もうすぐ春、ゴルフしてみませんか?
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第8回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
花見ゴルフのタイミングは運次第
暦の上では、3月は春です。
天気予報の花粉の飛散予報が始まると春を感じるという人もいますし、卒業式に参列する様子の人たちを街で見ると春を感じるという人もいますし、桜の開花予想で盛り上がると春だと感じる人もいます。
ゴルフコースでも、色々な小さな春を見つけられます。
ホール内は整備されて、雑草を見ることはないかもしれませんが、ホール間のインターバルで、道の傍らに数ミリの小さな花が咲いているのを見つけるなんていうのも小さな春です。
もっとハッキリしているのは、梅の花が咲くことです。桜ほど多くありませんが、春の使者という意味で、大きな梅の木があるコースはたくさんあります。
梅の木は種類が多いので、花が咲くタイミングもひと月ぐらいの差がありますし、花の色も様々で、面白いのです。同じぐらいのタイミングで咲く早咲きの桜もあります。
桜というと、ソメイヨシノが有名ですが、コースによっては山桜があって、霞んで見えるような趣に感動したりもします。
ソメイヨシノの並木があるホールが名物になっているコースもあります。
「花見ゴルフをしたいのだけど……」という相談を受けたりしますが、これがけっこう大変なのです。
参加する人たちも都合もあるので、3月の頭には、日程を決めなければならないですし、名所があるコースのその時期は、1年で最も予約が立て込むケースもあります。
早すぎれば、花ではなく蕾を見るゴルフになってしまいますし、遅すぎれば花が散ってしまって葉桜を見つめるゴルフになってしまいます。
開花予想を参考にすれば簡単だと考える人が多いですが、開花日は、1本の桜の木に花が5つ以上開いた日であって、満開までは1週間の時もあれば、3週間かかるときもあるのです。
まさに、花見ゴルフは、春の運試しなのです。
消えたヤングゴルファー、カムバック!
「花見ゴルフなんて、ゴルフを知らないバカのイベントだよ」なんて暴言が聞こえます。
ソメイヨシノが満開でも、日本の場合、夏芝はまだ休眠中です。つまり、フェアウェイやラフの芝生は茶色のままなのです。コンディションが悪い中で、わざわざゴルフをするのはナンセンスだということなのでしょう。
先日、ゴルフ歴2年の目の若者と話をする機会がありましたが、1年目は冬もゴルフをしたけれど、今シーズンは冬ゴルフはしなかった、と聞きました。
「だって、芝生が緑じゃないと、なんだかもったいない気分になるんです。せっかくなら、緑の季節にやりたいなぁ、と」
言っている意味は理解できます。
今年の冬は、確かに、僕が通っているオープンなコースも、若いゴルファーをあまり見ませんでした。女子は少しいましたが、男子は本当に少なかったのです。
一抹の不安がありました。『あいつら、もう飽きちまったのか?』
色々と調べてみて、わかったのは、プレー代金でした。
昨年の冬シーズンのプレー代金より、今年の冬シーズンのプレー代金が、コインの範囲ですが高かったのです。別のコースのほうが安いので、そちらに若いゴルファーが流れたようです。
ネット予約は、ワンクリックで値段の比較が出来ますから、価格に敏感に反応するのです。
ゴルフに飽きたわけではなかったようです。
芝生が緑になるのは暦でいうところの春の後半です。関東では5月のGW明けから本格的に萌えの季節になります。その頃には、安い順にコースが埋まったとしても、ヤングゴルファーもオールドゴルファーもコースに溢れてくるはずです。
緑になっていくゴルフコース
年間を通して、スコアのデータを取って分析することが何年も続くと、スコアが悪くなる時期があることに気が付きます。
色々なタイプの人がいますが、春になっていく3月がスコアが悪い時期になるパターンがけっこう多いのです。
理由も色々ですが、確実にいえるのは、1年の中で、最も芝生が薄くなっている時期が3月だということです。
フェアウェイとラフの芝生が枯れていると思ってしまいがちですが、正しくは、枯れているのではなく、休眠状態になっているだけで、芝生は死んではいません。
秋に、これ以上は伸びない、と判断して刈り止めをした後は、最低限のメンテナンスにプラスして、人間が出来ることは、祈るのように見つめるだけなのです。
休眠した芝生は、徐々に薄くなっていきます。秋の芝生の上のボールは、地面から1センチ程度浮いているような状態だったのが、3月になると半分以下の高さしか浮いていません。ほぼ地面から打っているようなものです。
ティーアップして打つのと、剥き出しの地面から打つのでは、難易度は全然違います。
スコアはハーフで1打以上悪化してしまっても納得です。
以前、冬ゴルフは修行だと書きました。
そういう難しいライで打っているのも、修行の内です。
日に日に暖かくなって、芝生が休眠から醒めて、芽吹いていく季節が来ると、重ね着する必要もなくなって、動きやすくなるプラス要素も加味されて、難しいライで鍛えたショット力のアップを自覚するのです。
修行して良かった、と、ニコニコできるというわけです。
春はゴルフの季節です。
現代人は、季節を感じるのが下手くそになっているといわれます。
ゴルフは、普通にゲームを楽しんでいれば、大なり小なり、季節を知り、季節を楽しめるところも特徴です。他の季節に比べて、春はドラマチックでわかりやすい変化が多いのです。
昨年並みのゴルフブームが続いているとしたら、早く予約しないと、ゴルフ難民になってしまう可能性が高いのです。さあ、春ゴルフをしましょう!
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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