ゴルフは体重移動を使ってスイング!動作のコツや練習方法を解説
ゴルフのスイングは体重移動(=ウェイトシフト)が大切と昔からいわれています。
これがうまくできないと手打ちになってダフったり、ボールに強い力が伝わらず飛距離を伸ばせない、などといわれます。
そこで体重移動がなかなかうまくできないと悩むアマチュアゴルファーに向けて、マスターするコツや練習法を紹介!ぜひ参考にしてください。
ゴルフの体重移動とは?
ゴルフの体重移動(ウェイトシフト)とは、一般的にバックスイングでは右足に多く体重を乗せ、ダウンスイングからフィニッシュでは左足に体重を多く乗せていくことをいいます(右打ちの場合)。
ライや持つ番手など、状況によって変化しますが、基本的にスイングはアドレスのときには両足に均等に体重を配分しています。
それをバックスイングでは右足に、ダウンスイング以降では左足に体重を移動していくということです。
▼【大西翔太】ゴルフの体重移動を使ったスイング
- ゴルフのスイングで体重移動が大切な理由
- スイングで体重移動が不要という意見もある?
- 体重移動の勘違いで多いスウェーとの違い
ゴルフのスイングで体重移動が大切な理由
ゴルフスイングにおいて体重移動が大切といわれる理由はいくつかありますが、主なものを紹介しましょう。体重移動に関するメリット、デメリットは下記のようなものが主になります。
【メリット】
- 体重移動をすることでインパクト時により大きな力がボールに伝わるため飛距離を伸ばすことができる。
- 体重移動をすることでクラブが理想的な角度で下りてきてダウンブローで打てる。
【デメリット】
- 体重移動がないと手打ちになりボールに伝わる力が小さくなって飛距離を伸ばせない。
- 体重移動がないとすくい上げるようなスイングになりダフったり、トップしたりする。
このほかにもさまざまな意見や考えがありますが、たいていは「体重移動をしないと手打ちになり、理想的なスイングにならない」といっているものがほとんどです。
スイングで体重移動が不要という意見もある?
ゴルフスイングにおいて体重移動は不要という意見があります。そしてそう考えるプロやコーチ、インストラクターは数多くいます。
逆に体重移動は必要と考える人も多いことから、要はその人に合っていれば、どちらでもよいのです。
ただ野球、ソフトボール、テニス、クリケットなど、道具を使ってボール等を打つスポーツの経験者は殊更体重移動を意識しなくても、スイングするときに自然と下半身が動いて右足から左足へ体重が移動する傾向があります。
上記のようなスポーツの経験がない、もしくはスポーツそのものの経験がほとんどない人はスイングしたときに上半身と下半身の動きが連動しない、もしくは下半身がほとんど動かず、単に手や腕を振っているだけになる傾向が強く、そのため体重移動もまず発生しません。
人によってこのような差があるため、体重移動を使ってスイングすることが合っている人もいれば、合わない人もいて、正解はないのです。
しかしスイングの流れからみると、近年はバックスイングで体重を右足に乗せ、ダウンスイング以降では体重を左足へ移すという従来からある体重移動を行うプレーヤーよりも、“体重を移動する”意識がなく、その場で回転する意識のプレーヤーが増えたように感じます。
体重移動の勘違いで多いスウェーとの違い
たいていのアマチュアゴルファーはバックスイングのときに右足への体重移動が大きすぎてスウェーしています。100切りを目指すレベルのアマチュアはもちろん、クラブ競技等に出場している上級者にも、この傾向は見られます。
この傾向が体重移動のせいなのか否かは不明ですが、少なからず体重移動を意識してスイングするとスウェーしやすくなるのは事実です。
アドレス姿を正面から見た場合、バックスイングで右腰が右方向へ1センチでも動いたらスウェーです。1センチ横へズレた分だけ、スイング軸もズレるので、ジャストミートの確率は下がります。
トーナメントプロのなかには、スイング中は頭を1ミリも動かさないという人もいて、それだけスイング軸を不動にすることの大切さを説く人もいます。
体重移動を使ってスイングすること自体に何も問題はありません。ただしスウェーしないことが大前提。あなたも1センチや1ミリに意識を向けた体重移動をしましょう。
ゴルフで体重移動を使ってスイングできるメリット
必要か不要か…。ゴルフの体重移動にはさまざまな考えがあり、どう捉えるかは、人それぞれ。しかし、昔からいわれるようなメリットがあることも確か。
そこでここでは体重移動を行うことで得られるメリットを紹介しましょう。
- バランスのとれた、淀みないスイングができるようになる
