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ゴルフと頭痛1|ラウンド前日にいつもの偏頭痛がでたら、キャンセルよりゴルフに行きましょう!

生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第8回

2022/03/18 ゴルフサプリ編集部

1カ月に2〜3回以上頭痛に悩まされる方がいるといいます。ゴルフ前日や当日に頭痛がでた場合、「キャンセルして安静に過ごす」方も多いようです。しかし、「必ず一度は病院を受診してください。そのうえで、ゴルフはほとんどの方の頭痛予防に最適です」と言うのは、代々木あおいカイロプラクティックの秋山誠司院長です。ゴルファーの頭痛と注意点について教えていただきましょう。
健康指導/秋山誠司氏(代々木あおいカイロプラクティック院長)

ラウンド前日にいつもの偏頭痛がでたら、キャンセルよりゴルフに行きましょう!

頭痛の大半は緊張性だが、まずは病院を受診

「ほとんどの頭痛は、偏頭痛か緊張性頭痛かに分けられます。ただ、当然ながらその他の頭痛もありますので、必ず1度は病院を受診することが必須です」。秋山誠司院長は、冒頭にこう説明してくれました。

そのうえで、ふだん頭痛に悩まされている方は自分の頭痛がどちらのタイプかはっきりすれば、より適した対処法や予防法もわかってコントロールしやすくなります。また病院を受診して大きな病気が隠れていないとわかれば、ひとまず安心です。

ズキンズキン脈打つ偏頭痛は、全体の1〜2割

いろいろな対処法を試してきたけれどなかなか収まらなかった頭痛に、改めて向かい合っていきましょう。

「偏頭痛はすべての頭痛の1割くらいと圧倒的に少なく、ズキンズキンと拍動とともに脈打つ痛みが特徴です。一方、8〜9割と大半を占めるのが緊張性頭痛です。緊張性頭痛の大半は筋肉が張ったり硬くなったりして生じた「トリガーポイント」が引き起こします。頭を支える首や肩の筋肉への負担の蓄積が痛みを生じさせるのが特徴です」。

今回は、頭痛が頻繁に起こる方の多くを占める緊張性頭痛の前に、比較的強い痛みが生じやすいといわれる偏頭痛について、みなさんと一緒に考えていこうと思います。

血管が広がり神経を圧迫するから痛くなる

まず最初に、偏頭痛のメカニズムを秋山院長に説明していただきました。

「体の中には無数の血管があり、すべての血管の周りを取り囲むようにいろいろな神経が張り巡らされています。血管はリラックスしているときは広がり、緊張すると縮まります。自覚はなくても、血管は1日のうちにリラックスと緊張、つまり拡張と収縮を繰り返しているんです。

ここで問題になるのは、緊張する時間が長いと脳内の血管は収縮した状態が長く続き、周りに張り巡らされている神経も細くなっている状態にあわせて血管を取り囲むようになることです。緊張した状態の血管を取り囲むのが当たり前になると、久しぶりにリラックスして血管が広がったときは周りの神経を圧迫してしまいます。それによって起きるのが偏頭痛です」。

環境やメンタルなどさまざまな要因によって起きる血管の変化が原因で生じるのが偏頭痛です。血管が原因で起きるため、心臓の鼓動と共にズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴なのだそうです。

休日、飲酒時、入浴後に偏頭痛は起きやすい

血管が広がって周りの神経を圧迫して痛むのは、どんな時なのでしょうか。

「先ほども言ったように、血管はリラックスすると拡張します。ですから偏頭痛の方は、どちらかというと仕事中より終業後、休みの日に頭が痛くなるケースが多いです。例えば、ひと仕事終わってお酒を飲んだり、ゆっくり入浴したりして、リラックスした時に血管が広がって痛みます」。

ゴルファーだったら、ラウンド後に気持ちよく入浴して上がったころでしょうか。帰宅後アルコールとともに早めの夕飯を食べたころでしょうか。いずれにしても、せっかくのリラックスタイムに頭痛がでるのは辛いですよね。

突発的な頭痛には、額を冷やすか飴が有効

薬に頼る方もいると思いますが、それ以外に、また薬を持っていないときに、頭痛を収める方法はないものでしょうか。

「拡張した血管が神経を圧迫しているなら、収縮させれば圧迫がなくなり頭痛は和らぐはずです。ですから突発的に起きた偏頭痛を収める対処法としては、おでこを冷やすとラクになります。また、飴をなめるのも対処法のひとつです。これは、空腹時など血糖値が低下すると脳の血管が拡張して偏頭痛が起きた場合に有効といえます」。

あくまでも対処法に過ぎませんし、個人差もありますが、ラウンド後など予期せぬ場面で偏頭痛の痛みが出はじめてしまった時は、痛みへの対処法を複数知っているに越したことはありません。

参考までに、病院で処方される偏頭痛の薬はさまざまありますが、広がった脳の血管を収縮させるものが主なようです。頭痛の予兆や始まりに飲まないと効きにくいなど特徴がありますので、医師の指示に従って服用してください。

