ドライバースイング【連続写真をじっくり見て覚える!】USPGAツアープロたちの飛ばしテク!
【大特集】80台が出るドライバーショット|ぶっ飛びインパクトの作り方 PART1
トッププロたちのスイングをそっくりマネるのは無理があるとしても、連続写真からヒントを得られることは多い。そこで男子プロたちのドライバーショットの連続写真を一挙公開。スイング中の一連の動きを見れば、パワーだけではない飛距離アップのコツがつかめてくるはずだ。
パート1では米ツアーで活躍する主なプレーヤーたちの最新スイングをお届けしよう。世界最高峰の飛ばしのテクニックを、本誌連載でお馴染みの内藤雄士コーチが解説してくれた。
※平均飛距離は2019シーズンのデータです。
GOLF TODAY本誌 No.583 16〜35ページより
デシャンボーは「驚異的な捻転力」で飛ばす!
①両手を浮かせたハンドアップの構え
②切り返しでカラダが一瞬沈んで下半身が先に戻る
③ダウンスイングの左腕とクラブの角度が大きい
④腕のローテーションを抑えてボールを打ち抜く
手首を使わずカラダの回転だけでバックスイング
デシャンボーは「超」がつくくらいハンドアップに構えて、インパクトもハンドアップ。
「アドレス=インパクト」の感覚が強いですし、それが方向の安定にもつながっていますが、飛ばしの原動力となっているのはバックスイングの捻転力に尽きます。ノーコックのまま太い体幹部を最大限に捻り、ダウンスイングの大きなタメからパワーを一気に解放しています。
フェースの開閉を使っていないから球のネジレがなく、飛んで曲がらない。独特のスイングですが、自分流をやり通す能力にも優れていると思います。
ブライソン・デシャンボー(アメリカ)
1993年9月16日生まれ。185㎝、104㎏。2016年プロ転向。「ゴルフの科学者」と呼ばれるほどの理論派。2020年の全米オープンで悲願のメジャー初制覇を果たした。米ツアー通算7勝、欧州ツアー1勝。
マシューは「左腰のキレ」で飛ばす!
①左腰をやや開いた構えからテークバック開始
②トップで左足を大きくヒールアップする
③左足の強い踏み込みでダウンスイングをスタート
④左股関節が柔軟だから腰の回転スピードが速い
⑤カラダの回転と連動してクラブを大きく振り抜く
テークバック前に左腰の捻りをリハーサルする
マシュー・ウルフも個性的なスイングで、米ツアー選手の中では小柄な部類ですが、たまにデシャンボーをアウトドライブすることもあるほど飛ばします。彼は独特なルーティンがあって、アドレスしてテークバックに入る前に左腰をいったん目標方向に捻ります。
左の股関節を意識することで、インパクトエリアでの左腰の回転スピードアップをはかっているのでしょう。
このルーティンは左腰のキレを生み出すための、いわばショットのリハーサル的なもの。クラブを立てるようなトップから左腰を素早く回転し、クラブをインサイドから振り下ろしています。
マシュー・ウルフ(アメリカ)
1999年4月14日生まれ。183㎝、体重(非公開)。2019年にプロ転向し、2020年は全米オープン2位、全米プロ4位などの活躍で大ブレイク。米ツアーでトップクラスの飛距離を誇る。
マキロイは「右手の押し力」で飛ばす!
①とてもバランスのいいアドレス。アマチュアの良き見本だ
②マキロイのスイングは右ヒジと右腰を同調させるイメージが強い
③ダウンスイングでは胸の開きを抑えてクラブを振り下ろす
④右ヒジをカラダにつけたままで回転するから大きなパワーが生まれる
⑤右ヒジをカラダにつけたままで回転するから大きなパワーが生まれる
右ヒジと右腰が完全に同調したパワースイング
マキロイの場合は、右手で押し込んでいくイメージのインパクトが一番の特長といえます。切り返しからインパクトにかけて上体を開かずに、右腰と右ヒジが同調してクラブを振り下ろしてくるという感じのスイングです。それが飛んで曲がらないショットの秘訣だと思います。
ダウンスイングで左股関節から戻し、右腰と右ヒジが一体となってカラダの右サイドで目標へと真っすぐ押していくような一連の動きは注目に値します。
ローリー・マキロイ(北アイルランド)
1989年5月4日生まれ。178㎝、72㎏。2007年に17歳でプロ転向。メジャー4勝を含む通算32勝。欧米両ツアーで3度の賞金王を獲得。残るマスターズを制し、グランドスラマー達成に期待がかかる。
タイガーは「左右均等回転」で飛ばす!
