そのスライス。原因はダウンスイングでカラダが“突っ込み”入れてませんか?
シーズンインに備えよう! 人気コーチ・大西翔太が あなたのスイングの マイナーチェンジをお手伝い!|Vol.1
昨年のプレーを振り返って、こんなミスがよく出たな〜と反省。そこでシーズンインに向けての「スイングの見直し」レッスンシリーズ。いまさらスイング全部を変えるのは難しいけど、スイングの一部分を改良するマイナーチェンジなら十分可能だ。修正すべきポイントを大西翔太コーチが分かりやすく解説。第1回はドライバーのスライス解消法をレクチャーする。
スライスを直すには、カラダの突っ込みクセをなくしましょう!
インパクトで頭が左に流れていなかったかを見直そう
去年のプレーを振り返ってみて、「スライスばかり打っていたな」とか「よく右に飛んで、右OBのホールは致命的だったな」など、右にいってしまうミスがよく出たゴルファーは、ボールがどんな風に飛ぶことが多かったかを最初に自己分析してみてください。スライスは皆さんもよくご存知のように「右に曲がる球」です。だけど今のドライバーは反発性が高いため、本来は「ボールが曲がりにくい」のが正解。スライスに見えても、実際は目標より右に飛び出すプッシュを打ってしまっているケースが大半なのです。
キャリアの長いゴルファーは昔のクラブではアウトサイドインのカット軌道で打っていたために、ボールが一旦左に出て途中から右に大きくカーブするスライスがよく出たかもしれません。でも今のドライバーの特性としては、インパクトでフェースが開いて当たればそのまま右に飛び出します。ボールが右に飛び出してしまうからスライスしているように見えるけど、曲がり幅はそれほど大きくはないはず。今のスライスの正体は、実は右プッシュ。どうですか、言われてみれば当てはまるかなと思いませんか?
ボールが最初から右に出る人の大半は、アドレスの段階で右ヒジが伸びています。両肩のラインが目標の左を向いていて、バックスイングでクラブがアウトサイドに上がる。ダウンスイングでもアウトサイドから鋭角に下りてきてカット軌道になる。ダウンスイングで右肩が前に出ればフェースがかぶりやすいと思いがちですが、右腕が伸びたままではインパクトエリアでアームローテーションがしづらい。つまり両手が返りにくくて、フェースが開いて当たりやすいから右に飛んでいくということです。右に飛ぶのを嫌がってボールをつかまえにいくと今度はフェースがかぶって当たり、左へのヒッカケやチーピンが出てしまいます。
去年はこうした悪循環に悩まされたとすれば、その元凶はダウンスイングからインパクトにかけての「カラダの突っ込み」です。ボクはアマチュアゴルファーのレッスンもしていますが、データを分析すると右プッシュがよく出るという人は、インパクトでアドレスよりも頭1個分左にずれています。それが出球が安定しない原因で、ボールが右に出て右に曲がるだけでなく、ときには左に出て左に曲がるミスも出る。ボールがフェアウェイの幅に残ってくれないわけです。
軸をキープしてスイングする意識で、出球を安定させることが先決
今のドライバーは球が曲がりにくいという特性があるのですから、何をすべきかといったら曲がりを抑えるよりも、出球の方向を安定させることです。フェアウェイの真ん中に飛んでいけば、多少は曲がってもフェアウェイの幅に残ります。第一段階としてはまず右ヒジを軽く曲げて下に向け、両ヒジのラインを飛球線と平行にセットしましょう。そうすれば両肩のラインも飛球線に対して平行にセットでき、出球の方向が安定しやすくなります。
第二段階は頭のズレをなくすこと。アドレス時の前傾軸がインパクトで目標側に傾かないようにアドレスの位置にしっかりキープ。出球がそろわない人のほとんどがインパクトで頭が左にずれますが、タイガー・ウッズやロリー・マキロイら世界の一流プレーヤーたちはだれも頭が左にずれていませんし、むしろ目標と反対側に少し動いています。ダウンスイングで上体が突っ込んで頭が左にずれやすい人は、頭を少し右に動かすくらいのつもりでダウンスイングするといいでしょう。
頭が少し右にずれるのはOKです。アームローテーションが自然と使えて、ボールがつかまりやすい。ハンマー投げと一緒で遠心力が使いやすくなり、ヘッドスピードも上がります。理論的にいっても背骨の軸を一定位置にキープしてカラダを回転させれば右プッシュは絶対に出ないはずなのです。スイングのマイナーチェンジの練習をするときは、アドレスの頭の位置をインパクトまでキープすることを心がけてください。そして右への曲がりを抑えることは考えずに、100ヤードくらい先に高いポールや木などをイメージして、そこに当てるつもりで打ちましょう。
〈まとめ〉
・今のスライスの正体はほとんどが右プッシュ
・突っ込み打ちではフェアウェイキープできない
・右ヒジを下に向けて両ヒジのラインをスクエアにセット
・アドレスの頭の位置をインパクトまで絶対にキープ
・出球さえそろえば左右の散らばりが激減し、方向が安定
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/千葉カントリークラブ野田コース
大西翔太
おおにし・しょうた
1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会A級の資格を取得。現在はジュニアゴルファーの指導に尽力する一方、青木瀬令奈らツアープロのコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富で、幅広く活躍中。
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