AI設計で飛びの3要素を最適化!キャロウェイ「ローグ ST マックス」ドライバー
2022ニューモデルを関浩太郎が試打インプレッションVol.11
スイングコーチ兼クラブフィッターの関浩太郎が今回試打したのはキャロウェイ「ローグ ST マックス」ドライバー。「エピック」に代わる存在となるローグシリーズにあってスタンダードと位置付けされるモデルで、キャロウェイ独自のAI設計によって生まれた。
軽量化と剛性アップでヘッドの高速安定性を持続
「ST」とはSpeed Tune-upのこと。インパクト直後のボール初速を最大限にアップして飛ばすというコンセプトのもと、AIに多くの部分の設計を委ね、数多くの進化を積み上げたという合理主義の産物だ。
たとえば「FLASHフェースSS22」はスピン量、打出し角、ボールスピードをすべてAIに入力し直し新たなアルゴリズムで設計。飛びの三要素を最適化した。
また、エピックで初お目見えした「JAILBREAK AI スピードフレーム」には形状変更を実施。ニューバージョンでは下辺のフレームが高くなってソール側の剛性が向上。クラウン側とソール側の剛性の差によりフェースがより効率的にたわむようになったという。
ボディにも新たな「UNIボディ構造」を採用。これはレーシングカーなどのモノコック構造の発想と同様のもので、ボディを一体成型することで軽量化と剛性のアップを両立した結果、高速安定性を持続できるようになった。これらの要素が相まってインパクトのパワーが余すことなくボールに伝わるらしい。では能書きはこのへんにして、関のコメントに耳を傾けてみよう。
30ヤードスライスする人は買い
「打つ前に重量を測ってみたところ45.5インチで総重量が307g。スイングバランスはD3.5でした。なるほど持ってみるとヘッド側が重く感じます。いわゆる“ハンマー効果”を狙った設定かもしれません。第一印象としてはスライスが相当軽減されそうですね」
ということで打ってみると、しっかりボールがつかまった。
「かなりボールがつかまります。いつも通りにスイングすると、ドローというよりフックに近い球が出る。明らかにつかまります」
続けて少しヘッドを逃すイメージで、スライスしやすいスイングで打ってみると、それでも強めのドローに。ちなみに飛距離は初球で251.1ヤード、スライススイングでは262.8ヤードだった。
「イメージとしては15ヤードくらい右に曲がるスイングで打ってみましたが、それでも強めのドローが出ました。なので、思い切ってフェアウェイを外れて右ラフに打つ、30ヤードスライスくらいのイメージで打ってみたところナイスドローになりました。これは大きくスライスして困っている人は買いですね!」
30ヤードスライスするイメージで打っても飛距離は258.3ヤードだった。
スライスに対する強さは国産ブランド並み
「これはAIが設計したクラブ。高初速エリアの拡大、ヘッドの軽量化を経て、打ち出し角を高くしてスピン量を最適になるようにプログラムしたということで、新規の技術を投入したのではなく、これまで行ってきた設計をトータルしてブラッシュアップした感じですね」
つかまりやすいという意味ではスライサーには朗報だが、そうでないゴルファーは使えないのだろうか?
「そんなことはありません。僕はフック系なので、つかまりすぎないように打つ必要がありますが軽く振っても飛びます。ヘッドスピードが41m/sでも260ヤード飛んでいる。この時の打ち出し角は16度でバックスピン量は1971回転でした。
普通は2000回転を切るとドロップして200ヤードもキャリーしない球になるのですが、打ち出し角を高くしてドーンと大きなボールで飛ばせるのが大きな特徴。誰でも力まずに飛ばすことができるでしょう」
構えた時に感じるのはフェース面からテイル部分までが長めなこと。ヘッドの重さをなるべくフェース面から離して重心深度を深くすしたデザインで、この辺りからも打ち出し角の高さが窺えるという。外ブラのドライバーはヘッドを地面にポンと置いた時にフェースが右を向きやすいが、このクラブは真っすぐ向くので構えやすい。
「座りがいいだけでも右に飛ぶ人には好印象だと思います。スライスを軽減する性能に限っていえば日本ブランドの右に出るドライバーはありませんが、このクラブは国産ドライバー並みに右へのミスを軽減してくれます。シャフトがしっかりしているので1フレックス落とすのがおすすめですね。また、スイングバランスが重めなので、クイックに切り返さずゆっくり大きく振るとビッグボールで飛ばせます」
試打解説/関浩太郎
(せき こうたろう)1974年生まれ、茨城県出身。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながら、ミニツアーを転戦。帰国後、クラフト技術を学んだ後、「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。多くのアマチュアゴルファーのサポートを行い、さまざまなゴルフメディアでも活躍している。
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