- ビッグドライブを手に入れる可能性が大きくアップする
- ダウンブローを身につける近道になる
バランスのとれた、淀みないスイングができるようになる
体重移動を使ってスイングできるメリットその1は、バランスのとれた、淀みないスイングができるようになることです。
基本的にゴルフスイングは腕の振り、カラダの回転、下半身の動きを連動させることが大切です。
なかでも下半身はスイングの土台となる部分なので、ここの動きが狂ったり、間違ったりすると、スイング全体に悪影響がでます。
そうならないためには体重移動をきちんと行うことが大切。これができるといわゆる下半身リードのスイングになるため、カラダ全体をバランスよく動かすことができ、スムーズにクラブを振ることができます。
ビッグドライブを手に入れる可能性が大きくアップする
体重移動を使ってスイングできるメリットその2は、飛距離アップの可能性が広がることです。
ゴルフスイングにおいて、いわゆる手打ちはご法度といわれます。手打ちにはさまざまなデメリットがありますが、なかでも手や腕の動きだけでは飛距離を伸ばせないという点がよく挙げられます。
その点、体重移動を使ってスイングすると、移動によって大きなエネルギーが発生するためヘッドスピードが速くなったり、インパクト時の衝突エネルギーが増すなどして、飛距離アップが可能になります。
ダウンブローを身につける近道になる
体重移動を使ってスイングできるメリットその3は、ダウンブローで打つ技術が身につきやすくなることです。
アイアンにしろフェアウェイウッドにしろ、地面にあるボールを打つには必ずダウンブローが必要です。その理由は最下点の手前でボールを打つことがゴルフの基本だからです。
ダウンブローで打てないほとんどの人は、右足に体重が残ったままインパクトを迎えています。これではボールの手前にヘッドが落ちてダフりになります。
しかし体重移動ができれば、左足に体重が移った状態でインパクトを迎えるためダウンブローで打てるようになります。
ゴルフスイングの体重移動のコツ
ここではゴルフスイングにおいてうまく体重移動するためのコツを紹介します。
体重移動がうまくできないと悩んでいるなら、ここに挙げた項目をチェックしてみましょう。そして当てはまることがあれば、その点を改善しましょう。
- 左右の足に均等に体重を配分してアドレスする
- 右足から左足への体重移動はタイミングが大切
- 足の前後の体重移動にも気をつける
- 体重は移動しても軸は絶対に動かさない
左右の足に均等に体重を配分してアドレスする
アドレスでは両足に均等に体重を配分する
スムーズな体重移動を行うコツその1は、アドレス時に左右の足の体重配分に気をつけることです。
ライや狙い方など、アドレスは状況によって変わってきますが、ティグラウンドのようにライがよい状態では、左右の足に均等に体重を配分してアドレスするのが一般的かつ基本です。
これが、左右どちらかの足に多くの体重を配分してアドレスすると、バックスイングのときに右方向へスウェーをしたり、これとは逆にトップで左足へ過度に体重が残ったりします。こうならないためには、左右の足に均等に体重配分するように気をつけることが大切です。
右足から左足への体重移動はタイミングが大切
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タイミングに注意するとうまく体重移動ができる
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右足から左足への体重移動はタイミングが大切
スムーズな体重移動を行うコツその2は、タイミングに注意することです。
体重移動を言葉で説明すると「バックスイングで右足に乗った体重を、ダウンスイングで左足に移動すること」になりますが、実際には右足への移動と、左足への移動は時間的に分離しているものではなく、ほぼ同時に行われます。
感覚的には歩くのと同じです。ふつう右足を踏み出してカカトが地面に触れたときには、左足のカカトが上がっています。
右足裏全体が地面をとらえてから、左足を上げて踏み出すような歩き方はふつうはしません。体重移動もこれと同じで、歩くようなタイミングで移動することが大切です。
足の前後の体重移動にも気をつける
ツマ先やカカトに体重を乗せるとうまく移動できない
スムーズな体重移動を行うコツその3は、体重がツマ先寄りになったり、カカト寄りになったりしないように注意することです。
一般的に足の前後(ツマ先とカカト)方向の移動に対して体重移動という言葉は使いませんが、スイング中に過度にツマ先側に体重が乗ってしまったり、カカト側に体重が乗ってしまう人がいるので、ここで取り上げてみます。
