ライ角とは|適正な角度の調べ方と調整方法【ゴルフクラブ基礎知識】
ゴルフクラブのライ角とはクラブのソールを地面と平行においたときに、シャフトと地面の間にできる角度のこと。ライ角が自分の構えに合わないと、フェースの方向が左右にぶれてボールが目標に飛んでくれません。
ここでは、構えにあった適正なライ角の調べ方と、合わないときの調整の方法までを解説します。加えて、ライ角調整ができるメーカー直営のフィッティングスタジオを紹介しますので、参考にしてください。
ゴルフクラブのライ角とは
ライ角とは、クラブのソール(底の部分)を地面と平行に置いたときに、シャフトと地面の間にできる角度のことです。ライ角が自分の構えに合ったときは、ソールが地面にぴったりついてフェースが目標を向きます。
一方、適性でないライ角は、フェースの向きが左右にブレて打球の方向性を狂わす原因となります。クラブの種類によりますが、ライ角は調整が可能なので、自分の構えに合わないときは適正な角度にライ角調整をするといい結果につながることが多いです。
- ライ角のアップライト・フラットの違い
- 適正なライ角に調整するメリット
ライ角のアップライト・フラットの違い
クラブを地面において構えたときに、トゥ(クラブの先)が地面から浮いている状態をアップライトといいます。このとき、クラブのフェースは目標に対して左の方向を向きます。反対にヒール側が地面から浮いている状態をフラットといいます。このとき、クラブのフェースは目標に対して右を向きます。
このような現象がおこるのは、クラブのフェースが傾斜していることが原因です。目標に正しく構えたつもりでもフェースが傾斜しているので、実際のフェース面は左右にブレてしまいます。自分では方向が違うことに気が付きにくいので、注意が必要です。
8割のゴルファーが合っていない!? 結果がすぐに出るライ角調整
今回はクラブのソール(底の部分)を地面と平行においたときに、シャフトと地面の間にできる角度であるライ角について。ライ...
適正なライ角に調整するメリット
適正なライ角とは、構えたときソールの先端がすこしだけ浮いた状態の角度をいいます。クラブを振ると自然に先端が下がるトゥダウンという現象が起こるので、2~3ミリほどトゥを浮かせておくのが正解です。
適正なライ角に調整する最大のメリットは、フェースの方向が狂わないので目標に向かって正確に打てることです。また芯に当たるので、ミート率が上がり、飛距離がアップします。
芯に当たるとボールの感触が柔らかくなり、打球音もいいので、気持ちよくスイングができます。
適正なライ角の調べ方と調整方法
正しいスイングをしているつもりでも打球の方向が狂うゴルファーは、ライ角が不適正であれば調整をする必要があります。ここでは、適正なライ角を調べる方法と、ライ角の調整方法について解説します。
- 適正なライ角を調べる3つの方法
- ライ角の調整方法
適正なライ角を調べる3つの方法
ここでは、適正なライ角を調べる方法を3つ紹介します。
- アイアンのソール面に市販の「ショットマーカー」を貼って練習場でスイング。こすれ跡がネック寄りならアップライト過ぎで、トゥ寄りならフラット過ぎます。
- アイアンショットのディボット跡を確認する。ソール幅通りの長方形のターフなら適性。
- ショップやクラフトで計測する。適性かどうかデータ表示してくれます。
ライ角は専門家に調べてもらうのがいちばん確実な方法です。フィッターなら自分に合う適正なライ角を教えてくれます。
ライ角の調整方法
ライ角の調整は主にアイアンやパターで行います。ウッドやユーティリティではアイアンと違ってネックが曲げられないので通常行いません。最近では、ドライバーやウッドに調整機能がついたモデルが発売されているので、カチャカチャと自分で調整ができます。
アイアンのライ角調整は専用の機器を使用して行います。まず、ヘッドを固定してから、ネックの部分をテコの要領で曲げて行きます。少しずつ曲げて、適正なライ角になったら、試し打ちをします。ヘッドの素材の種類や、ネックの状態で調整ができない場合もあります。
ライ角の調整は失敗することもあるので、熟練した技術を持ったクラブフィッターやクラフトマンのいる工房がおすすめです。
ライ角の選び方【ゴルフクラブ別】
ここではドライバーから、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターの順に適正なライ角の選び方を解説します。あわせて、どのようなときにライ角調整が必要かを説明します。
- ドライバーのライ角の選び方
- フェアウェイウッドのライ角の選び方
- ユーティリティのライ角の選び方
