1. TOP メニュー
  2. ゴルフギアにお悩み
  3. クラブ選び
  4. 今、また増加中!? アイアン型ユーティリティ

今、また増加中!? アイアン型ユーティリティ

気になるギア

2021/02/04 ゴルフサプリ編集部

今では、3・4番アイアンの代わりにユーティリティというセッティングが当たり前。そしてユーティリティはいわゆる中間型が当たり前と思っていたら、アイアン型ユーティリティのモデル数が増えている気配だ。なぜ、今またアイアン型ユーティリティが増えているのか?その理由を探った。

GOLF TODAY本誌 No.584 132〜135ページより

主要メーカーだけでも10モデルもあった

最近アイアン型UTが増えている気配を感じ、主要メーカーのラインナップを確認したところ、現行モデルだけでも10機種もあった。1988年に発売されたプロギアの「インテスト(通称タラコ)」をUTの元祖とすれば、UTはアイアン型で誕生したと言えるのだが、その後FWに近い形状やアイアンとFWの中間形状など様々な形状のものが開発され、32年の年月を経てUTの形状は中間型に収れんしたかに思われていた。

ところが、今だにアイアン型UTの新作が発売されていた。なぜ今またアイアン型UTなのか?10機種を集め試打を行う前に、クラブとしてのアイアン型UTの特性を確認してみよう。3–4番アイアンに相当するクラブのロフトは21度前後。すると、アイアン型UT、中間型UTに加え、7番ウッドもこのロフトに該当する。これらの3タイプを比較すると、まずはヘッドの幅が大きく異なっている。

こちらもチェック!

アイアン型ユーティリティおすすめ人気ランキング10選

ヘッド形状の違いで重心位置が大きく変わる

ヘッド幅の違いは重心深度の違いに直結する。重心深度はアイアン型UTが最も浅く、ショートウッドは最も深くなる。重心角とヘッドの慣性モーメントも、ほぼこの違いに連動するので、アイアン型UTはその形状から中間型UTやショーウッドに比べ、重心角は小さく、ヘッドの慣性モーメントも小さくなる。

特徴:見た目だけでも球が上がりにくそう!

上の写真からもアイアン型UTは重心が高いことが分かる。ただし、スイートスポットの高さは重心深度によって変わるので、スイートスポットの高さの差は小さい。

ヘッド幅が広いほど重心深度は深く、ヘッドの慣性モーメントは大きく、重心角も大きくなる。すると、球のつかまりやすさ、スイートエリアの広さ、球の打ち出し角の高さが変化する。これらの要素で3タイプのヘッド特性を比較すると、7Wが最もスイートエリアが広く、球のつかまりがよく、打ち出し角は高くなりやすい。一方、アイアン型UTは、スイートエリアは狭く、球のつかまりは控えめ、打ち出し角は低くなり、中間型は両者の中間となる。

一番やさしいのは7W、中間型UT、アイアン型UTの順にやさしさが減って行くと見ていいだろう。

見た目で判断できる重心の高さから言っても、7Wが最も低重心、中間型UT、アイアン型UTと順に重心高さが高くなる。形状から判断できる特性の比較だと、やっぱりアイアン型UTは難しいのではと思えて来る。実際に打つとその評価は違うのか?試打で確認してみよう。

ロフトはほぼ同じでもソールの幅はこんなに違う。ここでも、アイアン型UTは難しそうに見える。

ヘッド形状の違いで特性はこう変わる

【試打】実際に打ってみた

田所嵩瑛
(たどころ・たかあき)
1998年生まれ、茨城県出身、サザンヤードCC所属。小学6年でゴルフを始め、2016年研修生に。2019年プロテストに一発合格を果たした、気鋭の新人プロ。

ゴルフライダーK
(小誌編集部員)
ゴルフ歴18年、平均スコア98。スライスが持ち球のアベレージゴルファーだったが、最近曲がりが減りつつある。

のみ助
(小誌編集部員)
ゴルフ歴35年、平均スコア90。パターでスコアを稼ぐシニアゴルファー。来年還暦。最近飛距離低下を感じている。

やさしさで比較したら中間型UTとショートウッド!