体重が前後に偏ると、カラダのバランスを保つのが難しくなるため体重移動はできません。
そのため、アドレスしたときに足裏にかかっている体重の位置を、スイング中はキープする意識をもちましょう。
この意識があればツマ先やカカトに体重が偏る心配がなくなり、体重移動がしやすくなります。
体重は移動しても軸は絶対に動かさない
スイング軸を動かさずに体重を移すことが重要
スムーズな体重移動を行うコツその4は、スイング軸は絶対に動かさないことです。
体重移動のフィーリングをマスターするドリルとして、ステップ打ちをすすめる人がいます。このドリルはとても効果的ですが、この動きをそのままスイングに当てはめると、スイング軸が左右に動いてしまうので要注意です。
ステップ打ちのフィーリングはあくまでも下半身の動きです。背骨を中心としたスイング軸は絶対に動かさないように気をつけなければいけません。
スイング軸が動くような体重移動は、そもそも体重移動ではありません。それは単にカラダを左右に揺さぶっているにすぎません。
ゴルフのスイング時に体重移動できない原因や間違い
ここではゴルフスイングにおいて体重移動ができない人の主な原因や、間違っている動きについて説明します。「もしかしたら…」と感じることがあったら、まずはその点を修正することが大切です。
- 切り返しで上半身が突っ込むと体重移動ができない
- 体を揺さぶったりスライドするのは間違い
- 体重移動の範囲は思いのほか小さい
切り返しで上半身が突っ込むと体重移動ができない
切り返しで突っ込むと右足に体重が残る
体重移動がうまくできない主な原因として、切り返し直後から上半身が突っ込んでしまうことが挙げられます。
突っ込んでしまう主な理由は手や腕の力でクラブを下ろすからです。これでは右足に体重が残ったまま、右肩が飛球線方向に出てしまうため、体重移動はできません。
また弊害としてスイングの軌道がアウトサイド・インになるためボールがつかまらず、スライスを多発します。
手や腕の力でクラブを下ろす人は、いわゆる下半身リードを意識して切り返しましょう。
この意識があれば、少しずつですが体重移動が身についてくるでしょう。
体を揺さぶったりスライドするのは間違い
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体を横に揺さぶるのはご法度
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体を揺さぶったりスライドするのは間違い
体重移動の間違い・勘違いとして体を横に揺さぶる、もしくはスライドさせるというものがあります。
前記しましたが、基本的に体重移動は左右の足へ体重を移すこと。横方向の動きになります。
この意識が強すぎるのか、はたまた勘違いなのか、アマチュアのなかにはスイング軸がズレるほど横方向にカラダをスライドさせる人がいます。
これは体重移動の範疇をこえて、単にカラダを揺さぶっているにすぎません。正しい体重移動はスイング軸をズラさずに、左右の足へ体重を移動させることです。
体重移動の範囲は思いのほか小さい
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両足の股関節の間で移動する
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体重移動の間違い・勘違いとして、体重を移動させる“範囲”があります。
一般的に体重移動=バックスイングで右足に、ダウンスイングで左足にといわれています。
そのせいか、バックスイングのときには右足裏全体で、ダウンスイングのときには左足裏全体で移動してきた体重を受け止める意識の人がたくさんいます。
この意識があると必ずと言っていいほどスウェーするため意識を変えましょう。移動してきた体重は右足も左足も足裏の内側で受け止めます。または股関節で受け止めます。
つまり体重が移動する範囲はとても小さく狭いのです。
ゴルフの体重移動が身に付く練習方法・ドリル
ここではゴルフスイングにおいて体重移動をマスターするための練習方法やドリルを紹介します。どれも簡単にできるものばかりなので、日頃の練習に取り入れて、ぜひ身につけてください。
- ステップしながらボールを打つステップドリル
- 腰にスティック等を付けてボールを打つドリル
- 【参考】ゴルフの体重移動が身に付く練習器具
ステップしながらボールを打つステップドリル
体重移動を身につけるうえで効果的なドリルその1はステップ打ちです。やり方は以下の通りです。
- 任意のアイアンを持ってアドレス。