- アイアンのライ角の選び方
- ウェッジのライ角の選び方
- パターのライ角の選び方
ドライバーのライ角の選び方
ここ数年、市販されているドライバーのライ角は、58度から59度が標準です。最近は60度程度のアップライトでつかまりやすい“飛び系”タイプが増えています。
打球が右に行きやすいスライス系で、飛距離が出にくいゴルファーはアップライトなライ角を選ぶとボールのつかまりがよくなっていいかもしれません。距離の出るドローボールはアマチュアゴルファーには魅力的です。
逆に打球が引っかけ気味のフックになる方は、フラットなライ角を試してみることをおすすめします。フック系の打球は安定性に欠けるので、フェードの出るフラットタイプを選ぶ上級者も多いです。
フェアウェイウッドのライ角の選び方
フェアウェイウッドのライ角は、地面にソールがぴったりつくのが理想です。アップライトでは左に行きやすく、フラットでは右に行きやすい状態が起こります。ただし、フェアウェィウッドはロフト角がアイアンより小さいのでフェース面の向きへの影響は比較的少ないです。
ただ、ライ角が合わないと、接地部分がトゥかネックに偏るため、ハーフトップのミスが起こる傾向があります。FWの特徴はボールを上げて距離が出やすいことなので、FWのライ角は適性であることが重要です。
ウッドのライ角はアイアンと違ってネックを曲げることができません。最近は可変式クラブが増えたので、FWを購入するときは可変式を検討することをおすすめします。
ユーティリティのライ角の選び方
ユーティリティのライ角は、一般的に61~61.5度のつかまりやすいアップライト系が主流。最近は、メーカーやモデルによってアップライ系とフラット系に大きく分かれています。
ライ角はカタログの表示数字とリアルライ角が異なることが多いです。ユーティリティのライ角は調整が難しいので、購入するときは、いろいろなメーカーの候補モデルを直接ショップで構えてみて、トゥ側の浮き沈みをよくみましょう。
ユーティリテイはライ角調整のできるモデルもあるので検討してみましょう。
アイアンのライ角の選び方
アイアンのロフト角は番手毎に階段状にフローさせることが重要です。例えば、5Iが61度なら、6Iは61.5度、7Iは62度、8Iは62.5度、9Iは63度、PWは63.5度と0.5度刻みとなります。
ライ角によるフェース面のズレはロフト角の大きさに比例するので、アイアンのライ角はドライバーやFWよりもはるかに深刻なテーマです。「ライ角はアイアンの命」といわれる所以です。
番手間のライ角が適正でないと、アイアンのフローが乱れてしまいます。特定のアイアンだけライ角がずれると、トータルの番手別のリズムがくずれるので、必ずライ角調整が必要となります。
ウェッジのライ角の選び方
ウェッジは短い距離からボールをピン側に寄せるクラブなので、ゴルファーに会った適正なライ角であることが極めて重要です。不適正なライ角によるフェース面の方向のブレはロフト角の大きさと比例します。
ウェッジは他のクラブよりロフト角が大きいのでライ角が適性でないと方向が大きく狂い、致命的なミスにつながります。また、ライ角が適正でないとウェッジのバンス機能をうまく使えません。
ウェッジがうまく抜けない、狙った方向にボールが飛ばないときは、ライ角を調整するのがいいでしょう。ライ角をわずか1度変えるだけで、狙い通りの打球が出るかもしれません。
パターのライ角の選び方
パターのライ角は通常70度~72度で設計されています。パッティングはパットを吊すように構えて、立て振りにするとボールを真っ直ぐ打てます。ライ角がフラットだと、ボールから離れたアドレスになり、立て振りのストロークができにくくなります。
パットが横振りになるとパターを支えるために腕に余分な力が入り、ミスが起こりやすいです。ライ角をアップライトにすると、目の位置の真下にボールが来るようにアドレスができて、ストレートなスイングが可能になります。
ライ角調整の相談ができるフィッティングスタジオ【メーカー直営】
ライ角の調整は、素材の種類やモデルによって調整ができるクラブとできないクラブがあります。調整に失敗する危険もあるので、熟練した技術を持ったクラブフィッターやクラフトマンのいる工房と相談することをおすすめします。
以下では、ライ角調整の相談ができるメーカー直営のフィッテイングスタジオを紹介します。
フィッティングスタジオ | 住所 |
---|---|
PRGR AKASAKA by プロギア | 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル B2 |
