1. TOP メニュー
  2. ゴルフ知恵袋
  3. コースマネージメント
  4. ゴルフと頭痛2|緊張性頭痛は首の「トリガーポイント」が原因! ゴルフのラウンドで筋肉の張りやコリを解消しよう

ゴルフと頭痛2|緊張性頭痛は首の「トリガーポイント」が原因! ゴルフのラウンドで筋肉の張りやコリを解消しよう

生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第9回

2022/03/26 ゴルフサプリ編集部

今回取り上げるのは緊張性頭痛です。「頭を支えるために肩や首に負担がかかると、筋肉内に硬く血行の悪い塊ができてしまいます。その塊をトリガーポイントといい、多くの方が悩む緊張性頭痛の原因になります」(秋山誠司院長)。トリガーポイントという呼び方も、なぜそれが頭痛を引き起こすのかも、気になります。早速、緊張性頭痛の対処法や予防法を考えていきましょう。

緊張性頭痛は首の「トリガーポイント」が原因! ゴルフのラウンドで筋肉の張りやコリを解消しよう

トリガーポイントは筋肉にできた硬い塊

前回取り上げた偏頭痛は、血管が拡張して神経を圧迫することによって起きる頭痛でした。ズキンズキンと拍動とともに痛むのも特徴でしたね。今回は偏頭痛とは違い、すべての頭痛の8〜9割を占めるといわれる緊張性頭痛について考えていきましょう。

「緊張性頭痛は、肩や首の筋肉にできる硬い塊から発症するのが特徴です。硬い塊は何かというと筋肉に生じる血行不良の部分で、トリガーポイントと呼ばれます。もう少し詳しく説明すると、重い頭を支えるため、あるいは同じ姿勢を長時間とり続けたため筋肉に負荷がかかり、筋繊維が硬く作り変わってしまった状態でもあります。ふつうの張りやコリを超えてしまった状態がトリガーポイントなのです。なぜそうなるかというと、同じ筋肉に継続的に負荷がかかると筋肉はダメージを受け続け、修復が追いつかなくなるからです。すると細胞の代謝も追いつかなくなり、筋肉は機能性や柔軟性を失って硬く質の悪い筋肉に作り変わってしまうわけです」。

首のトリガーポイントが頭部に痛みを飛ばす

肩や首の筋肉がダメージを受けてできる硬い塊をトリガーポイントというのですね。でも、なぜそれが頭痛を引き起こすのでしょうか。

「トリガーポイントは、離れた場所に痛みを飛ばす性質があるからなのです。例えば、後方から見て首の右上部にトリガーポイントができてしまったとします。言い換えればこれは首のコリの悪化したものですが、首が凝っているという自覚よりも、『後頭部がピリピリ痛む』とか『目の周りが重く痛む』といった頭痛を発症させます。つまりトリガーポイントは、できている部位だけではなく、離れたところへ痛みを飛ばすのです。この概念は、故・ケネディアメリカ大統領の主治医によって発見され、体系化されました」。

頭痛の8〜9割はトリガーポイントによる緊張性頭痛

緊張性頭痛はトリガーポイントが頭部に痛みを飛ばして頭痛を引き起こすのであって、頭の痛いところで重大な問題が起きているわけではないと考えていいのでしょうか。

「前回も言いましたが、頭痛があったらまず病院を受診することが大切です。そのうえでほとんどの頭痛は偏頭痛か緊張性頭痛に大別されるのですが、うち8〜9割は緊張性頭痛といわれています。緊張性頭痛であれば、大半は首の後ろ側の筋肉や首の横から前へ斜めについている筋肉にできたトリガーポイントが、頭頂部、後頭部、こめかみ、目の周り、耳の周りなどへ痛みを飛ばすために頭痛を引き起こしているケースが多いのです。トリガーポイントと痛みの関係は、主に筋肉の走行に沿って痛みが飛ぶことが多く、その発生部位と痛みが出やすい部位の関係は詳細に体系化されています」。

秋山院長は、緊張性頭痛が起きるメカニズムをこのように教えてくれました。肩、首の張りやコリが悪化したトリガーポイントが原因となり、頭頂部、こめかみ、後頭部、目の周りなどが痛むのが緊張性頭痛の正体なのです。

「首のトリガーポイントは、頭部だけでなく腕や指先に痛みを飛ばすこともありますよ。ですから、こめかみのあたりが痛いからといって頭に湿布を貼ったり、指先が痛いからといって手に痛み止めを打ったりしても、効果は期待できません。トリガーポイントは痛む部分とは別のところにあるので、それを突き止めて解消しない限り痛みはなくならないのです」。

緊張性頭痛は、痛みが現れている頭頂部や後頭部やこめかみや目の周り、あるいはそれらの奥の方に原因があるのではなく、首や肩の筋肉にできたトリガーポイントから痛みが飛んできているというのです。

予防のヒントは頭の上に水がめを乗せて歩くアフリカの女性

1カ月に何日も緊張性頭痛に悩まされているような方には温めたり市販薬を飲んだりする応急処置も大切ですが、それ以上にトリガーポイントを解消することが予防の前提になりそうです。

「緊張性頭痛を予防するためのヒントは姿勢にあります。アフリカの女性が頭の上に水がめや農作物を乗せて歩く姿をテレビなどで見たことはあるでしょうか。頭の上にあれだけ重い水がめを乗せられるのは、背骨と首が真っすぐな状態だからです。猫背で頭が前に出ている姿勢だったら、体の軸がブレてしまって、とても支えることはできません。物を乗せない私たちでも、女性で6キロ、男性だと8〜10キロはある頭を日々支えて生活しています。背骨と首が真っすぐなら頭の重さは全身に分散されるので一部に負担がかかりすぎるのを避けられますが、首と頭が前に出てしまっていると、そうはいきません。首の後ろ側の筋肉は頑張って頭を引き上げ続け、その結果トリガーポイントが生じてしまうでしょう」。

