタメで飛ばしていること。小さいカラダをカバーするための飛ばしの工夫が表われています。
とくに浅地のタメは驚異的。ノーコックでトップの位置へと上げたら、クラブをトップの位置に置き去りにして下半身を先に戻している点に注目してください。両足を踏ん張る体勢を作ってから、下半身でクラブを引っ張り下ろしてくる動きは大いに参考になるでしょう。
浅地洋佑 あさぢ・ようすけ
1993年5月24日生まれ、東京都出身。169㎝、68㎏。2011年プロ転向。下積みが長かったが、19年のアジアパシフィックダイヤモンドカップ、ANAオープンの2勝で素質が一気に開花。フリー。
ダウンスイングでリリースを我慢してパワーを溜める
①ダウンスイングの大きなタメが飛ばしのパワーの原動力
②手の位置が割りと高く、高い球をセンター返しするような感じ
③タメをほどいてクラブヘッドで大きな円弧を描くように振り抜く
比嘉一貴 ひが・かずき
1995年4月23日生まれ、沖縄県出身。158㎝、70㎏。2017年プロ転向。19年RIZAPKBCオーガスタで、26アンダーの大会新記録でツアー初V。フリー。
強烈なビハインド・ボールで大きなタメを作り出す
①顔がボールの右を見続けて、大きなタメを作っている
②頭をボールの後ろに徹底的にキープする意識が強い
重永亜斗夢 しげなが・あとむ
1988年9月14日生まれ、熊本県出身。2008年にプロ転向し、18年の東建ホームメイトカップでツアー初優勝。2勝目に期待がかかる。ホームテック所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ3 |両足を蹴り上げてヘッドを走らせる!
①下半身をリラックスさせて、すっと立つ感じのアドレス
②インパクトで両足のカカトが浮き上がっている
インパクトで両足を蹴り上げても前傾角度はキープ
カラダの小さい子供たちがクラブを速く振ろうとすると、インパクトでジャンプするような体勢となります。非力をカバーするために、本能的に下半身からパワーを吸収しようとするからです。こうした動きを「地面反力」といいますが、小平智と内藤寛太郎も地面反力をうまく利用してヘッドスピードを上げるタイプといえます。
カラダの回転も使うのですが、インパクトの瞬間に両ヒザを一気に伸ばし、両足を蹴り上げて腰の回転スピードを上げています。ただし飛距離は出てもミート率が落ちやすいのが難点です。
小平 智 こだいら・さとし
1989年9月11日生まれ、東京都出身。172㎝、70㎏。2010年プロ転向し、15年の日本オープンなど通算7勝。18年はRBCヘリテージで米ツアー初優勝を達成。Admiral所属。
足を蹴り上げるイメージで腰の回転スピードを上げる
①ダウンスイングでガニ股姿勢を作り、上体を少し沈み込ませる
②インパクトでジャンプするように両ヒザを伸ばしている
内藤寛太郎 ないとう・ひろたろう
1982年5月20日生まれ、福島県出身。172㎝、74㎏。2006年プロ転向。ツアー未勝利だが、2020年の日本オープンで3位タイ、フジサンケイ7位など活躍。ロピア所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 4|右足の我慢が大きな遠心力を生む!
①柔軟なリストを利かせて大きなタメを作っている
②右カカトを浮かせず右足をしっかり粘った体勢でインパクト
③ハンマー投げの要領で右足とクラブヘッドが引っ張り合う
④クラブヘッドの遠心力に引っ張られてカラダがフルターンする
右足の我慢とは地面に対して蹴り下げる感覚
岩田寛と塚田陽亮は、ダウンスイングからフォロースルーにかけて右足をぐっと我慢するタイプです。
右足からパワーを逃がさないで、クラブヘッドをハンマー投げのイメージで大きく振り抜いていることがよくわかるでしょう。
「右足を蹴る」とよくいいますが、勘違いのないように説明すると右カカトが浮き上がらないように粘らせて、右足を地面に対して蹴り下げる感覚が正解です。右足の我慢は飛距離アップの即効性が高いポイントです。
岩田 寛 いわた・ひろし
1981年1月31日生まれ、宮城県出身。177㎝、74㎏。2004年プロ転向。14年のフジサンケイクラシック、15年の長嶋茂雄INVITATIONセガサミーカップで優勝。米ツアー出場の経験も豊富。フリー。
右足の踏ん張りを維持するベタ足感覚のスイング
①両足を踏ん張ってガニ股姿勢を作っている
②右足を我慢してスイングする意識が強い
③この位置まで振り抜いても右足を我慢
塚田陽亮 つかだ・ようすけ
1985年5月24日生まれ、長野県出身。173㎝、80㎏。2008年にプロ転向し、16年の日本ゴルフツアー選手権でツアー初優勝。ツアー屈指の飛ばし屋。ホクト所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 5|飛ばせるフェードは左軸と右軸の2タイプがある!
