『2代目のカーボンフェースも飛ぶらしい』期待を裏切らない「ステルス2」の圧倒的な飛距離性能
画期的なカーボンフェースで2022年の市場を席巻したテーラーメイドのドライバー「ステルス」。その2代目となる最新モデル「ステルス2」シリーズが、いよいよ2023年2月17日に発売される。“2”と銘打ってはいるものの、マイナーチェンジにとどまらず、ニューモデルと呼んでもいいほど進化しているらしい。ということで、試打名人・石井良介に打ってもらいインプレッションを聞いた。
協力/千葉セントラルゴルフクラブ 撮影/相田克己
飛ばしたいゴルファーの期待感に応える「カーボンウッド」のさらなる進化
開発に長い年月をかけたステルスシリーズがデビューしたのは約1年前。世界のゴルフシーンは新たなカーボンウッド時代を迎えたわけだが、テクノロジーの進化はとどまることを知らない。後継機・ステルス2の誕生により前作が切り開いた飛距離性能と寛容性は、さらなる高みへと踏み込んだ。
ステルス2の特徴はカーボン素材の容量が大幅に増えたこと。象徴的なヘッド後方の赤いリングもカーボン製。
2021年モデルのSIM2ではこの部分にフォージドアルミニウムリングが採用され、前作のステルスでも踏襲されていたが、ステルス2では特殊強化カーボンコンポジットリングを採用。ステルス2 プラスに至ってはソールまでもカーボン化された。
いずれのモデルもヘッドに使用されているカーボンの容量が大幅にアップしたことで従来を上回る余剰重量が発生。あらためて最適化することにより各モデルとも慣性モーメントが飛躍的に向上しショットの再現性が高くなった。
力強さの中にも心地よさを味わえる上質なインパクトサウンド
前作で初めて搭載されたエネルギー伝達効率向上を目指す新構造カーボンフェース設計・60層カーボンツイストフェースは、フェースのセンターエリアを厚くするインバーテッド・コーン・テクノロジーを導入してさらにパワーアップ。ボールスピードの高初速化が促進されただけでなく、ツイストフェースとのマッチングでミスヒット時のボール初速の低下を抑えることにも成功した。
また、サウンドエンジニアリングチームによって、カーボンソールの厚みや形状、構造から生じる打音を徹底分析し、力強さの中にも心地よさを味わえる上質なインパクトサウンドも実現している。
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選べる『飛び』はステルス2/ステルス2 プラス/ステルス2 HDの3モデル
ヘッドタイプはスタンダードモデルのステルス2、ハイドローモデルのステルス2 HD、低スピン仕様のステルス2 プラスの3種類。
ステルス2はヘッド後方に25gのタングステンバックウェイトを搭載して高慣性モーメント化。空気抵抗を減少させるイナーシャジェネレーターとの相乗効果で、高い飛距離性能を保ちつつ寛容性をアップさせた。また、フロントウェイトを戦略的にソールに配置。最適な打ち出し角とスピン量で安定したショットを実現する。
ハイドローバイアス設計のステルス2 HDはヘッドの軽量化に伴って30gのタングステンウェイトが搭載されたイナーシャジェネレーターをヒール寄りに配置することで、高弾道でつかまりやすくなった。おまけに寛容性も進化。シリーズにおいて最も安定性が高く、大きく飛ばせるカーボンウッドになっている。
ステルス2 プラスはヘッドの後方に15gのスチールバックウェイトを搭載。また、左右方向の重心位置を調整できる15gスライディングウェイトシステムにより、個々のプレーヤーに応じた弾道への調節が可能になった。さらに最適な打ち出し角や弾道に調整できるFCTロフトスリーブが再現性の高いショットを生み出す。
石井良介はプラスがお好み?「ステルス2」シリーズ・詳細インプレッション
トーナメントで結果を出すクラブだということを認識させられた初代・ステルス
「初代・ステルスではノーマルモデルのステルスドライバーを1本買いましたが、正直に言うと早々に使うのを断念しました。飛ぶ気はしますが曲がったり、ボールが浮ききらないなどして扱いこなせなかったんです。確かに金属フェースのSIMやSIM2と比較してスピン量は減り、ボール初速が速くなったように感じましたが“劇的に”とまではいきませんでした。
そもそもフェースがカーボンになったことが物珍しく、劇的に何かが変わるんじゃないか、という期待があって飛びついたわけですが、冷静に考えるとテーラーメイドって決してやさしいクラブは作っていません。あくまでプロが使うことを想定し、ツアープロがトーナメントで結果を出すためにクラブを作っているメーカーだということを改めて認識させられました。
PGAツアーでは多くのプレーヤーが使い、マスターズを勝ったシェフラー、タイガー、マキロイもカーボンフェースから替えていないところを見ればモデルとしての完成度は高い。ただ、その完成された性能を享受する=スポーツカーを乗りこなすテクニックが僕にはなかった。それが前作でした」
ステルス2を打つマキロイとタイガー、コリン。3人のやりとりがキュートなステルス2の動画。「FAR(遠くへ)GIVENESS(寛容性)」という造語の意味は、打てばわかるよ(マキロイ)とのこと。
テーラーメイドが、アマチュアゴルファーに届けたかったのは本当はステルス2だった!?
