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小祝さくら・渋野日向子・原英莉花|力一杯振っても曲がらない女子プロの技術に学ぼう!! 【飛ばして、曲げない】

今年こそ曲げない!「失敗しないティショットの打ち方」PART2

2021/04/25 ゴルフサプリ編集部

大西翔太コーチが解説曲げないドライバーテクニック!!

最近の女子プロたちは急速にレベルアップしていると聞く。飛距離もよく出ているが、それ以上に曲がり幅が少ないのだ。どうすればフェアウェイに真っすぐ打てるようになるのか!? 気鋭のプロコーチ、大西翔太が曲げないヒントを解説してくれた。

GOLF TODAY本誌 No.586 36〜53ページより

渋野日向子の曲げないテクニック

ヒジが下を向いたままで上体の三角形をキープ!

両肩と両腕のつくる三角形が崩れないからインパクトが正確。

[曲げないPOINT]構えたときの両ヒジの向きに気を配ろう

渋野日向子選手のスイングの一番の長所は、アドレスの両肩と両腕のつくる三角形がスイング中に崩れていないこと。アドレスでは両ヒジが両ワキ腹を指すように下に向けて、両ワキをほどよく締めて構えています。このときの両肩と両腕の三角形がインパクトでキレイに再現されているのです。

スイング中にワキが開くとヒジが浮いて、両肩と両腕のつくる三角形が崩れてしまいます。スイングの軌道がブレて、インパクトでフェースがスクエアに戻りにくくなるのです。球を曲げないようにするには、まずアドレスをチェック。渋野選手のように両ヒジを下に向けて構えたら、両肩と両腕のつくる三角形をキープしてスイングする意識を持ちましょう。

渋野日向子はアドレスで両ヒジがワキ腹を指している。
両手で重いものを抱えて持つように、両ヒジを下に向けて構える。
アドレスの両肩と両腕の三角形をインパクトできれいに再現する。
スイング中にワキがあくと上体の三角形が崩れてしまう。

渋野日向子

しぶの・ひなこ(サントリー)1998年11月15日生まれ、岡山県出身。167㎝。2019年に全英女子オープンに初出場で優勝するなど大ブレイク。20年は海外を中心にプレー。全米女子オープンでは優勝争いの末に惜しくも4位。

笹生優花の曲げないテクニック

左足を強く踏み込んでヘッド・ビハインドを実現!

左足を踏み込んで頭をしっかりキープ/フォローでカラダが逆「く」の字となる。

[曲げないPOINT]頭を一定に保ち、フォロースルーでキレイな弧を描く

笹生優花選手のスイングで注目して頂きたいのは「ヘッド・ビハインド・ボール」の形です。インパクトで頭がボールの後方にしっかり残っていて、フォロースルーでも頭の位置が変わっていません。カラダの右サイドが逆「く」となり、クラブヘッドをキレイな軌道で大きく振り抜いていることがわかるでしょう。これはインパクトでボールを正確に打ち抜けた結果です。

ヘッド・ビハインド・ザ・ボールは切り返しで左足をグッと踏み込むのが絶対条件。笹生選手のように左足の踏み込みが強い人はカラダが突っ込みませんが、左足を踏み込まないで手先でボールを打ちにいくと、頭がボールに向かってしまいます。

左足を踏ん張れないと、上体が前に突っ込んでしまいやすい。
インパクトで左頬を押されているイメージを持つといい。/インパクトでヘッド・ビハインド・ザ・ボールができればフォロースルーでキレイな円弧を描ける。

笹生優花

さそう・ゆうか(ICTSI)2001年6月20日生まれ、東京都出身。166㎝。20年シーズンのルーキーイヤーにNEC軽井沢72ゴルフトーナメント、ニトリレディスで2大会連続優勝を果たすなどの大活躍。20年賞金ランク1位。

古江彩佳の曲げないテクニック

右ヒジを下ろすポジションが一定でミート率が高い!