左軸でカットに打つか右軸で腰を切るかのイメージの違い
ここでは日本を代表する2人のフェードヒッターのスイングを比較研究してみましょう。谷原秀人と宮本勝昌ですが、インパクトで腰を素早く左に切ってクラブを左に振り抜いているのは共通です。
ただし、軸のイメージに違いが表われています。谷原の場合は左モモの内側に軸を意識してスイングしているように見えるのに対して、宮本は右モモの内側を軸にして腰を素早く左にターンしています。どちらが正しいということではなく、自分にとってクラブを操作しやすい方法の選択の違いです。
谷原秀人は「左モモ軸」でフェードを打つ
①アドレスの体重配分は五分五分だが、左モモの内側に軸を意識
②トップでは左足のほうに体重が多く乗っている
③インパクトで腰を素早く切り、軽いカット軌道でとらえる
谷原秀人 たにはら・ひでと
1978年11月16日生まれ、広島県出身。178㎝、80㎏。2001年プロ転向後、ツアー通算14勝。17年からは欧州ツアーを主戦場としている。2020年の日本オープンで惜しくも2位。国際スポーツ振興協会所属。
宮本勝昌は「右モモ軸」でフェードを打つ
①右モモの内側に軸を意識するから腰が回転しやすい
②腰を素早くターンし、右手で押し込む感じのフォロースルー
宮本勝昌 みやもと・かつまさ
1972年8月28日生まれ、静岡県出身。174㎝、76㎏。95年プロ転向。ゴルフ日本シリーズの3勝を含むツアー通算12勝。06年から11年かけて151試合連続出場の大記録を樹立した。ハートンホテル所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 6|下半身主体のスイングで飛距離を伸ばせる!
①腕を使わないでカラダの捻転でクラブを上げていく
②アドレスの軸の位置がトップでも保たれている
③ダウンスイング中も軸がまったくブレない
④腕とクラブをカラダの真正面にキープしたままで振り抜く
⑤左足だけで自然に立つという感じのフィニッシュ
下半身が幹、腕は枝葉のイメージでスイングする
片山晋呉は稀代の名選手だけあって、ハイレベルなスインガーです。本人のコンセプトからすると腕はいっさい使わないで、下半身の大きな筋肉だけでスイングするといった感覚でしょう。堀川未来夢のスイングも同じような印象です。
片山自身はバックスイングで、腕を上げている感覚がないそうです。腕とクラブをカラダの正面にキープしたまま腰を回転すれば、腕やクラブは勝手についてくるというイメージが強いのだと思います。下半身をスイングの「幹」と考えて、幹の動きが主体となれば、「枝葉」の腕やクラブヘッドが勝手に振られるというわけです。
片山晋呉 かたやま・しんご
1973年1月31日生まれ、茨城県出身。171㎝、70㎏。95年のプロ転向後、ツアー通算31勝。賞金王を5度獲得した名プレーヤー。史上7人目の永久シード選手。09年のマスターズで4位。イーグルポイントGC所属。
下半身の筋肉を生かして腕をダイナミックに振る
①ノーコックで大きな円弧を描くようにバックスイング
②下半身の強い筋肉を躍動させて腰を高速ターン。腕は回転についてくるだけ
堀川未来夢 ほりかわ・みくむ
1992年12月16日生まれ、神奈川県出身。176㎝、84㎏。2014年にプロ転向し、19年の日本ゴルフツアー選手権でツアー初優勝。WaveEnergy所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 7|シンプルな軸回転でミート率アップ!