- 左足を浮かせて右足へ体重を移す。
- 浮かせた左足を踏み込んでボールを打つ。
ステップしながら打つため、体重を移動するフィーリングが簡単につかめます。ドリルのポイントは手でクラブを下ろさず、左足の踏み込みでクラブを下ろすこと。
踏み込んでクラブを下ろせるようになると、体重移動はもちろんのこと、下半身リードで切り返すフィーリングも身につきます。
ドリルに慣れてきたら、ボールを3~4球置いて、連続ステップ打ちをしましょう。連続で打つときのポイントはテンポに気をつけてリズムよく打つこと。
テンポやリズムに注意しながら練習すると、体重移動や下半身リードに加えて、淀みのないスムーズなスイングが身につきます。
腰にスティック等を付けてボールを打つドリル
体重移動を身につけるうえで効果的なドリルその2は腰にスティック等を付けてボールを打つドリルです。やり方は以下の通りです。
- ベルトループにツアースティックなどを取り付けます。
- 任意のアイアンを持ってアドレス。
- ツアースティックが傾かないように気をつけてボールを打つ。
このドリルの目的は腰を水平に回転させることです。スティックを付けてボールを打つので、腰が水平に回ったか否かがひと目でわかります。
体重移動が正しく行われると腰が水平に回転してスティックは傾きません。右足に体重が残ったり、上半身が突っ込んだりすると、腰が水平に回転せずスティックが傾きます。傾くことで体重移動の成否がすぐにわかります。
腰が水平に回転すると体重は自然と左右の足へ移動します。左右の足に体重を移す感覚がつかめない人は、腰の回転を意識するとよい結果につながるでしょう。
【参考】ゴルフの体重移動が身に付く練習器具
「パワープラットフォーム」や「ファイヤーインパクト」など、足で踏んで使用する傾斜台が体重移動が身につく練習器具といわれています。
内側に傾斜しているので体重を移す感覚、そしてスウェー防止の感覚はマスターしやすいと思われます。
重量のあるマスコットバットなどで素振りをすると、簡単に体重移動のフィーリングがつかめるのでおすすめです。
【Q&A】ゴルフの体重移動について多い質問
以下では、ゴルフの体重移動について多い質問・疑問に回答します。
- フィニッシュで右足に体重が残るのはなぜですか?
- 体重移動を意識するとスウェーしてしまうときは?
- トップで左足に体重がかかってしまうときは?
Q. フィニッシュで右足に体重が残るのはなぜですか?
フィニッシュで右足に体重が残ってしまうのは切り返しのときに下半身ではなく、上半身が先行して動いてしまうのが原因です。
上半身が先行する理由は手や腕の力でクラブを下ろすからです。ゴルフスイングの基本は上半身よりも下半身が先行して動くことなので、左足をしっかり踏み込んでからクラブを下ろすように意識することが大切です。
Q. 体重移動を意識するとスウェーしてしまうときは?
一般的に体重移動はバックスイングで右足に、ダウンスイング以降は左足に体重を乗せることです。
しかし足の裏全体で移動してきた体重を受け止めようとすると、まず間違いなくスウェーします。
プロゴルファーをはじめ、体重移動が正しくできる人は足裏ではなく股関節で体重を受け止める意識です。つまり体重が移動する範囲・距離はとても小さいのです。したがって、股関節を意識すればスウェーも防ぐことができるでしょう。
Q. トップで左足に体重がかかってしまうときは?
左足一軸でスイングするプロゴルファーもいるので、一概に左足体重が悪いことだとはいえません。
ただハイハンデのアマチュアで、このようになってしまう人はバックスイングで頭が大きく左へズレて、それと連動してスイング軸も左方向へ大きく傾いてしまうからです。
トップで右足へ体重を乗せるには頭を絶対に動かさないように気をつけ、アドレス時の前傾角度に対して肩を水平に回すことです。
ゴルフスイングでスムーズな体重移動ができるようにしよう
ゴルフのスイングにおいて体重移動は必要という考えもあれば、不要という考えもあるため、要はその人にとって合うか、合わないかの問題です。
しかし、スコア100前後を行ったり来たりしている人の多くは、スムーズに体重が移動せず、闇雲に手でクラブを振っている人が多いもの。そのため、まずは下半身をしっかり使って体重移動が伴ったスイングを目指しましょう。
そしてレベルがアップしてきたら、自分にとって本当に必要なのかを再考するのがベストでしょう。
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経て、フリーランスのゴルフライターに。USGTFティーチングプロ資格を有し、現在はゴルフライター活動とレッスン活動の二刀流。