凍ったグリーンこそ上達のチャンス!冬のアプローチ練習方法とミスしないアプローチ術
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第4回
まだまだ寒い日が続く昨今。特に朝はグリーンが凍っていて、難しいコンディションに四苦八苦するゴルファーも少なくないようです。ところが、エージシューター高橋氏は、「やったー! 今日は寄せワンが楽しめるぞ」と大喜びするとのこと。
今回も超ボジティブシンキングの高橋氏が、凍ったグリーンでこそやって欲しい練習方法と、納得のスコアアップ術を伝授します。
写真提供/高橋健二
冬ゴルフはスキルアップのチャンス
私のホームコースは埼玉県の川越カントリークラブです。日本一暑い街として知られる熊谷市から直線距離で5キロ前後。当然、夏は暑いです。一方で、冬は赤城おろしの北風が横殴りに吹きつけ、頭の芯まで凍るくらい寒いです。さらに寒冷期には、肩の高さからボールをグリーンに落とすと、カツンと乾いた音がして、膝の高さまで跳ね返ってくることも稀ではありません。
こんなとき、多くのゴルファーはこう言います。
「イヤだね、グリーンが凍っているよ。今日は大叩きしてスコアにならないぞ」
私は違います。
「やったー! 今日は寄せワンが楽しめるぞ」
そう考えるのです。
凍ったグリーンは、ボールをキャリーでオンさせると、カーンと撥ねて奥のOBまでいってしまうことがあります。だから通常より1クラブ番手を落とすか、同じ番手のクラブなら短く持って、手前から転がして乗せるようにするのですが、上手く乗らずにグリーンの手前に止まった場合でも、寄せワンの練習をする絶好のチャンスと考えて臨むのです。
友だちが一緒ならオリンピックを楽しむ
もし、同伴者が気の置けない友だちなら、オリンピックをやります。2打目をわざとグリーン手前にショートさせて、グリーン上の1パットチャレンジを競い合うのです。
ご存じない方のためにオリンピックのルールを紹介しますが、グリーン上にあるボールのカップまでの距離が遠い順に「金」「銀」「銅」「鉄」とし、それぞれ1パットで入れば4点、3点、2点、1点を、他の3人からゲットできるというものです。
このほかにグリーンの外から直接カップインした場合は「ダイヤモンド」として5点をゲットできます。さらにボーナスとして金、銀、銅、鉄を全部ゲットすると「一気通貫」と称してプラス20点、同じメダルを4個取ると「フォーカード」と称してそのメダルの4倍を加点する特別ルールもあります。銅を4個取ると2点×4で8点がプラスされるわけです。
1人ニギリで寄せワンチャレンジ
1人予約などで同伴者が全員初対面のときは、自分だけで「全ホール寄せワンチャレンジ」に挑戦します。文字通り、全ホールで「寄せワン」に挑戦するのです。
冬のゴルフ場はグリーンだけが凍っているわけではありません。当然、手前も凍って硬くなっています。それを読んで、できるだけグリーンに近づけて、かつオンせず、アプローチがやりやすいところに止めるのです。これって、ひょっとしたらベタピンに寄せるくらい難しいかもしれません。ボールの着地点が日陰かどうか、傾斜はどんな感じか、打つ前にいろいろな情報を収集し、想像力を凝らして臨みます。もちろんスロープレー厳禁。判断したらすぐに打ちます。
寄せワンへの挑戦なので、直接グリーンにパーオンしたら100円の罰金を自分に課します。思い通りにグリーンの手前でボールが止まったら、そこから寄せワンチャレンジです。そして上手く寄せワンに成功したら、今度は自分へのご褒美に100円ゲットします。
1人寄せワンチャレンジは、前半のハーフだけで、後半はふつうにパーオン狙いのゴルフに切り替えます。ショットが好調なときに、わざわざグリーンの手前に止めるゴルフをしていると、けっこうストレスが溜まるからです。
失敗しないアプローチ術
寄せワンは、アプローチとセットなので、アプローチでミスをすると、せっかくグリーン手前にショートさせても意味ないですよね。
そこで失敗しないアプローチ術を1つだけご教示しておきましょう。
冬のゴルフ場は芝が枯れているうえ、芝が薄くてボールが地肌に接している場合が多く、グリーン周りも硬くなっています。しかも、霜が降りていたりすると、霜にクラブのソールが触れてザックリチョロするケースも少なくありません。そんな悪条件下でアプローチを成功させるコツは、ハーフトップさせることです。
前回、練習場ではミスショットの練習をするようお勧めしましたね。
そのミスショットの1つ、アプローチにおけるハーフトップを意図的にやるのです。
ハーフトップは、一般にはミスショットとして嫌われますが、意図してやればナイスショット。リーディングエッジをボールの赤道の下、地球儀で言えばタスマニア島あたりに当ててボールだけを直接ヒットするのです。クラブが地面に触れず、ボールだけをクリーンにヒットするため、ダフリのミスは皆無。しかもボールはインパクト直後に低くキャリーしてグリーンに着地し、その後は多めのランが期待できるので、落とし場所さえ間違えなければ寄る確率はかなり高いです。使うクラブはピッチングウエッジかアプローチウエッジ。練習場でもハーフトップさせるアプローチを練習して、ぜひトライしてください。
私はだいたい、ひと冬に20回近く寄せワンチャレンジをやりますが、このようにハーフだけでも全ホール1パットで上がることを目標にすると、冬ゴルフは2倍にも3倍にも楽しめます。ちなみに、これまでハーフ9パットを目指して成功したのはまだ1回きりです。ハーフ9パットもパープレーへの挑戦と同じくらい難しく、だからこそ面白いのです。
冬のゴルフはグリーンが凍っていてスコアにならない、とネガティブに考えるより、ふだんなかなかできないアプローチの練習ができると、ポジティブに考えるほうがゴルフは間違いなく楽しめるし、上手くなります。雨が降るとイヤだ、冬は寒いからイヤだ、と文句を言ったところで状況が変わるわけでも、スコアがよくなるわけでもありません。だったら、自分のいま置かれた状況を楽しむにはどうしたらよいかを考えて挑戦する。ゴルフも人生も、それができる人を達人というのではないかと思っているのです。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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