①胸を右に90度回すだけのシンプルなバックスイング
②ダウンスイング中のカラダの動きが静かに見える
③インパクトでも軸ブレがなく、ミート率が高い
動きの無駄を極限まで省いた合理的スイング
宮里優作のスイングは実にシンプルで合理的。写真で見ると静かなスイングに見えますが、実際のスイングもとても静かです。
下半身がまったく暴れず、軸回転がスムーズ。それでいて飛距離がかなり出るのは無駄な動きがない分、ミート率が高いからでしょう。
池村寛世も小柄ですが、19年の平均飛距離は300ヤード超えでドライビングディスタンス部門5位です。
やはり動きの無駄がなく、静かなスイングに見えるのが特長です。大槻智春クンも含めて、この3人は狭めのスタンスで構えているのが共通点です。
宮里優作 みやざと・ゆうさく
1980年6月19日生まれ、沖縄県出身。170㎝、70㎏。2002年プロ転向。17年は日本プロ、ゴルフ日本シリーズなど4勝をあげて賞金王。などツアー通算7勝。18~19年は欧州ツアーを中心にプレーした。フリー。
池村寛世のスイング
①カラダの回転が大人しく見えるが、飛距離はトップクラス
池村寛世 いけむら・ともよ
1995年8月30日生まれ、鹿児島県出身。166㎝、72㎏。2013年プロ転向。未勝利だが、着実に力をつけている若手プロ。ディライトワークス所属。
大槻智春のスイング
①狭めのスタンスで構え、スムーズな軸回転でスイング
大槻智春 おおつき・ともはる
1990年1月26日生まれ、茨城県出身。172㎝、94㎏。2010年にプロ転向し、19年の関西オープンでツアー初優勝。真清創設所属。
アマチュアもマネできる飛ばしのコツ 8|ベテランの円熟ワザでラクに飛ばそう!
両足を狭くしたクローズスタンスでスムーズに回転
先輩プロである手島多一プロと谷口徹プロ。このお2人のアドレスはクローズスタンス。手島プロは「昔よりスタンスが狭くなった」と口にしていましたが、これはバックスイングでカラダが回りやすくするため。谷口プロのスタンスがやや狭いのも同じ理由だと思われます。
ただし手島プロの持ち球はドローで、インサイドアウトの軌道で振り抜いています。谷口プロの場合、スタンスはクローズでも肩のラインはスクエア。そしてクラブを軽いアウトサイドインの軌道で、コントロールされたフェードを打っています。お2人とも洗練されたテクニックが光るスイングです。
手島多一はクローズに構えてドローを打つ
①狭めのスタンスでバックスイングの捻転を深くする
②飛球線の外側に向かってクラブを振り抜く
③両手の位置が高いハイフィニッシュが大きな特徴だ
手島多一 てしま・たいち
1968年10月16日生まれ、福岡県出身。172㎝、70㎏。米国留学を経て1993年にプロ転向。ツアー通算8勝。18年まで22年間シード権をキープした。現在はシニアツアーにも出場。ミズノ所属。
谷口徹はクローズに構えてフェードを打つ
①インパクトで腰を素早く左に切り、腕の通り道を作っている
②クラブを左に振り抜いて安定したフェードを打つ
谷口 徹 たにぐち・とおる
1968年2月10日生まれ、奈良県出身。169㎝、72㎏。92年プロ転向後、日本プロ3勝、日本オープン2勝を含むツアー通算20勝の大ベテラン。19年の日本シニアオープンでも優勝。フリー。
スイング解説
佐藤信人 さとう・のぶひと
1970年3月12日生まれ、千葉県出身。高卒後に渡米し、ネバダ州立大入学。93年に帰国してプロ転向。2000年には日本プロなど年間4勝。ツアー通算9勝。03年からは欧州ツアーを転戦するなど経験は豊富。現在はシニアツアー出場の一方でテレビ解説もこなす。
撮影トーナメント/2020ZOZOチャンピオンシップ、2021フジサンケイクラシック
【シリーズ一覧】
●Part1:ドライバースイング【連続写真をじっくり見て覚える!】USPGAツアープロたちの飛ばしテク!
●Part2:日本ツアー気になる選手たちの飛ばしテク!【ぶっ飛びインパクトのポイントを新発見!】
●Part3:プロゴルファー12人のドライバースイング連続写真|飛ばしのコツ