こうならないようにするには、普段から背骨と首を真っすぐに保ち、いい姿勢を心がけることが大事です。それこそ常に水がめを頭に乗せているイメージをもつのもいいでしょう。それだけで背骨と首がすっと真っすぐになります。

スマホやパソコンの見すぎ、座る姿勢に要注意

「いい姿勢を阻害する2大要因は、スマホやパソコン画面の見すぎ、椅子の背もたれに体を預けた姿勢です。前者はどうしても顔を下に向けるため首が前に倒れ、後者は骨盤が後ろに倒れて首が前に突き出ます。よく動かしている筋肉は代謝が行なわれて柔らかさを保てますが、こういう姿勢を長く続けているあいだ首の後ろは動きませんから筋肉は柔らかさを保てなくなり、硬くなってトリガーポイントができてしまいます。頭や首が前に出た姿勢が定着することも考えられますので気をつけてください」。

そうならないようにするには、スマホはできるだけ顔の高さに上げて見る、ノートパソコンは台を使って画面を高くするようにすることが大切です。椅子に座る姿勢はポイントがいくつかあり、(1)股関節をしっかり使って骨盤を立てる(2)肩の力を抜く(3)頭を後ろに引く(4)できるだけ背もたれに寄りかからないようにしましょう。以上の姿勢を無理なくとれる椅子の高さも重要です。

デスクワーク中も1時間に1回はストレッチ

また、たとえいい姿勢でも長時間同じ姿勢を続けると筋肉の張りやコリが出ますしいい姿勢が乱れがちですので、スマホの長時間使用は避けたほうがいいでしょう。パソコンなどを使ってのデスクワーク中は30分か1時間に1回は立ち上がり、1〜2分でも構いませんので、(1)首回し(2)肩回し(3)上体ヒネりなど軽く体を動かすのがいいようです。

「運動も大事ですよ。オススメは、背中が丸まらない、下を向かないスポーツです。ときどき頭を前に出し、下を向いて黙々と筋トレをする人がいますが、あれは一番だめです。やればやるほどトリガーポイントの症状が増してしまうので要注意です。そうではなく、胸を張って背筋を伸ばし、遠くを見て腕を振ったり足を動かしたりするスポーツが最適です」。

ゴルフのラウンドでトリガーポイントを解消しよう

秋山院長によると、ゴルフは開放感もあるので緊張性頭痛を予防する運動には最適なのだそうです。「下を向いてボールを打つのでは!?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ゴルフで打つ時間は一瞬、ほとんど歩く時間ですからラウンドは大いにプラスになります。ただ、練習場でひたすらボールを打ち続ける人は筋肉を痛めやすいので、1球打つごとに必ず体をリセットし、上体を起こして背骨と首を伸ばしましょう。

「ゴルフスイングは回旋運動である点もプラス要素です。背骨を捻ったり腕を振ったりする動きはふだん使わない筋肉も動かすからです。背骨を丸めずしっかり伸ばし、頭を上げ、正しい回旋運動を心がけましょう。頚椎のトリガーポイントをリリースするためにも有効です」。

普段、緊張性頭痛に悩まされている方は、ぜひ積極的にラウンド予約を入れてみてください。開放的な気分に浸れるゴルフ場でプレーを楽しみ、軽く汗を流したら、筋肉が緩んでコリもリセットされ、頭痛は軽減することでしょう。

首の×印がトリガーポイント、顔や頭の赤い部分は痛みが発症する部位。筋肉中に硬い塊(×)ができると、離れた場所(赤い部分)に痛みを飛ばして痛みが生じる。
イラスト左のように首の後ろ側上部のトリガーポイントは後頭部などへ、首の横から前にかけてついている筋肉にできたトリガーポイントは目の周りなどへ(イラスト右)痛みを飛ばす。

【緊張性頭痛のまとめ】
(1)特徴
 ・頭痛全体の8〜9割
 ・筋肉にできたトリガーポイントが離れた場所に痛みを飛ばす

(2)原因
・頭を支える首の筋肉の張りやコリ
・長時間同じ姿勢や悪い姿勢をとり筋肉が硬くなる

(3)トリガーポイントができやすい姿勢
・スマホやパソコン画面の見すぎ(頭が前に出る)
・椅子の背もたれに寄りかかる(猫背、骨盤後傾、頭が前に出る)

(4)トリガーポイントを作らないための姿勢
・スマホはできるだけ顔の高さに上げて見る
・ノートパソコンは台を使って画面を高くする
・椅子に座る姿勢は、1股関節をしっかり使って骨盤を立てる2肩の力を抜く3頭を後ろに引く4背もたれに寄りかからない

(5)トリガーポイント解消に有効な運動
・デスクワーク中は1首回し2肩回し3上体ひねりなどを行なう。30〜1時間に1回、2〜3分でOK
・ゴルフのラウンドは最適。正しい回旋運動でボールを打とう

取材・文/野上雅子

秋山誠司(あきやませいじ)
日本カイロプラクティック医学協会認定カイロプラクター。2009年東京都渋谷区に代々木あおいカイロプラクティックを開業。これまでのべ4万人以上の体の不調や痛みに対する施術を行なう。2020年ストレートネック対策枕「寝返りで姿勢を整える枕/キュアラインピロー」を開発し、東急ハンズやロフトなどで好評販売中。ゴルファーの体の痛みや不調にも理解が深い。著書に『ゴルフの上達を阻む“首の痛み”の正体とは!?』(辰巳出版)。


生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」

第8回(前回)へ 第10回(次回)へ

シリーズ一覧