その症状「寒暖差疲労」かもしれません|ゴルフと寒暖差2
生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第23回
11月から12月初旬は思いのほか日中ぽかぽか陽気の日が多く、最高のゴルフシーズンです。しかし「いまの時期こそ寒暖差による体の不調が起こりやすい。ゴルファーの方々は要注意です」というのは、せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司先生です。今回は、寒暖差による疲労や不調に陥らないようにするにはどうしたらいいのか。ラウンド中の具体的アイデアやケアの仕方をさらに深くお聞きしました。
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晩秋の倦怠感、頭痛、めまい、咳、鼻水…その症状“寒暖差疲労”かもしれません!?
気温差に対応できないと症状が出る
11月は、ぽかぽか陽気と紅葉の景色に恵まれた、ゴルフのベストシーズンです。一方、秋の深まりとともに朝晩の冷え込みはいっそう厳しくなり、1日のうちの気温差が大きくなっています。
「晩秋は1日のうちの気温差が10度くらいある日も珍しくありません。ゴルフは早朝から長時間プレーするアウトドアスポーツですから、“寒暖差疲労”には十分気をつけてください」というのは久手堅司先生(せたがや内科・神経内科クリニック院長)です。
久手堅先生は天候によってさまざまな不調や症状があらわれる“寒暖差疲労”や“気象病”の患者さんの診療に積極的に取り組み、Twitterで気象の変化に適した体調管理のポイントを日々発信していることでも注目されています。
「人の体は、室内外、日内変動、前日比などの気温差が7度以上あると大きなストレスを受けます。気温差に対応できているときは問題はないのですが、対応できないと“寒暖差疲労”となり、倦怠感、冷え症、首・肩こり、頭痛、めまい、胃腸障害、イライラ、不安、かぜ、アレルギー症状などさまざまな不調を招きます。早朝から長時間かけてコースを回るゴルファーは、しっかりした準備・対策をとることが欠かせません」。
気温差は体にとって大きなストレスとなり、それに対応ができないと“寒暖差疲労”の症状が出るというのです。
自律神経の負担を軽くすることが防ぐコツ
久手堅先生に、そうした体の仕組みをもう少し詳しく教えていただきました。
「気温が低い状態から7度以上高くなるのを“上り坂の寒暖差”、反対に気温が高い状態から7度以上低くなるのを“下り坂の寒暖差”といい、この時期は早朝寒くて昼ごろ暑くなる“上り坂の寒暖差”が多くなります。いずれの場合も、気温差に対応するために自律神経が体内の状態を一定に保つよう働くわけですが、働きすぎてエネルギーを消費した結果、自律神経がへとへとになって“寒暖差疲労”の症状が出るのです」。
自律神経は脊椎の中を通って体中に張り巡らされている末梢神経のひとつです。各臓器や機能と密接にかかわり、呼吸、血流、体温などをコントロールして生命活動の根幹を支えています。
24時間休みなく心臓を動かし、食べたものを消化・吸収させ、暑いときは汗をかいて体温を下げ、寒いときは血管を収縮させて体温調整をするのも自律神経の働きによるものです。
自律神経には交感神経と副交感神経とがあり、両者がバランスよく働くことによって体内の状態を一定に保っています。しかし、寒いときは交感神経が優位になりすぎ、気温が上がって暑くなると副交感神経が活発化します。気温の上下に対応するため自律神経もアップダウンを繰り返し、ついには対応が追いつかなくなって何かしらの症状がでるのが“寒暖差疲労”なのです。
ゴルフのラウンド時は、気温差への準備や対策をすることによって自律神経の負担を軽くすることが“寒暖差疲労”を防ぐコツといえそうです。
“三首”を温め、汗をこまめに拭くことが大事
それには、具体的にどのような準備や対策をしたらよいのでしょうか。
