男子ツアーで密かなブーム!? 「ご当地V」がいま熱い!!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.156
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茨城県のPGM石岡ゴルフクラブで開催された男子ツアーのHEIWA・PGM CHAMPIONSHIPを制したのは地元・茨城県出身の星野陸也だった。今、男子ツアーでは星野のように出身都道府県開催の大会で優勝する「ご当地V」が続出する珍現象が起こっている。
男子ツアーで密かなブーム!? 「ご当地V」がいま熱い!!
自分の出身地の大会は、選手にとって思い入れは大きいはず。多くの知人の応援を背に初めての「ご当地V」を飾った星野も「プロになって一番したいことのひとつが地元での優勝でした」と語り、うれし涙を流した。
男子ツアーにおける「ご当地V」はツアー制度が施行された1973年以降、星野で71例目となる。ただし、各地区オープン(北海道オープン、関東オープン、中部オープン、関西オープン、中四国オープン、九州オープン)が賞金ランキング加算競技だった1991年までと1992年以降では様相が異なる。
1991年までは19年間で41例あり、うち約6割は地区オープンで記録されたもの。それぞれの地区で同時期に開催され、その地区出身の選手が多いから自然と「ご当地V」が多くなるのだ。1992年以降は31年間で30例と激減している。平均して年に1回程度だ。しかも、最近は2018年の「日本シリーズ」(東京都、小平智優勝)を最後に「ご当地V」は途絶えていた。
ところがだ、今年9月、兵庫県で行われた「パナソニックオープン」で兵庫県出身の蝉川泰果がアマチュア優勝を飾って4年ぶりの「ご当地V」を記録してから流れが変わる。2週間後には群馬県開催の「For The Players By The Players」で同県出身の小林伸太郎が初優勝し、さらに次戦は兵庫県開催の「日本オープン」で蝉川が再び優勝。そして翌週に星野が勝った。この間、5試合中実に4試合が「ご当地V」だったのだ。
年間4回の「ご当地V」は1983、89年に続く最多記録。ただし、過去の2年はともに4回中3回が地区オープンでのものだった。全国規模の大会のみなら年間4回は初めてのことである。
コロナ禍でしばらく無観客が続いていたが、このところようやくギャラリーが入場できるようになってきた。地元のギャラリーの応援は心強いはず。「ご当地V」の続出は有観客になったことと無関係ではないかもしれない。
男子ツアー今季の「ご当地V」
大会 | 開催地 | 優勝者 |
---|---|---|
パナソニックオープン | 兵庫県 | 蝉川泰果 |
For The Players By The Players | 群馬県 | 小林伸太郎 |
日本オープン | 兵庫県 | 蝉川泰果 |
HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP | 茨城県 | 星野陸也 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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