血管を収縮させる薬は市販薬にはありません。市販薬の場合は通常の鎮痛薬を使うことになりますが、飲みすぎると体の機能低下により頭痛が悪化するケースもありますので、注意が必要です。一度、頭痛の専門医を受診して相談しましょう(一般社団法人日本頭痛学会HPよりhttps://www.jhsnet.net/)。

ゴルフや適度な運動で血管を広げることが大事

いずれにしても、偏頭痛を根本的に治すにはどうしたらいいのでしょうか。

「なかなか100%は、よくならない人も多いようです。ただ、ひとつ言える大事な点は、リラックスすることを恐れず、楽しく運動しましょう、ということ。血管を広げるためには、リラックスして、適度な運動をすることが大切だからです。リラックスに慣れ、血管が広がるのに慣れてほしいですね。例えば、明日はゴルフだという時にいつもの偏頭痛がでたとしたら、明日は行くのをやめようと思うのではなく、むしろゴルフに行ったほうがいいです。ただし、いつもと違う頭痛がある場合は必ず病院へ行ってください」。

管理職や長時間労働の方ほどリラックスに慣れよう

「人は、緊張とリラックスを繰り返して生活しています。緊張する時間が長いと血管が収縮する時間も長くなり、リラックスして血管が拡張すると頭痛が起きます。偏頭痛に悩んでいる方は、長時間緊張を強いられて血管が長時間収縮しっぱなしになりやすい看護師、CA、管理職など職業柄、緊張が長くつづく仕事の方が多いといえそうです。そういう仕事でなくても、休日に頭痛が起きるのは、緊張が解かれてリラックスするからです。そういう方々にカイロプラクティックの面からアドバイスできることは、心身ともリラックスした状態にふだんから慣れていきましょうということ。対策としては、リラックスする時間をしっかりとって、その時間はできるだけ血管が拡張するように運動するようにしてください。『頭が痛くなっちゃうから運動しない、リラックスもしない』というのはダメですよ。少しずつ血管を拡張して、慣れていくしかありません」。

ランチのビールも入浴も我慢しない方がいい

秋山院長によると、ゴルフは適度な運動量のうえ開放感もあり、リラックスするのに最適です。

「前提として、偏頭痛の方はリラックスすると痛みが出ることはあります。その辺をご本人も悩み、ランチ時のビールはもとよりゴルフそのものを我慢しているかもしれません。それもストレスになれば悪循環。我慢しすぎず、リラックスすべき時はリラックスして血管を拡張する時間をつくりましょう。まずは好きなゴルフに行く。そしてランチ時のビール、プレー後の入浴などリラックスすることを制限しないことをオススメします」。

ゴルフに行って、生ビールを飲んで、プレー後に入浴…これ以上はないくらいのリラックスタイムを楽しめるようになるといいですね。

リモートワークの人は積極的にラウンドしよう

「いずれにしても偏頭痛はそれほど多くはありません。すべての頭痛の1〜2割といわれます。リラックスした時に頭痛がたびたび起きる方は偏頭痛の可能性がありますから、そういう方はリラックス不足がそもそもの原因であることが多いので、しっかりリラックスしましょう」。

コロナ禍でリモートワークが定着し、オンとオフが曖昧になってきている方も少なくないと思います。管理職の方、営業などで労働時間の長い方、極度の緊張を強いられる仕事に就いている方…偏頭痛を予防するためにも、休日はゴルフでリラックスしませんか?

次回は、頭痛の大半を占める緊張性の頭痛についてお話しします。緊張性の頭痛は「トリガーポイント」から発症し、血管が拡張して神経を圧迫する偏頭痛とは別のメカニズムで起こります。対処法や予防法を考えていきましょう。

【偏頭痛のまとめ】
(1)特徴
 ・頭痛全体の1割程度
 ・ズキンズキンと脈打つような痛み

(2)原因
 ・休日、飲酒、入浴などリラックス時
 ・血管が広がり周囲の神経を圧迫して痛む

(3)偏頭痛になりやすい職業やタイプ
 ・長時間労働、リモートワーク、長時間の緊張
 ・管理職、看護師、CA

(4)突発的偏頭痛への対処法
・おでこを冷やす
・飴を舐める
・処方薬、市販の鎮痛薬を服用する

(5)偏頭痛の治し方
・適度な運動をして血管を広げる時間を増やす
・休日は積極的にリラックスする
・入浴やゴルフを我慢しない方がいい

取材・文/野上雅子

秋山誠司(あきやませいじ)
日本カイロプラクティック医学協会認定カイロプラクター。2009年東京都渋谷区に代々木あおいカイロプラクティックを開業。これまでのべ4万人以上の体の不調や痛みに対する施術を行なう。2020年ストレートネック対策枕「寝返りで姿勢を整える枕/キュアラインピロー」を開発し、東急ハンズやロフトなどで好評販売中。ゴルファーの体の痛みや不調にも理解が深い。著書に『ゴルフの上達を阻む“首の痛み”の正体とは!?』(辰巳出版)。


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