①グリップの美しさは世界一。ゴルファーの誰もが参考にしたいところだ
②カラダに負担がかからないように無理なく回転している感じのトップ
③右ヒジと右腰が同調するから右手で強く押し込める
④若い頃に比べてインパクトでのカラダの動きも静かになった
⑤カラダをコマのようにクルッと軸回転させて振り抜いている
バックスイングとフォローの回転量が均等のイメージ
タイガーのスイングは背中をケガしてからは、回転運動が大人しくなったという印象を受けます。
カラダに負担がかからないようなスイングですが、かえって回転のバランスがよくなったように思います。バックスイング側とフォロースルー側のカラダの回転量の差が少ないですし、バックスイングもカラダをネジるというよりは、自然な動きにまかせて回転しているという感じです。
タイガーのアドレスはもともと自然体でしたが、年齢を重ねるにつれてさらに自然体の構えとなりました。スイングも含めて一番の理想形ですし、世界中のゴルファーにとっての最高の教科書です。
タイガー・ウッズ(アメリカ)
1975年12月30日生まれ。185㎝、84㎏。96年にプロ転向し、以降は4大メジャー通算15勝を含む世界各国で通算142勝。19年に日本で開催されたZOZOチャンピオンシップで米ツアー通算82勝目をあげた。
モリカワは「左手首の掌屈キープ」で飛ばす!
①自然体ですっと立つ感じのアドレス。グリップはややストロング
②トップを真正面から見ても左手甲やフェース面が上を向くことがわかる
③インパクトで左手甲とフェース面が完全にリンクしている
シャットフェースでパワーフェードを打つタイプ
モリカワは米ツアーの中では、日本人的なスイングの持ち主です。彼の特長はフェースをシャットにキープして、フェードを打っていることです。
トップで左手首をてのヒラ側に折り曲げる「掌屈」が強く、シャットフェースのまま、インパクトでフェースを返さずにボールをとらえています。
自分の球筋をうまく利用して攻めるタイプで、ドッグレッグホールなど、ティショットの落とし場所を絞りたい場面などで力を発揮する技巧派プレーヤーです。
コリン・モリカワ(アメリカ)
1997年2月6日生まれ。175㎝、77㎏。カリフォルニア州出身の日系米国人。2019年にプロ転向するとシーズンをまたいで22試合連続で予選を通過。2020年は全米プロでツアー3勝目をあげるなど大活躍。
ケプカはピストンのような「ストレート軌道」で飛ばす!
①アドレスでは両ヒジをあまり絞らないで、両腕をすんなりと伸ばしている
②腕や手を一貫して使わず、カラダの回転だけでクラブを振り上げる
③左ヒザがアドレスの位置からほとんど動かないから捻転のパワーが強烈
④左ヒジのゆとりが腕の余分なローテーションを抑えるポイントとなる
⑤腕のネジレがなく、フェース面を長くスクエアにキープしている
直進性が高くてぶ厚いインパクトが作れるスイング
ケプカは両ヒジを絞らないで構え、そのまま胸骨を回すだけという感じのスイング。腕のローテーションがなくて直進性が高いから、ボールに対してフェースの面をストレートに当てやすい。
今どきのドライバーはフェースの開閉を抑えて、いかに真っすぐ当てていくかが要求されます。ケプカのスイングは今のドライバーの機能に完全にマッチしたスイングといえます。
デシャンボーとも共通していますが、インパクトエリアにおけるストレート性の高いスイング軌道が、ぶ厚いインパクトを生み出すのです。
ブルックス・ケプカ(アメリカ)
1990年5月3日生まれ。183㎝、84㎏。2012年プロ転向。17年と18年の全米オープン2連覇、18年と19年の全米プロ2連覇を果たし、「メジャー男」の異名を持つ。米ツアー通算7勝。
松山英樹は「左ホホの壁」で飛ばす!
