高弾道でピンを狙える飛び系ブレード!ピンi525アイアン
2022ニューモデルを関浩太郎が試打インプレッションVol.12
スイングコーチ兼クラブフィッターの関浩太郎が今回試打したのはピン「i525」アイアン。ふれ込みは“ちょいブレード”。中空構造ながらブレードアイアンが有する操作性の良さを加味したという“いいとこ取り“のモデルだが、さて、その正体やいかに?
「ブレードアイアン」でも通じるシャープな見た目
このモデルでは極薄ながらも高強度のマレージングC300という素材をフェースに採用。フェースの周辺部が中心部より薄くなっている。
ここにフェースのたわみが増すアンダーカット・ソールがジョイント。これはインパクト時にフェース下部のストレスを軽減してフェースのたわみ効果が最大限になる構造だ。
これらによりミスヒットしても最大飛距離を生み出すとともに、アイアンに求められる高弾道のボールが打てる。さらにインパクト時の振動も抑制されて心地良い打感と打球音が得られるという。
また、オフセットは番手別の設計。ブレードアイアンを思わせるフォルムだがソール幅は広めなので、ダフリを防止して楽にボールを拾えるように進化しているらしい。
「確かに“ちょいブレード”な見た目ですね。シンプルかつシャープでカッコいいし、文字の置き方やフォント使いもいいセンス。全体がツヤ消しシルバーで番手ナンバーだけツヤ出しで仕上げている。個人的には好きですね。もはやブレードアイアンといってもいいくらい」
と関。中空ならではのモサッとした見た目はすでに過去のものか。見た目に関しては十分“ちょいブレード”だ。
いい打感とボールのつぶれ感で2番手分距離が伸びた
中空アイアンのメリットは飛びと直進安定性が高いこと。これに対してブレードアイアンは操作性に優れ、気持ちのいい打感が得られるのがメリットだ。“ちょいブレード”と謳うからには、ブレードのメリットも備えていなければならない。ということで、まずはスリークォーターのスイングで打ってみた。
「気持ちいい打感ですよ。しかも飛んでいます。ロフト角29度の7番で178・4ヤード。フルショットしたら190ヤードは行きそうです。これまで7番で150ヤードくらいの人なら170ヤードくらい飛ぶでしょう」
打感についても“ちょいブレード”なのか?
「コンベンショナルのようにボールがグシャッと潰れる感じはありませんが、硬くてイヤな弾き感はない。中空アイアンにありがちな“カキーン!”という打感でなく弾き感と潰れ感、球もち感が融合しています。フェースのマレージング鋼はかなり弾く素材で、普通は派手な音がしますがそれもない。音にもこだわったことがうかがえます」
弾き感がゼロというわけではないが、それなりにインパクト時にボールが潰れる感じがある。これはブレードアイアンの操作性を連想させるいい要素だという。
ドローとストレートは問題ないがフェードはちょい苦手
ということで、今度はフルショットからインテンショナルショットも試してみた。
「僕は通常7番で165ヤードですが、フルショットしたら197.9ヤード。中空の効果で飛距離が2番手変わりますね。2番手違えば7番で打っていたところから9番で打てる。グリーンに乗る確率は相当上がるでしょう。フルショットで2球目を打った時に、はからずもフェースの下めでヒットしてしまいましたが、それでも168.4ヤードで真っすぐ。十分にミスをカバーしてくれます。これはフェース面の下の部分まで肉薄にしている効果でしょう」
フェースの下めにボールをヒットしてもフェースがたわむため、飛距離ロスが少ない。アマチュアの場合、ダウンブローが強すぎて厚めに当たることはまれ。圧倒的にトップめが多いので、その部分はしっかりサポートしてもらえそうだ。
次は操作性で、まずはドローから。
「飛距離は188.8ヤード。イメージした通りの出球と曲がり方をしてくれました。操作性の高いブレードアイアンは、曲げやすい反面、曲がりすぎることもある。そのコントロールが必要なんですが“ちょいブレード”なので曲がりすぎない。ドローについては安定して打てますね」
ではフェードはどうか?
「多少曲がるけど、ほぼストレートの球筋で161・4ヤード。基本的につかまりのいいクラブなのでフェードは少し打ちにくいですね。フェードを打ちたい人はもうワンランク、ブレード系寄りのアイアンを選んだ方がいいと思います。結論としては、まさに“ちょいブレード”。中空アイアンとブレードアイアンのいいところが共存しています」
ちなみに低い球を打ってみたところ、これも問題なくクリア。飛び系のアイアンの中には、飛んだり飛ばなかったりと、安定感に欠けるものもあるが「i525」についてはその心配もなし。しっかり2番手飛ぶのでゴルフがやさしくなるということである。
試打解説/関浩太郎
(せき こうたろう)1974年生まれ、茨城県出身。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながら、ミニツアーを転戦。帰国後、クラフト技術を学んだ後、「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。多くのアマチュアゴルファーのサポートを行い、さまざまなゴルフメディアでも活躍している。
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