天気予報と予約システムを上手に使いこなして、梅雨のゴルフを濡れずに楽しむヤングゴルファーたち
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第22回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
令和の雨ゴルフ事情の考察
「金曜日の朝、コースに来たらキャンセル待ちが出ていました」
若者が殺到しているコースで、よく耳にするセリフです。一昔前なら考えられない話です。
若者ゴルファーは、週末の天気予報を見て、降水確率が低いことを確認してから、仲間に連絡してメンバーを集め、ネット予約するのです。
天気予報が当たる確率が上がるその週の水曜日から木曜日に24時間可能なネット予約で、夜半にスタートを取るので、金曜日の朝、コースのスタッフがパソコンを立ち上げると、予約サイトや、自社の予約システムから“満員”になったというインフォメーションが入っていて、ビックリするわけです。
コンペや特別なことがない限り、直前に予約することで、雨ゴルフを回避している手法は、まさに令和時代のゴルフシーンだといえます。
ベテランのオールドゴルファーが、一月以上前にゴルフコースのスタートを予約して、天気予報を何度も見ながら一喜一憂しているシーンもゴルフシーンとして、何とも言えない心情が見え隠れして大好きです。
令和になっても、当然、あちらこちらでこのシーンは確認できますし、まだまだ過半数はこのスタイルです。
オールドゴルファーも負けていないのです。
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ただ、実際に、プレー当日が雨だったりすると、無断キャンセルしたりするのは、圧倒的にオールドゴルファーが多いとも聞きます。
そんなことでは、先輩としてリスペクトしてはもらえませんので、注意が必要です。
僕の場合、試打撮影は雨天や強風だと不可能なので、試打撮影が目的のゴルフで天気予報が悪いと、木曜日辺りから右往左往して、土曜日の予約を日曜日に変更できるか、とコースと同伴者に確認をしたり、実際に変更したりします。
調整が不調に終われば、雨天を覚悟して、コースに向かいます。
試打撮影はできなくとも、ゴルフは雨天決行が原則ですので、雨ゴルフを楽しもうと、気持ちを切り替えてコースに向かうのも、なかなか乙なものです。ドタバタした後ほど、スッキリしてコースに向かいます。
“全てやることはやった。後は野となれ山となれ”と開き直れるからです。
結果として、半分ぐらいは、ほとんど雨に振られずにラウンドできたりします。ゴルフの神様からの贈り物だと感謝するのです。
雨天決行がゴルフの基本なのは本当
一昔前まで、ゴルフコンペの案内に、開催予定日時や場所などの情報と一緒に、念のためというのか、お約束というのかわかりませんが『雨天決行』の文字が必ず入っていました。
最近は、参加するコンペの半分ぐらいは、雨天の確率が高い天気予報だと、開催日の前々日とかに中止や延期の連絡が来るようになりました。案内にも、その旨が書かれていたりもします。
コンペの幹事役にとって、賞品などを準備することを考えると、雨天決行が好ましいのです。賞品を準備したのに中止になった場合に、費用も時間も、もちろん賞品も無駄になってしまうからです。
バブル期のゴルフシーンでは、雨天決行が当たり前だったのは、昭和の猛烈社員たちのガッツがあったからだけではなく、キャンセル代を徴収されたからという事情もありました。
ゴルフコースがクローズしない限り、キャンセル代が発生したのです。一人5千円から1万円ぐらいが相場で、強気のコースだとプレー代と同じ2万数千円なんていうケースもありました。
当時は、スタート枠を取るのが大変だった関係もあって、台風みたいな豪雨の中でも、「参ったねぇー」なんて声を掛け合いながらも、笑顔で集合して、雨ゴルフを楽しんだのです。
この機会を逃したら、次にゴルフがいつ出来るかわからない、ということになれば、雨ゴルフでもしかたがないと考えるわけです。
ゴルフが出来るということの価値観が、現在とは全く違ったのです。
ゴルフが育ったスコットランドは、1日中天候が良いということが少なくて、お天気が変わりやすいので、イギリス発祥のサッカーやラグビーなども、雨天決行となっています。
雨で中止や延期していては、ゲームが終わらないからです。
ゴルフも全く同じです。
歴史的背景を持ち出すまでもなく、ゴルファーを迎え入れる準備をしているコースのことを考慮しても、雨天でもゴルフをするのが基本だという原則は、現在でも有効です。
雨のゴルフは嫌だけど、最高なのだ!