ダウンスイングで右ヒジが右ワキ腹にぴったりと密着/右ヒジと右腰が同調し、真っすぐ押す感覚のインパクト。

[曲げないPOINT]ダウンスイングの右ヒジがクラブの軌道を支配する

古江彩佳選手の長所がとくに光っているのは、ダウンスイングからインパクトにかけての部分です。ドライバーに限らずどのクラブもそうですが、ダウンスイングで右ヒジが下りてくるポジションがつねに一定しています。

トップから右ヒジを自然に落とす感じでクラブを振り下ろし、右ヒジが右ワキ腹についたところから右腰の回転と連動して、右手でボールを目標に真っすぐ押し込んでいくイメージで打ち抜いています。ダウンスイングで右ワキが開いても、右ヒジを絞りすぎてもボールが左右に散らばりやすくなります。古江選手のように右ヒジでダウンスイングの軌道をコントロールする感覚がとても大切です。

トップのポジションから右ヒジを右ワキ腹に向かってストンと落とすイメージ。
右ヒジを絞りすぎてもクラブが寝て下りるため、フェースが大きく開く。
ダウンスイングで右ワキが開くとクラブがアウトサイドから下りてしまう。

古江彩佳

ふるえ・あやか(フリー)2000年5月20日生まれ、兵庫県出身。153㎝。ツアーデビュー戦となった2020年はデサントレディース東海クラシック、伊藤園レディス、大王製紙エリエールレディスで優勝。賞金ランク2位。

原英莉花の曲げないテクニック

お腹に力を溜めて前傾角度をしっかりキープ!

沈み込むようなフォロースルーに球を曲げないヒントがある

[曲げないPOINT]インパクト後もカラダを下に沈ませるイメージ

原英莉花選手のすごいところは、アドレスの前傾角度がインパクトはもちろん、フィニッシュまでまったく変わらないこと。とくに注目したいのがボールを打ち終えた直後にカラダを沈み込ませているという点です。

カラダの柔軟性や体幹の強さが身体的長所といえますが、球を曲げないためには原選手のように前傾角度をしっかりキープするのも大切な要素。インパクトで上体が起きると手元が浮いてフェースが開いて当たってしまいます。これはお腹を緩めるのが一番の原因です。お腹を引き締めてカラダの内側にパワーを溜め込み、上体を少し沈ませるつもりでボールを打ち抜けば曲がりを抑えられます。

アドレス時の前傾角度をスイング中も変えないことが大切だ。
お腹を引っ込める意識を持つとカラダを沈み込ませやすい。
インパクトで上体が起きやすいゴルファーが多いので注意。
体幹からパワーを逃がさずに前傾角度をキープ。結果的にボールを正確にとらえられる。

原英莉花

はら・えりか(日本通運)1999年2月15日生まれ、神奈川県出身。173㎝。2019年のリゾートトラストレディスでツアー初優勝。20年は日本女子オープン、JLPGAツアー選手権リコー杯と2つの公式戦を制した。賞金ランク3位。

小祝さくらの曲げないテクニック

体幹を使う意識が強いからカラダの軸がブレない!

体幹を使ってしっかりインパクト/カラダの軸の安定性が高いフォロースルー

[曲げないPOINT]体幹そのものをスイングの軸と考えよう

カラダの軸の安定性が高くて、体幹をしっかり使っている。小祝さくら選手のスイングはそんな印象です。スイングの軸というと首の付け根や背骨を意識する人が多いと思いますが、軸の安定性を高めるには背骨よりもずっと太い軸をイメージするのがいいでしょう。

小祝選手の場合、体幹の全体を軸と考えて、スタンス幅の中でカラダを回しているという感覚です。軸が太いから回転運動もクラブヘッドの軌道もブレないのです。昔よくいわれたように、電話ボックスの中でカラダを回すイメージ。カラダの中心部であるお腹を左右に回すことを考えれば、スタンス幅の中で軸回転がスムーズにできます。

お腹を左右に回すだけの感覚でスイング。軸回転によって左右の体重移動が自然に発生する。
スタンスの幅の中でカラダを回す意識を持てば、太い軸をイメージしやすい。
背骨を軸と考えるのもいいが、カラダがブレやすい点に注意。

小祝さくら

こいわい・さくら(ニトリ)1998年4月15日生まれ、北海道出身。158㎝。2019年にサマンサタバタレディスでツアー初優勝。20年はゴルフ5レディス優勝、日本女子オープン2位などの活躍で賞金ランク4位。

酒井美紀の曲げないテクニック

カラダ全体が連動したストレスのないスイング!

