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誰でも最初は初心者ゴルファー

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第10回

2022/03/21 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

桜の花

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

撮影/篠原嗣典

新ゴルファー80万人の行方

新型コロナウィルスのパンディミックで、世界は変わりました。
ゴルフ業界にも大変革が起きました。ゴルフ先進国と言われているエリア全域で、ゴルフを始めた人たちが急増したのです。

この2年間で、日本でもゴルファーが80万人も増えたという分析があります。
凄い数だと、ゴルフ業界は大騒ぎしていますが、個人的には、ゴルフコースなどで、実感している感覚だと、もっと増えている感じがするのです。

増えたゴルファーは二種類に明確に分かれます。
おおよそですが、半分は、休眠していたゴルファーが再びゴルフを始めた、というケースです。
半分は、初めてゴルフを始めた20代、30代の若いゴルファーです。

面白いことに、これらの新しいゴルファーを保護していく考え方に小さな対立があります。
若いゴルファーは放置して、復活したゴルファーを優遇しようという一派と、逆に若いゴルファーを保護すべきだという一派がいるのです。

復活ゴルファーの中心は50代と言われています。若いゴルファーは文字通り若者です。大いに違う人たちなので、対策も違って当たり前です。

僕は、圧倒的に若いゴルファーを保護することに賛同しています。
理由は、一度ゴルフをやめている復活ゴルファーは、また、安直に誠意を裏切ってゴルフをやめてしまう可能性が高いと思っているからです。同世代だからこそ、彼らを信頼しきれないのです。

しかし、業界的には、復活ゴルファーを保護することに賛同するほうが多数派です。

理由は色々ありますが、最もわかりやすいのは、彼らは初心者ではなく、経験者だから受け入れやすい、というものです。
大きな誤解があります。実態を確認すれば、すぐにわかりますが、彼らも初心者なのです。それも、年をとっている分、ちょっと扱いにくい初心者です。

初心者を育てるのも腕前

昭和のゴルフでは、コンペの幹事のマニュアルの中に、組み合わせを作る際の注意点として『初心者だけの組み合わせは御法度。指導できる人と初心者を組み合わせる』というハウツーが、異口同音に存在しました。

社用族がゴルフの主役から退いて、平成のゴルフは配慮より本音を優先するように変化をした部分がたくさんあります。コンペの組み合わせも、昔のマニュアルの良い点を継承していない悲劇があります。

「上手い人は上手い人同士。下手は下手同士。それが一番平和なんですよ」
上手い同士の組が先に出て、ハーフで3ホールも後ろの下手同士の組が遅れて、間が空くなんてことも起きるようになりました。
もちろん、その後ろは大渋滞で、最終組まで影響して、数組が日没で18ホールを終えることが出来ない原因になったのです。こういう悲劇がないように、双方に配慮するのもゴルフの内です。
身内の平和を優先して、たくさんの無関係なゴルファーに迷惑を掛ける…… ちっとも平和ではありません。

同じレベルの人同士でプレーするほうが、気を使わないで済むので楽だという考え方は理解できます。
後ろの組を待たせるようならパスさせることが可能であったり、コースが空いているなどの条件がクリアできれば、そういう組み合わせで楽しむのもアリです。
スコアは初級者だけど、早くプレーする腕前は上級者というゴルフが出来れば、一切の不安から解放されます。

現実では、上手い人が、下手な人の面倒を見るというパターンが安全で確実なのです。

そして、ゴルフを本当によく知っている上級者であれば、初心者とのプレーを面倒だと思っても、断ったりはしません。初心者を育てるのも、ゴルフの腕前だという先人たちの教えを知っているからです。
それがわからないのであれば、スコアにかかわらず、上級者とは認められないのがゴルフなのです。

ゴルフはすぐに上手くならない

初心者は、ゴルフコースでは嫌われ者です。
プレーの速度が遅くて、渋滞の原因になる可能性が高いように推測できるからです。
逆に、下手でも進行に支障がないハウツーを知って、実践できれば、初心者でも嫌われないのです。

ゴルフ歴が数十年のオールドゴルファーでも、スロープレーヤーはいます。初心者のまま成長していない悪い例です。

ベテランぶっている人ほど言うのです。
「初心者がいると、ペースが乱されるから困るよね」

どんな天才でも、最初は初心者なのです。
自分も初心者を経て、今があることを忘れないようにするだけで、温かく見守る余裕が出るというものです。

スロープレーヤーは迷惑なので、改善できないのであれば、排除しなければならないと思いますが、初心者は温かく見守ることで、早く育っていくと信じるしかないのです。
自分が初心者だったことをないことにして、偉そうに非難したり、ましてや、恫喝するなんて、ゴルフをする資格を疑われる愚行です。

ゴルフの魅力一つでもあり、最大の弱点といわれることもあるのが、なかなか上手くならないことです。
どんなに頑張って努力をしても、ゴルフはなかなか上達しません。その苦痛に耐えきれなくなって、ゴルフをやめてしまう人がいるのも事実です。
これは、主にスコアというわかりやすい基準での話ですが……

スコアだけでなく、ゴルフには色々な腕前があります。
スコアはイマイチだけれど、ゴルファーとしての立ち振る舞いはプロ並みという人がいます。一緒に回っても、ペースが乱されず、むしろ、心地良い時間を与えてくれる人というのは、実は、そういう人だったりするのです。

ゴルファーの評価は、ハンディキャップより、どこのメンバーだとかより、もっと単純になものです。
この人と、またゴルフがしたいか? もうしたくないか? これが基本であり、ファイナルアンサーでもあるのです。

ゴルフのスコアはすぐには良くなりません。でも、誰からも好かれるゴルファーとしての上達は、すぐに効果が出て、急激なレベルアップも可能なのです。
簡単で即効性もあるのに、ベテランになっても身についていないのは、致命的なマイナスです。軽蔑されてもしかたがありません。

大好きな名言があります。
「ゴルフが下手なままの人間は怠慢で、ゴルフが上手くなる努力をしない人間は卑怯である」
この名言はディープで、ゴルフをすればするほど心に響くのです。

ゴルフは個人競技ですが、一人で自由にプレーすることはなく、誰かと一緒にプレーするゲームです。
そして、前後にはたくさんのゴルファーという仲間が一緒に並んでプレーしているのです。
すぐには上手くなれないけれど、だからこそ、迷惑掛けないように、そういう指導まで出来るように、日々の努力が自分の力になるのです。

初級者について、自分が面倒を見ているか、という実績まで含めて、また、見守れているか、一度じっくりと考えてみるものも、ハイシーズンでコースが満員御礼になる春だからこそ、悪くないのです。

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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