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ベン・ホーガン “ヒールを下げる” 逆転のフェースターン

アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第9回]

2022/06/02 ゴルフサプリ編集部

ベン・ホーガン

“決め球”作りにはフェースコントロールが必須。だが、大型ヘッド系は操作しづらいという意見が多い。「それはトゥを閉じようとするから」と森プロ。「“ヒールを下げる”ホーガン流なら、ターンは自在です」

GOLF TODAY本誌 No.599 73〜77ページより

“開いて上げて、ヒールを下げる”ホーガン流なら絶対つかまる

舟を漕ぐようにシャフトを下に回り込ませる

〝決め球〟を作るのに、フェースコントロールをどう考えるかは大きなポイントになる、と森プロ。

「バックスイングからダウンにかけて、フェースの開閉を抑えるほうが安定しやすい、または慣性モーメントが大きくて開閉しづらい大型ヘッドは、シャットに上げて開閉を抑えたほうがいい、といった意見をよく聞きますが、ホーガン流ではまったく逆です」

ホーガンはフェースを開きながら振り上げ、ハーフウェイダウンまで開きっぱなし。それでもフックに悩むほどつかまえていた。

「ホーガンはダウンで、振り上げたプレーンよりインサイドから下ろすイメージを重視していましたが、これは手元をヘッド軌道より下げるイメージ。ヘッドのトゥを軸に、ヒールとシャフトを下げる動きになります。舟の櫓を漕ぐように、シャフトを移動させてヒール側を〝開く〟わけです。こうすると、確実にフェースを戻せます」

森 守洋
フェースターンはシャフトを軸にしようと考えがちだが、これではヘッドの慣性モーメントや重心距離の長さが抵抗になり、安定しない(上)。だが、トゥを軸にヒール側から開くようにシャフトを下げる動きなら、ヘッド重心の動きに逆らわずにフェースターンを促せる(下)。

“タテ回転”もヒールを意識

“タテ回転”もヒールを意識

「ボールを厚くとらえて弾道を強くする、インパクトエリアでフェースを立てていく“タテ回転”の動きも、トゥ上を被せていくのではなく、ヒール下を下げてターフを削っていくイメージのほうが、スムーズにヘッドを走らせつつ、しっかりボールをつかまえることができます」

たぐり動作なら自然に 促せる ヒール下げターン

左腕のローリングとたぐり動作でターン

左腕のローリングとたぐり動作でターン

「ヒールを下げるようにシャフトをたぐり込む動作と、左腕のローリングが組み合わさると、ホーガンらしい左手首の盛り上がった体勢になります。決して固めた形ではなく、一連の動きなので、フォローではヘッドの走りに応じて甲側に折れるわけです」

ヘッド重心を軌道から外すイメージはNG

ヘッド重心を軌道から外すイメージはNG

「スイング中、フェースターンの真の回転軸はヘッド重心です。シャフトを軸に回そうとして、回しにくさを議論すること自体ナンセンス。シャフトはヒールとともに、下から手前に回り込むのが正しいイメージです」

切り返しで“フェースを寝かせる”利点とは?

<ターンの新しいイメージ>ヘッドが出るテコ動作を左手の動きで感じ取る

出前持ちトップドリル

STEP 1 トゥつまみ

ハーフウェイダウンの位置でフェースをほぼ水平にし、右手でヘッドのトゥ上をつまむ。つまんだ所を軸に、シャフトとヒールを下げながらヘッドを引き下げ、途中で右手を離す。リリースされたヘッドのターンする感覚をつかむ。

STEP 2 出前持ち(低)

ハーフウェイダウンの位置で、今度は右手のヒラでシャフトを支える。フェースは水平。左手のたぐり動作に合わせて右手を立てながら、シャフトを後押しするようにリリース。右手のスナップ動作のイメージがつかめる。

STEP 3 出前持ち(高)

右肩の高さで、シャフトもフェースもほぼ水平に。ハーフウェイダウンの位置に下ろすまではたぐり動作を入れないイメージ。これがタメにつながり、インサイドから叩ける体勢につながる。リリースまでの一連の流れを感じ取る。

戻せるからタメられる! 究極の“背面落とし”テク|セルヒオ・ガルシア

戻せるからタメられる! 究極の“背面落とし”テク|セルヒオ・ガルシア

ヘッド背面からシャロー軌道に落とすとベター

ただし、この〝ヒール下げターン〟はスティープ(アップライト)軌道には合わない、と森プロ。

「手元が両肩のラインより高く上がると、シャフトとヒールを下げるイメージだとカット軌道になりやすく、ヒッカケが出やすくなります。適正プレーンか、シャロー(フラット)軌道ならヘッドがインから出るので、大丈夫です」

ホーガンは、ダウンでの切り返しでヘッドを背面から落とす動きで、それを確実なものにしていたようだ。

「シャローなヘッド軌道から、ヒールとシャフトを〝下にかわす〟とフェースがスムーズにタテに戻る。切り返し時点ではフェースは寝ていたほうが立てる動きに時間的余裕ができて、コントロールしやすいんです。

ヘッドのリリースが始まるハーフウェイダウンの手前までで、フェースターンの量と速度を加減できるようになります」

ヘッドが遅れて動くことにこだわったホーガン

ヘッドが遅れて動くことにこだわったホーガン

「カット軌道をとことん嫌ったホーガンは、切り返しでヘッドを背面からプレーンの下に落とす動作を促すドリル紹介しています。一見、振り遅れそうですが、たぐり動作とスナップ動作で確実に戻せる、つかまえることができるスイングのための準備動作と言えます」

強くたぐっても引っかけない“背面落とし”

強くたぐっても引っかけない“背面落とし”

「ガルシアはホーガンよりコッキングが浅いぶん、切り返しでヘッドを背面から落とす動きが明確。手元がヘッド軌道のプレーンの上から大きく下がるため、シャフトも大きく動き、フェースターンも余裕をもって行えます。だから、自由に弾道を操れます」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)

ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ


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