打つのが楽しくなる「飛び系アイアン」とスコアを追求するためのアイアンは別モノ?
クラブフィッター・オグさんのギアコラム『曲がったっていいじゃない。ゴルフだもの』第2回
ボールを飛ばすのは、ゴルフの楽しさのひとつであります。しかし、ゴルフというスポーツの本質は、狙ったところにボールを運び、いかに規定打数内でホールを攻略するかだと思います。そこで、飛び系アイアンの話。アイアンで「すごく飛ぶこと」は、スコアアップにつながると言えるのか? 考察してみました。
アイアンは「飛ぶこと」が必ずしも良いスコアにつながるとは限らない
皆さんこんにちは。オグさんです。ゴルフクラブは、毎年新たなモデルが発表され、常に進化を続けています。昨今のクラブの進化に関するキーワードは、「飛んで曲がらない」。当然、ドライバーは飛んだほうが良いですし、曲がらない方がよい結果に繋がりやすいでしょう。
しかし、その傾向が一定のエリアを”狙う”アイアンにも色濃くなってきました。そういったいわゆる飛び系アイアンが増えているのには、理由があります。それはユーザーが求めているから。つまり売れるからです。そういったアイアンのほうが、買い替えた時に目に見えて違いも感じられますし、否が応でも結果が出そうな期待感が高まります。
そんなワクワク感が生まれた時点でアイアン買い替えは成功!と思うのですが、それがなかなかスコアに繋がらないのがゴルフの難しいところですよね。
狙う距離に対して、短い番手を持てる方が精神的安心感もありますし、曲がらないならミスにも強いはずですから、もっとスコアにつながって良いはずです。もちろんそういったアイアンに買い替えて、平均スコアが良くなったというゴルファーもいらっしゃると思います。でも、それはどちらかといえば少数派でしょう。もしも飛距離性能の高いモデルがスコアに直結するなら、ツアープロはみな飛ぶアイアンを使っているはずです。
アイアンの形状を維持した高性能化には限界がある
私は、楽しさを追求するアイアンと、スコアを追求するアイアンは、違うモデルになると考えています。今流行りの飛んで曲がらないアイアンは、楽しさを追求するモデルです。追求する性能が「曲がらない」だけであれば、安定したエリアを狙う性能に繋がりますので、スコアを追求するモデルになります。
しかし、飛距離性能に大きく偏らせたモデルは、飛距離性能を高めるために、ボールをコントロールするためのスピン性能を軽減させています。そうすると、狙う的であるグリーンでボールを止める性能が下がってしまうのです。当然メーカーもそれを分かっています。
飛距離追求タイプのアイアンは、飛距離性能を高めつつ、グリーンで止まるようにボールの打ち出し角が高くなるようにヘッドを設計しています。弾道が高くなれば、グリーンに対しての降下角度が大きくなるので、グリーンで止まりやすくなるためです。
しかし、この高さを出すのに、アイアンのヘッドでは設計に限界があります。飛距離と高さを追求するならヘッドに奥行きがあり、重心を深く低く作れるショートウッドやユーティリティの方が有利です。わかりやすいのが女子プロです。彼女らは、長い距離をより正確に”狙う”ために、ウッドやユーティリティの本数を多くセッティングしています。
「楽しい!」と「スコア追求」を混同するとドツボにハマるかも
私はどちらかといえば。スコアよりも楽しさを追求する方なので、芯で打てた時に最高の感触を味わえるマッスルバックを使っています。ミスした時に言い訳もできますからね(笑)。
飛距離の出るアイアンで楽しくなれるなら、それは正義です! ですが、その楽しさがスコアに繋がるとは限らないのです。スコアを本気で追求するなら、適度な飛距離にミスの寛容性が高いといったバランスの良いモデルが良いでしょう。飛距離が出ないという方は、女子プロを参考にショートウッドやユーティリティを充実させることが平均スコアを上げる近道となるはずです。
■オグさん(小倉勇人・おぐら はやと)
元ゴルフ雑誌編集者のスウィング&クラブアドバイザー。現在は千葉県にあるゴルフ練習場「ユニオンゴルフクラブ」にて「ゴルフフィールズ ユニオンゴルフ店」で店長をしつつ、過去の経験で得た知識を武器にゴルフライターとしても活躍中。飛距離は250ヤード、持ち球はフェード。ベストスコア68。
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