カラダを素直に回す感じのトップ/インパクトでクラブヘッドがスムーズに通過/フィニッシュまでクルッと回転。

[曲げないPOINT]ナチュラルにカラダを回せば軌道が整いやすい

カラダの全体で回転しているという感じのスイングです。通常はスイング中にカラダの動かない箇所がどこかあるものですが、酒井美紀選手はカラダの全部を動かしていて、スイングにストレスがまったく見られません。2020年のフェアウェイキープ率1位だけにクラブの位置や軌道がとても整っていて、球を曲げてしまったのを一度も見たことがないほどです。

シニア世代の方々はカラダが硬くて回りにくいと感じたら、無理に止めないでカラダの全体を動かす意識を持つといいと思います。そのヒントが狭めのスタンスです。回転がスムーズになりますし、足の裏でリズムを整えながらボールを打つ感覚も生じます。

スタンスの幅を狭くすればバックスイングの回転もスムーズ。歩くときのような感覚でリズムよく振りやすい。
カラダにストレスがないから、フィニッシュまで気持ちよく振り切れる。

酒井美紀

さかい・みき(国際スポーツ振興協会)1991年5月24日生まれ、福島県出身。165㎝。2020年は伊藤園レディスで古江彩佳とのプレーオフに敗れて惜しくも2位。賞金ランク11位。ツアー通算2勝。

木村彩子の曲げないテクニック

リストワークを抑えてクラブの操作性をアップ!

構えた位置に手元を戻してインパクト/手首の稼動を抑えて振り抜けば球が曲がらない。

[曲げないPOINT]クラブの遠心力で手首が自然に稼働するだけでいい

木村彩子選手のスイングはとてもシンプルで、再現性の高さを感じさせます。2020年のシーズンはフェアウェイキープ率5位の成績が示すようにショットが安定していました。その秘訣は手首の動きの抑制にあると思います。

手首をガチガチに固めるのではなく、手首を意図的に使わないでクラブヘッドの遠心力から生じる自然なリストワークにまかせておくというイメージです。アドレスの段階で手首を親指側に軽く折ると、最初からコックを済ませた状態となります。あとは腕とクラブをカラダの正面にキープして、お腹を左右に回転するだけ。手首が無駄に動かないからクラブの軌道の安定性が高く、球も曲がらないのです。

最初から手首を親指側に軽く折った状態でアドレスする。
手首を使わなければフェース向きが変わらず、インパクトの精度がアップ。

木村彩子

きむら・あやこ(富山常備薬グループ)1995年11月2日生まれ、大阪府出身。155㎝。2020年は日本女子プロ2位、TOTOジャパンクラシックなどの好成績を残して賞金ランク14位。21年は初優勝に期待。

青木瀬令奈の曲げないテクニック

右腰から左腰までのインパクトゾーンが安定!

インパクトゾーンの安定性が高いほど曲がらない球が打てる。

[曲げないPOINT]ハーフショットの練習で軌道のブレを減らそう

青木瀬令奈選手の場合、テークバックの段階で体重の8割が右足に乗り、インパクトも体重を右足に残し気味にボールをとらえています。右足軸のイメージが強いスイングですが、球が曲がらない一番の理由はインパクトゾーンでのフェースアングルが安定しているところでしょう。

ダウンスイングの右腰の高さからフォロースルーの左腰の高さまで、フェースをスクエアにキープしたままでカラダを回転。青木選手はハーフショットの練習で、この動きをつねにチェックしています。フルショットはこのハーフショットの延長と考えれば、インパクトゾーンの軌道の誤差が激減し、フェースもスクエアにキープしやすいのです。

ダウンスイングからフォロースルーにかけてのフェースアングルの安定度が高い。これが球が曲がらない秘訣。
右腰の高さから左腰の高さまでの軌道を一定させることが大切。ハーフショットの練習が大きく役立つ。

青木瀬令奈

あおき・せれな(マツシマホールディングス)1993年2月8日生まれ、群馬県出身。2017年ヨネックスレディス優勝。20年は日本女子プロ9位タイ。賞金ランク52位。フェアウェイキープ率は6位。

◎スイング解説 大西翔太

おおにし・しょうた
1992年生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロとなり、JPGA公認A級の資格を取得。ジュニアゴルファーの指導の一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。フィジカルやメンタルの知識も豊富。

取材トーナメント/NEC軽井沢72ゴルフトーナメント、ニトリレディス、TOTOジャパンクラシック


今年こそ曲げない!「失敗しないティショットの打ち方」


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【今年こそ曲げない!「失敗しないティショットの打ち方」】
Part1:【日本一曲がらない男】稲森佑貴がレクチャーする失敗しないティショットの打ち方!!
Part2:飛ばして、曲げない力一杯振っても曲がらない女子プロの技術に学ぼう!!