クラブの特性で比較すれば「難しそう」と思われるアイアン型UTだが、そうであればプロでもクラブにやさしさを求める現在、ニューモデルが発売される理由が見当たらない。そこで、アイアン型UT10機種の試打を行った。テスターはプロと2人のアマチュア(小誌編集部員)が担当。中間型UTと7Wも比較用に用意して試打を行った。

「想像していたよりも球が上がりやすい」、「ロングアイアンよりもはるかにやさしい、5番アイアンと比較してもやさしい」という評価があった反面、「上がりやすさは7Wが一番」とか「7Wや中間型UTの方が、スイートエリアが広くミスヒットに強い」というのがテスター3人共通の感想。また「7Wや中間型UTはハジキでボール初速が上がるけれど、アイアン型UTはあまり弾かない」という評価も共通していた。

【試打の結論】基本的にはアスリート向けだけど開閉が多い人やヒッカケが多い人 にも合う

形状による構えやすさと抜けの良さは魅力

試打の結果“やさしさ”で判断すればアイアン型UTよりも、中間型UTやショートウッドの方がすぐれているという評価だが、田所プロはアイアン型UTならではの長所もあるという。

「アイアン型UTは球のつかまりが控えめですから、ヒッカケにくいことがメリットです。また、ラフでの抜けの良さは他の形状では得られません、球が吹き上がらないこともプロにはメリットです」さらに「アドレスでの方向の出しやすさはアイアン型UTが一番ですね」と構えやすさも評価。また、スイートエリアが狭いこともメリットになるという。「アイアン型UTは芯を外した時に飛ばなくなりますが、あまり曲がらない。一方、ショートウッドや中間型UTは芯を外しても距離が落ちにくいものの、左右への曲がりも出るので、狭いホールなど方向性重視ならアイアン型がいい」と評価。アイアン型UTは基本的にアスリート向けと言えそうだが「アマチュアでも、フェースローテーションが多い人やヒッカケが多い人は、アイアン型UTを試す価値があります」と分析してくれた。

構えやすさとラフでの抜けはアイアン型UTのメリット。
フェースを開きながらテークバックする人は、中間型UTやショートウッドより、アイアン型UTの方が、方向が安定する。
体重が右に残ってヒッカケが多い人は中間型UTやショートウッドより、アイアン型UTの方が左へのミスが減る。

アイアン型UT 10モデル試打評価

SIM DHY【テーラーメイド ゴルフ】

スペック
●番手(ロフト)/#3(19)、#4(22)、#5(25) ●シャフト(フレックス)/N.S.PRO910GH(S) ●価格/3万5000円+税

やさしさ、飛び、操作性をバランスよく備えている

田所嵩瑛:上下左右への球筋の操作しやすさ、スイートエリアの広さ、上がりやすさも備えています。インパクトで球がフェースに乗っている時間が長く、打ち出し方向もコントロールしやすい。

ゴルフライダーK:球のつかまりがよく、上がりやすさもあるのでやさしく感じます。打感もソフトです。

のみ助:ラクに打てます。つかまる、飛ぶ、上がる。アイアン型でもすごくやさしい。

スリクソンZX ユーティリティ【住友ゴム工業】

スペック
●番手(ロフト)/#2(18)、#3(20)、#4(23) ●シャフト(フレックス)/ ①ディアマナZ X 6 0( S 、SR)、②N.S.PRO 950GH DST(S) ●価格/①3万1000円+税、②2万7000円+税

つかまり過ぎを避けたい人にオススメ

田所嵩瑛:球のつかまりが控えめなので、つかまり過ぎる心配がありません。ただし、球の上がりやすさはあるので、さほど難しくは感じません。ヒッカケたくない人向きですね。

ゴルフライダーK:球が上がりやすいロングアイアンという感じです。ヘッドサイズが小さいので抜けはいい。

のみ助:小ぶりなヘッドの割に打ちやすいかな。球が上がるのでハードヒッターなら止まりそう。

XフォージドUT【キャロウェイ ゴルフ】

スペック
●番手(ロフト)/18°、21°、24° ●シャフト(フレックス)/N.S.PRO950GH neo(S) ●価格/3万2000円+税

ハードヒッターのティショット用にオススメ

田所嵩瑛:ライナー系の強い球で、すごく飛びます。アイアン型UTというよりロングアイアンそのものといった顔で、球も低いのでヘッドスピードが速い人向けです。打感はソフトです。

ゴルフライダーK:アイアン顔なのでアドレスで方向を出しやすい。ロングアイアンよりはやさしいという感じです。

のみ助:5番アイアンよりはやさしく感じますが、ラクさせてはくれません。ハードヒッター向きかな。

タイトリスト U・510【アクシネット ジャパン】

スペック
●番手(ロフト)/#2(18)、#3(20)、#4(22) ●シャフト(フレックス)/タイトリストMCI マツトブラック70(S) ●価格/4万円+税

ドローヒッターで飛距離を出したい人に合う

田所嵩瑛:球のつかまりが控えめなのでドローヒッター向きです。スイートエリアが広く、ミスに強い。適度な弾きで飛距離も出ます。球の上がりやすさもあるのでキャリーで飛ばせます。