①バックスイング中の左ヒザの動きが小さく、上体と下半身をしっかり捻っている
②下半身を先に戻し、両足を踏ん張る体勢を作ってダウンスイング
③顔をボールよりも右に向け、胸の開きを抑えてインパクトへと向かう
④頚椎の柔軟性を生かした大きなフォロースルーが飛ばしの原動力
頚椎とヘッドの引っ張り合いが大きなパワーを生む
松山英樹はガッチリした体型ですが、頚椎がとても柔らかい肉体的長所も備えています。その長所が顕著に表われているのが、インパクトからフォロースルーにかけてのパーツです。
ダウンスイングで顔をボールよりも右に向けたまま、胸を開かずにクラブを振り下ろしていますが、顔の向きがインパクト以降もほとんど変わりません。左ホホを止めたままスイングできるのが松山の特長で、フォロースルーでの頚椎とクラブヘッドの引っ張り合いが飛ばしに直結する大きなパワーを生み出すのです。
松山英樹(レクサス)
1992年2月25日生まれ、愛媛県出身。181㎝、90㎏。2013年プロ転向。日本ツアー8勝、米ツアー5勝。勝利数にとどまらず、世界選手権優勝など米ツアーにおける日本選手の記録を更新中。
フリートウッドは「三角形をキープ」して飛ばす!
①両肩と両腕の三角形を小さく見えるようなアドレス
②アドレス時の三角形がテークバックでも崩れない
③インパクトでも両肩と両腕の三角形を再現している
三角形キープでインパクトの正確性がアップ
フリートウッドはカラダがとても柔らかくて、両手首をクロスさせた状態でもラクにスイングできてしまうほど。こうした長所を生かして、アドレス時の両肩と両腕の三角形を変えないでスイングしています。
両ヒジがカラダから離れて外を向くことがないから、クラブヘッドの軌道が安定しやすいし、インパクトの再現性や反復性が高い。スイングの基本を思い出させてくれるようなスイングといってもいいでしょう。
トミー・フリートウッド(イングランド)
1991年1月19日生まれ。178㎝、76㎏。2010年プロ転向。17年に欧州ツアー賞金王となり、18年のライダーカップに初選出。長髪がトレードマークの人気プレーヤー。
リッキーはレイドオフトップから「最短距離」で下ろして飛ばす!
①両ヒジを軽く曲げてリラックスさせて構えている
②右ヒジを真下に向けたレイドオフのトップを作っている
③両ヒジにゆとりをもたせて、両腕をネジらないでインパクト
④両足をジャンプアップさせてヘッドを走らせている
右ヒジが真下を向いたままでインから振り下ろす
リッキーの場合、トップで右ヒジがすごく内側にきます。右ヒジが真下を指すようなレイドオフのトップを作り、右ヒジが下を向いたままでクラブをインサイドから下ろせるのがリッキーの長所です。
だからマキロイのように右腰と右ヒジを連動させて、右手でボールを真っすぐ押し込むようにインパクトできるのです。カラダはあまり大きくないのですが、あれだけ遠くに飛ばせるのは柔軟性にすぐれているからといえます。
リッキー・ファウラー(アメリカ)
1988年12月13日生まれ。175㎝、68㎏。2009年プロ転向し、翌年の2010年に米ツアー新人王に輝いた。そして、初優勝は12年「ウェルズファーゴ選手権」、さらに15年には「ザ・プレーヤーズ選手権」で優勝、トッププレーヤーの仲間入りを果たした。
スイング解説
内藤雄士ないとう・ゆうじ
1969年9月18日生まれ、東京都出身。98年にツアープロコーチとなり、米ツアーに参戦した丸山茂樹など多くのツアープロをサポート。現在もツアープロを指導しながら、母校の日大ゴルフ部のコーチもつとめる。ゴルフネットワークの解説でも活躍中。
取材トーナメント/ZOZOチャンピオンシップ、フジサンケイクラシック
【シリーズ一覧】
●Part1:ドライバースイング【連続写真をじっくり見て覚える!】USPGAツアープロたちの飛ばしテク!
●Part2:日本ツアー気になる選手たちの飛ばしテク!【ぶっ飛びインパクトのポイントを新発見!】
●Part3:プロゴルファー12人のドライバースイング連続写真|飛ばしのコツ