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大里桃子が達成した5週連続2位以内の位置づけは!?

「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.82

2021/06/13 ゴルフサプリ編集部

黄金世代の大里桃子がパナソニックオープンレディースからリゾートトラストレディスまで5週連続で2位以内(2位、2位、優勝、2位、2位)という抜群の成績を残した。この記録、50年を超える国内女子トーナメントの歴史の中ではどれほどの位置づけなのだろうか。

大里桃子が達成した“5週連続2位以内”の位置づけは!?

大里の5週連続2位以内を日本女子プロゴルフ協会は公式ウェブサイト中で「JLPGAツアー制度施行後、史上初の快挙」と発表している。確かにこれは事実であるが、今ひとつ釈然としない。なぜなら二つの制限をかけて枠を狭めた中での「史上初」だからだ。

制限の一つは「ツアー制度施行後」、つまりツアー制度が施行された1988年以降に限るということ。ツアー制度施行とは簡単に説明するとかつてはトーナメントごとにバラバラだった賞金総額やラウンド数、出場資格などに全体を通じた基準を設けたということである。

もう一つは「○週連続」に限っていること。欠場や日程上の空き週が間に入っているケースは含まれていないのだ。

「ツアー制度施行後」に限ってしまえば、それ以前にいくら素晴らしい記録があっても日の目を見ない。これではツアーの歴史をつくってきた先人達の存在がないがしろにされているように感じる。よって、このコラムではツアー制度施行前と欠場などを挟んだケースも加えた上で、大里の記録の価値を判断したい。

大里以前に出場5試合以上連続での2位以内は12例(ツアーメンバーのみ)あった。最長は樋口久子が1970年から72年にかけてマークした12試合連続。当時は試合数が少ないために3年がかりでの記録になっている。内容は9勝、2位3回というものだった。樋口は1人で5例も記録している。

ほかに「ト*(※さんずいに余)」阿玉が4例、岡本綾子、申ジエ、朴仁妃が各1例である。ツアー制度施行後では申と朴だけで、いずれも欠場を挟む出場5試合連続(申の1試合目はツアーメンバー登録前だが、これもカウントする)。直近は2010年の朴だった。

「○週連続」となると、1984年ト*の6週連続以来。大里の記録は実に37年ぶりの快挙だったのだ。

過去に達成している選手の顔ぶれを見ると、樋口、ト*、岡本はレジェンド中のレジェンドであるし、申と朴は世界ランキング1位経験者。つまり、これだけのすごいメンバーしかできなかったことを、2勝目を挙げたばかりの大里がやってのけたのである。これもまたすごいことだ。

枠を狭めた中で「史上初」とするよりも、すべての歴史の中で比較したほうが正しく評価できるはず。大里の記録は紛れもなく極上の一級品である。

国内女子ツアーの5試合以上連続2位以内(達成順)

選手名 試合数
1967〜70 樋口久子 7
1970〜72 樋口久子 12
1972〜73 樋口久子 6
1974 樋口久子 6
1976〜77 樋口久子 6
1977 岡本綾子 ☆5
1982 ト*阿玉 ☆5
1983〜84 ト*阿玉 5
1984 ト*阿玉 ☆6
1986 ト*阿玉 5
2008 申ジエ 5
2010 朴仁妃 5
2021 大里桃子 ☆5

☆は連続週
(※さんずいに余)


文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。

撮影トーナメント/2020NEC軽井沢72ゴルフトーナメント
撮影/JGMA



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