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TOUR AD(グラファイト デザイン)|OEMから自社ブランドへ転機を支えた職人技による高品質シャフト

商品開発はドラマ!!!|今だから言える驚きのストーリー[第15回]

2022/04/06 ゴルフサプリ編集部

ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はTOUR ADが主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.598/68ページより

OEMから自社ブランドへ転機を支えた職人技による高品質シャフト

ADとはアキュラシーの曲がらないと、ディスタンスの飛ぶという言葉の頭文字をとって名付けられた。

2000年から始まったリシャフト・ブームに乗り自社ブランドを立ち上げ今やソニー優勝の松山英樹も支えるほど

埼玉県秩父にある株式会社グラファイトデザインを取材したのは、今年の1月松山英樹がソニーオープン・イン・ハワイで優勝した日、PGAツアー8勝目を挙げた直後であった。

優勝争いは米国のラッセル・ヘンリーとのプレーオフとなり、18番で行われたプレーオフ1ホール目、松山の2打目は残り277ヤード、3Wの打球はグリーンに乗り、ピンの右80センチという誰もが認めるスーパーショットだった。ボギーだったヘンリーに対し、イーグルを奪い、逆転優勝を決めた。

優勝を決めたセカンドショットの3Wのシャフトはグラファイトデザインの「TOUR AD DI 9TX」であった。

もちろん松山英樹が使用ししていたドライバー・スリクソンZX7に装着していたシャフトもグラファイトデザインの「TOUR AD DI 8 TX」、5Wのシャフトも「TOUR AD DI」であった。

この松山も使っている「TOUR AD」はどのように生まれたのか。このシャフトの成り立ちに詳しいグラファイトデザインの企画部部長の高橋雅也氏にお話を伺った。開口一番「松山英樹が優勝しましたね」とサポートしている選手の優勝に喜びが溢れていた。

松山英樹 は ツアーAD DI を長く愛用。ツアープロが同じシャフトを使う理由

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グラファイトデザインの創業者は故山田恵氏。1989年に創業し、1990年に埼玉県秩父に本社・工場を建設・操業を開始している。高橋氏は1998年にグラファイトデザインに入社、その前は鳩山CCで研修生をしていた。

山田氏との出会いは、研修生当時埼玉県オープンの試合で、シングルプレーヤーの山田氏と出会い、クラブやシャフトの試打にかかわったのがスタートであった。いろいろなヘッドにシャフトをつけて、試打評価をしていた。山田氏も高橋氏の評価力を買って会社に勧誘したとのことである。

グラファイトデザインは、シャフトのOEMメーカーとしてスタートした。地元秩父のスキルの高い工場従業員による職人技による高品質シャフトの生産能力と、山田氏を中心とする製品の高い評価・開発能力と合わせて、多くのゴルフメーカーの主要なブランドのシャフトをOEM生産していた。

ブリヂストンスポーツのJ'sメタルやSヤードのシャフトなどである。当時、シャフトはゴルフメーカーのオリジナルブランド名を付けるのが一般的であった。その後、ゴルフ工房向けに、ブルーG、レッドG、ブラックGなどのシャフト販売を開始した。

2000年頃からリシャフトブームが始まり、特にブルーGは高評価であった。当時生産の7〜8割はOEMでカスタムシャフトが2割で、山田社長が「いずれ逆転するのも時間の問題」と考え自社ブランドを立ち上げる決意をした。

黒、赤、グレーの会社のロゴマークをベースに、初期のモデルはデザインしたという。
秩父にある本社工場には、今も丁寧な作業による、高品質な商品を作る人々が使用率No.1のシャフトを製作している。
ツアーADの成り立ちに詳しいグラファイトデザインの企画部部長の高橋雅也氏。

ADとは曲がらないで、飛ぶ! 開発には伊沢利光が関わり、藤田寛之の優勝や藍ちゃんやタイガーの使用により世界のトップメーカーに

2003年にグラファイトデザインのロゴが入った自社ブランド「TOUR AD」を立ち上げた。最初のモデルは「TOUR AD I65」であった。「TOUR AD」というブランド名は飛んで曲がらない(accuracy & distance)の頭文字ADを取り、究極のシャフトをTOUR(ツアー)、世の中に展開すると言う意味が込められ命名された。ADはグラファイトデザインのシンボルマークにも使われていて、accuracy & distanceは創業当時からシャフト造りに込められた思いでもあった。

I65の「I」は自社ブランドを作るにあたり、当時のトッププロである伊澤利光に使ってもらうべく、トルクを2・2まで絞り込んだ仕様で、伊澤の頭文字「I」を使い、「65」は高弾性の65tカーボン繊維を使用したので、合わせて「I65」である。開発は今までのOEMで培った生産のノウハウと、プロツアーでの評価の経験が投入され比較的に順調に進んだ。
「TOUR AD」といえば、シャフトの縞々のデザインも特長のひとつである。当時の山田社長のこだわりで、プロがTVに映った時にグラファイトデザインのシャフトとわかることと、手元に向かって縞の幅が太くなっていくことで、手元にかけて段々とパワーが溜まっていくイメージでデザインされた。

最初に使用された縞の色は黒、赤、グレーを使用し、会社のロゴマークのカラーに合わせた。「TOUR AD」は、初代「I65」から最新の2022年モデルの「UB」まで歴代20のモデルが発売されている。

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高橋氏は「I65」は藤田寛之プロが2004年開幕初戦で使用して優勝したことが印象として残っているとのことである。

2代目の「W」は宮里藍が使用し話題を集めた。8代目のオレンジ色が特徴の「DI」はタイガー・ウッズが使用して話題となった。

ツアープロを含め多くのゴルファーに使用され、日本の男子ゴルフツアーでのウッドシャフト使用率はNo.1を誇っている。

昨年の東京オリンピックゴルフ競技は埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催された。男子金メダルは米国のサンダー・シャウフレ、女子金メダルは米国ネリー・コルダ。ふたりのゴールドメダリスロトをドライバーにはグラファイトデザインの「TOUR AD」が使われていた。

故山田恵氏が埼玉で1989年創業したグラファイトデザインのシャフトが32年後に埼玉の霞ヶ関CCで金メダル獲得したことは、まさにドラマである。

伊沢利光プロに使ってもらいたい思いでI65となった。ツアーAdのI-65の商品広告。
初代ツアーADの商品のデザイン仕様書。


取材・文/嶋崎平人


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