HONMA Total Fitting Plaza神田 by 本間ゴルフ | 東京都千代田区鍛冶町1-5-7 江原ビル1F |
ブリヂストンゴルフガーデンTOKYO by ブリヂストンスポーツ | 東京都千代田区丸の内1-6-1 丸の内センタービルディング 1F |
タイトリスト フットジョイ フィッティングスタジオ by タイトリスト | 神奈川県藤沢市遠藤3415 藤沢ジャンボゴルフ内 |
ピン フィッティング スタジオ新宿 | 東京都新宿区西新宿2-4-1新宿NSビル1F |
東京パフォーマンスセンター by キャロウェイゴルフ | 東京都港区白金台5-12-7MG白金台ビル(キャロウェイゴルフ本社ショールーム内) |
パットラボ丸の内 by オデッセイ | 東京都千代田区丸の内2-1-1明治安田生命ビル 丸の内 MY PLAZA 1F(キャロウェイアパレル丸の内路面店内) |
ヤマハゴルフスタジオ高輪 by ヤマハ | 東京都港区高輪2-17-11 |
ONOFF FITTING LABO ROOM 東久留米 by グローブライド | 東京都東久留米市前沢3-14-16 グローブライド(株)本社6F |
エスポートミズノ by ミズノ | 東京都千代田区神田小川町3-1 |
14フィールド by フォーティーン | 群馬県高崎市吉井町神保722 |
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【Q&A】ライ角について多い質問
ライ角はなかなか理解しにくいテーマ・用語でもあります。ここではライ角について多い3つの質問に答えます。具体的な回答を準備しましたので参考にしてください。
- ライ角が適正でない場合のデメリットは?
- アイアンにはライ角調整できない素材があるの?
- 身長を基準に適正なライ角を調べる方法とは?
Q. ライ角が適正でない場合のデメリットは?
ライ角が適正でないデメリットは、打球の方向性が悪くなり、コントロールできないことです。アイアンでは番手通りの飛距離が出にくくなります。また、芯に当たらないので打感も悪くなります。
このようなとき、アドレスでハンドアップやハンドダウンをして調整する傾向があります。弾道がいつも右または左にぶれる人は、無理矢理スイングで調整しようとします。その結果、手首を返してスライスを調整するなど悪いスイングが身につくことがあるので、要注意です。
Q. アイアンにはライ角調整できない素材があるの?
ライ角調整は通常、ヘッド素材が軟鉄鍛造(フォージド)であれば可能です。鋳造アイアンはライ角調整ができません。まれにソフトステンレスなど鋳造でも調整できる素材があります。
繊細な作業なので、実際にライ角調整ができるかどうかは、工房の判断次第です。調整で変更できる範囲は±2度位まで、変更も回数は2回くらいまでであることを覚えておきましょう。
Q. 身長を基準に適正なライ角を調べる方法とは?
【身長と適正ライ角の関係・参考例】
身長 | 160cm | 170cm | 180cm |
---|---|---|---|
6番アイアン | 60.5度 | 61.5度 | 62.5度 |
7番アイアン | 61度 | 62度 | 63度 |
8番アイアン | 61.5度 | 62.5度 | 63.5度 |
※日本人男性の標準身長170cmを基準とした番手別・身長別の適正ライ角の目安
一般的なメーカー品は日本人男性の平均的身長である170cmの人を想定してライ角を設計しています。赤字の箇所が純正メーカー品の番手別ライ角(例)になります。
このクラブを買った身長160cmの人、180cmの人の本来の適正ライ角は細字の箇所です。図のように身長の差10cm毎に1度のライ角の差ができています。メーカー品は170cmの人を対象にライ角を設計しているので、身長が違うと適性のライ角の差がこれだけあるということになります。
これは大枠の目安ですが、最近では身長別に番手毎のライ角度を計算できるサイトもあります。自分の身長を当てはめて、適正ライ角を調べてくださいね。
ゴルフクラブのライ角について改めておさらい
ゴルフクラブのライ角は地面にソールがぴったりつくのが理想。トゥが浮いたり、ヒールが浮くとフェース面が乱れて、スライスやフックの原因となります。
アイアンやウェッジなど短いクラブは「ライ角が命」。あなたに合った適正なライ角を調べて、ライ角を調整すると狙い通りの球筋が期待できます。
スイングを直しても方向が乱れる方は、一度、ライ角調整の相談ができるメーカー直営のフィッティングスタジオを訊ねてみてはいかがでしょうか。
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