令和の若者ゴルファーは雨天でゴルフをしないかというと、「バカなの?」と思ってしまうほどの酷い悪天でも、雨ゴルフを楽しんでいるシーンを何度も目撃しています。
近年は、本当に天候が悪いと、ゴルフコースのほうからクローズの連絡があったりします。
予報ではクローズほどではなかったのに、コースに着いてみるといわゆる土砂降りで、とてもじゃないけれど、ゴルフは無理ということもありますが、こういうケースでも、コースから「来ていただいてスミマセンが、無理に回らなくとも良いですよ」なんて言われることがあります。
行きの車中で、危険を感じるほどの悪天だと、同伴者と「これは中止だね。挨拶して帰るパターンだね」なんて話しながら向かうわけです。
ところが、最近は、コースに着いた途端、若者ゴルファーが雨具を着て準備していたりするのです。
「やりますか。負けられねぇもんね」オールドゴルファーにも闘志が湧くのです。
スイッチを入れて雨ゴルフの準備をします。互いに無言ですが、例外なく、笑顔なんです。
自分たちのバカさ加減に呆れつつ、ゴルファーとしての矜持に笑ってしまうのです。
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僕はトップスタートが多いので、若者ゴルファーの視線を意識しながら、先にオールドゴルファーがスタートします。
いつの間にか、他にも、名も知らぬゴルファーたちが数組いたりします。
「負けるとわかっていても、行かなければならないときがある……」
というシンパシーを感じて、強烈な仲間意識が生まれます。
グリーンに水が浮いて、ボールが転がらなくなると、コースのマーシャル係が来て、「もうやめてください。お代はけっこうですから」なんて言われて、悪天ゴルフは終了します。
雨ゴルフは珍プレーが次々に発生します。グリップが濡れないように注意しないと、クラブがすっぽ抜けてしまうので、ボールに当たっていないのにOB杭の向こうにすっぽ抜けたクラブが飛んでいくというシーンも見たことがありますし、打ち上げのホールで、フェアウェイが川のようになって、真ん中に打ったボールはティまで戻されるホールもプレーしたことがあります。ラフに向かって打ち続けて、ホールアウトしましたが、そのホールだけで18ホールをラウンドしたような達成感がありました。
台風が近づく中で、強風でティにボールが乗らなくなって、アドレスもしづらくなったこともありましたし、目の前に雷が落ちて死にかけたときもありました。
雨ゴルフの究極は、スコアとかは無視して、とにかくそんな中でもゴルフが出来ることが幸せに感じるという、ゴルファーズ・ハイ状態に入ることです。
若者ゴルファーに張り合って、強引に悪天ゴルフをして、若くないので、体調が悪くなったりした同伴者もいて、「若者ゴルファーと張り合うのはやめる約束ね」と確認し合ったりしています。
でも、今のところ、約束したけれど…… ということになって、張り合っています。
記憶に残る爆笑な雨ゴルフをするたびに、これも、ゴルフの神様の贈り物だと思うのです。
2023年6月8日。関東地方は梅雨入りしました。
雨ゴルフの季節です。
高性能な雨具には、本当に感心しますし、傘を差してゴルフをするのも嫌いになれません。
真冬の雨は寒さに凍えて死にそうになりますが、この季節の雨は、心地良かったりもして、やさしいのです。
選べるのであれば、晴れゴルフと雨ゴルフで雨ゴルフを選ぶゴルファーはいません。誰でも悪天は嫌なものです。
だからこそ、雨ゴルフをしたことがないという話を聞くと…… 少し同情してしまうのです。
雨ゴルフには、雨ゴルフでなければ経験できないゴルフがあるからです。それを知らないのは、胸を張って自慢できるかどうか? こういう時期だから、雨ゴルフをオススメしたいのです。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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