「最も大事なのは体を温めること、冷やさないことです。特に首元、足首、手首の“三首”を温めると体感温度が2度は違ってくるといわれています。“三首”はいずれも皮膚の近くに太い血管が通っているため、温めることで血流がよくなるからです。ネックウォーマーをつける、くるぶしの上までくるソックスを履く、長袖シャツを着る、ホカロンをポケットに入れてプレーの合間に手を温めるなどしましょう」。
「また、汗をかきっぱなしにするのは絶対だめです。汗を吸い取ったウェアは冷たくなるし、皮膚の汗は気化して熱を奪うからです。晩秋でも冬でも、日中コースを早足で歩けば汗をかきます。必ずこまめに拭くようにしてください。汗かきの人はハーフでシャツを着替えるくらいでいいでしょう」。
早朝は寒くても日中は気温が上がります。これこそが気温差であり、暑くなったとき簡単に着脱できるようにしておくことが寒暖差対策の基本だと久手堅先生はいいます。
例えば、カシミアのタートルネックを下に着てしまうと暑くなっても脱げずにのぼせてしまいます。ネックウォーマーなら首をピンポイントで温め、暑くなったらすぐに外せるので簡単に対応できます。タイツも同じです。履くのであればスパッツとソックスに分け、ハーフで汗をかいたソックスを履きかえるといいそうです。
アルコールは控え温かい食事を摂る
これまでお聞きしたウェアや防寒グッズは、いわば体を「外から温める」工夫ですが、中から温めることも大切です。
「ゴルフ場でとる朝食や昼食は寒い中でラウンドをする際のエネルギーになります。良性のたんぱく質、繊維質、水分をしっかりとれるメニュー、温かいものがオススメです。メインが炭水化物でも、煮物や湯豆腐や納豆の小鉢、わかめスープや温野菜などをつけるといいですよ」。
「アルコールとカフェインは、トイレが近くなり脱水を招くため控えるのが賢明です。それでもアルコールを飲むという方は水も一緒に飲む、カフェインだったらホットミルクティーで体を温めましょう。水はラウンド中もこまめにとるようにしてください」。
自律神経の負担を軽くするには、ウェアや防寒グッズで体を冷やさないようにし、食事や飲み物で中から体を温める心がけが欠かせません。
コースでもハウスでも、状況に応じてこまめに寒暖差に対応しましょう。
【ゴルフと寒暖差のまとめ】
〈“寒暖差疲労”とは〉
1)室内外、日内変動、前日比など気温差が7度以上あるとなりやすい
2)倦怠感、冷え症、首・肩こり、頭痛、めまい、胃腸障害、イライラ、不安、かぜ、アレルギー症状などの症状を招く
3)血流や体温を調節する自律神経が働きすぎてバランスを崩し、気温差に対応できなくなるのが原因
〈“寒暖差疲労”を防ぐ対策〉
1)ネックウーマーで首を温める
2)くるぶしの上まで覆うソックスを履いて足首を温める
3)長袖シャツを着て手首を冷やさないようにする
4)汗をかいたら必ず拭く
〈体の中から“寒暖差疲労”を防ぐ〉
1)良性のたんぱく質、繊維質、水分をとる
2)温かいものを食べる、飲む
3)アルコール、カフェインを控える
取材・文/野上雅子
撮影トーナメント/TOTOジャパンクラシック
撮影/相田克己
久手堅司氏(せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士)
日本内科学会総合専門医、日本神経学会神経内科専門医、日本頭痛学会頭痛専門医、日本脳卒中学会脳卒中専門医。東邦大学附属医療センター大森病院、済生会横浜市東部病院での臨床経験を経て、2013年せたがや内科・神経内科クリニックを開設。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」等の特殊外来を立ち上げ、5000人以上を診察。一人ひとりの訴えに寄り添ったきめ細かい診療は患者さんからの信望が厚い。テレビや雑誌等への出演のほか、気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」を監修。SNSでも気象の変化に適した体調管理のアドバイスを日々発信。近著『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)が注目されている。
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