ゴルフライダーK:つかまり控えめですが、シャフトのしなりを使うとつかまります。スインガー向けかも。

のみ助:上がって、つかまって、飛びました!ミスヒットにも強くて打感もソフト。

タイトリスト U・500【アクシネット ジャパン】

スペック
●番手(ロフト)/#2(17)、#3(20)、#4(23) ●シャフト(フレックス)/タイトリストMCI マットブラック70(S) ●価格/4万円+税

球筋の操作性を持ったやさしいロングアイアン

田所嵩瑛:アイアンに近い形状で球のつかまりは控えめです。球の上がりやすさでロングアイアンよりやさしく感じます。上下左右に球筋をコントロールしやすいところが特徴です。

ゴルフライダーK:アイアン顔で打った感じもアイアンです。ラフでの抜けはいいです。

のみ助:見た目はアイアンですが、シャフトのしなりで球を押してくれます。つかまりは控えめですね。

ミズノプロFLI-HI【ミズノ】

スペック
●番手(ロフト)/#3(19)、#4(22)、#5(25) ●シャフト(フレックス)/ ①ダイナミックゴールド(S200他)、②Mフュージョン(i S他)他 ●価格/①2万3000円+税、価格/2万5000円+税※カスタム専用オーダーモデル

スイートエリアを拡大した3番アイアンの打ち味

田所嵩瑛:ミズノのアイアン同様のソフトな打感です。スピンが効いてグリーンに止まる弾道が出ます。基本的には3番アイアンと変わりませんが、スイートエリアが広くなっています。

ゴルフライダーK:ロングアイアンそのものと言った振り心地です。ちょっとだけやさしいかな。

のみ助:アイアンっぽいというか、アイアンです。プロ向けってことでしょう。

egg i+【プロギア】

スペック
●番手(ロフト)/4UT(21)、5UT(23)、6UT(25) ●シャフト(フレックス)/①オリジナルカーボン(R2、R、SR、S)、②ソフトスチール(R、SR)他 ●価格/①②3万円+税

アイアン形状で中間型UTのやさしさと打ち味

田所嵩瑛:球のつかまり、上がりやすさ、弾き感、スイートエリアすべて中間型UTと同じです。中間型UT形状やFWが苦手と言う人にオススメです。基本的には、はらい打ちに合います。

ゴルフライダーK:シャフトのしなりが大きめなので、シャフトのしなりを使って打てると簡単です。

のみ助:とにかくつかまって上がるから、ラクにキャリーで飛ばせます。だから力みも抜けます。

コブラKING ユーティリティアイアン【プーマジャパン】

スペック
●番手(ロフト)/# 3(18 - 21)、# 4(21-24) ●シャフト(フレックス)/N.S.P R Oモーダス3 ツアー105(R、S) ●価格/2万9000円+税

つかまり控えめのハードヒッター向けモデル

田所嵩瑛:球のつかまりが控えめなことと、クラブの重量感もあるので、つかまり過ぎを避けたいハードヒッター向きです。打感はソフトに仕上げられています。

ゴルフライダーK:球の高さは出ますが、つかまりは控えめ。弾き感のないアイアンの打感です。

のみ助:ボクにはクラブ重量が重いので、振り切れませんでした。パワーヒッター向きですね。

G425クロスオーバー【ピンゴルフジャパン】

スペック
●番手(ロフト)/#2(18)、#3(20)、#4(22. 5) ●シャフト(フレックス)/①ALTA J CB SLATE(R、SR、S、X)、②AWT2.0LITE(R、SR、S)他●価格/①3万6000円+税、②3万2000円+税

払い打ちでも打ち込んでもOK

田所嵩瑛:グースネックで、形状的にははらい打ち向けに見えますが、ダウンブローに打ってもOKでした。ニュートラルなつかまりでクセがなく、上がりやすさでやさしく感じます。

ゴルフライダーK:球が上がりやすく、打ち出し方向も出しやすく感じました。方向が安定しそうです。

のみ助:アイアン形状ですが、球がつかまって上がるからやさしい。右方向のミスが減りました。

SIM UDI【テーラーメイド ゴルフ】

スペック
●番手(ロフト)/#2(18)、#3(20)●シャフト(フレックス)/N.S.PRO910GH(S) ●価格/3万5000円+税

つかまりすぎを避けたいハードヒッター向き

田所嵩瑛:球の打ち出しが低めで強い球が出ます。ヘッドスピードが遅いとちょっとしんどいかもしれませんが、ハードヒッターならつかまり過ぎと上がり過ぎを避けられます。

ゴルフライダーK:アイアンに近い打感です。小ぶりですが、ロングアイアンよりはやさしい。

のみ助:打感が凄く気持ちいいんですが、球が上がり切らない感じでした。

撮影協力/サザンヤードCC(茨城県)