「想像していたのは、SIMがSIM2になった時に寛容性が上がったりスピン量が増えたりという変化が起きていて、それと同じことをステルスからステルス2で行えばカーボンフェースの強さみたいなものを多くの人が享受できるようになるんじゃないかということ。蓋を開けるとその通りでした。前作はセンセーショナルにカーボンフェースを押し出す、という意味で拙速な部分があって、個人的には今作の方がゆっくり落ち着いて作る余裕があったんじゃないかと思います。
ステルス2を最初に見た時の印象は見た目が純粋にカッコいい。上から見た時のフォルムがとても良く、こだわっていたマット仕上げがツヤ出しになっているのもテーラーらしいところです(笑)。今作はヘッドに使用しているカーボンの容量が増えていますが、そういった細かい作り込みを見ても、テーラーメイドが本当にアマチュアに届けたかったのはステルス2だったのかなという気がします」
2代目カーボンウッドでは「プラス」にトライしたい気持ちになった
「僕が打った限り球は上がりやすくなっていました。上がりやすいけど上滑りする感じがなく、ちゃんとスピンを抑えて前に行く性能はステルス(カーボンフェース)のそれでした。なので、僕はステルス2ではプラスにトライしたい気持ちになりました。
僕は今、飛ぶけれど安定系のドライバーを好んで使っていますが、ステルス2のヘッドの個性や攻撃的な部分にはとても魅力を覚えます。もちろんステルス2 プラスというモデルの球の強さや飛びそうという雰囲気はプンプン感じます。ただ、それが前作と比べてマイルドになって扱いやすく、操縦しやすい雰囲気も感じたので、シャフトを組み合わせて乗りこなせるようになったら楽しいだろうなと思いました。
トータルで言うと前作も3機種ありましたが、3つの性能差がそれほど大きくなく、狭いレンジでの細かい振り分けでした。プロにはそれでも十分大きな違いだったと思いますが、アマチュアの方からすると明確な差は感じづらく、結果的に難しい印象をもたれたところがあります」
より強く、よりつかまりやすく。モデルごとの個性が明確な「ステルス2」
ステルス2 プラスの計測データの一例。「一発の飛び、安定感ともに個人的に好きなのはプラス」(石井)
「プラスはよりプラス(低スピン)らしく、HDはつかまるハイドローの性能が、より分かりやすくなったのを感じました。HDに関して言うと、ヒールの長さが大分短くなっています。いわゆるヘッドの重心距離を短くしたり、クラブを取り回ししやすくするメリットがある。こういった見えないところで性能を上げている作り込みの部分も、ステルス2では注目して欲しいところです。
また、やさしめのハイドローモデルは、あきらかにやさしいモデルだと分かってしまうデザインが多いですが、ステルス2 HDはトップ選手が使っているモデルと見た目がまったく一緒。
それなのに、“実はHD(やさしい)なんです”というデザインにするのがすごく上手ですね。アマチュアゴルファーの見栄というか、プロと同じようなものを使いたいという気持ちに応えてくれているところもすごいです。
ステルス2の計測データの一例。「これは、ちょっとスピンが多めに入ってしまいましたが、それでも飛んでいます。寛容性、高くなっていますよね」(石井)
選び方としては、ノーマル(ステルス)とプラスの2機種はプロモデルで、ハードヒッターや打球が右に行くことについてネガティブさを感じていない人のためのモデル。
右に行くのが嫌で球をつかまえたい人は、明らかにHDがオススメです。プラスはセレクトストアでの限定販売でしょうから、HDがつかまるモデルでノーマル(ステルス)はつかまりすぎないモデル。そういう位置付けであることをゴルファーは認識した方がいいでしょう。
モデル全体としてもすごく進化しています。もっと言えば先代はプロトタイプでステルス2が完成バージョンとして正常に進化しています。ただし、ステルスはあくまでステルス。ドラスティックに違うモデルに変わったのではなく、ステルスでやりたかったことをちゃんと仕上げてきた。
上もカーボン、下もカーボン、フェースもカーボンで、それによって生じた余剰重量をどこにもって行くかでヘッドのコンセプトを作っています」
ステルス2とステルス2 HDでアマチュアはほぼカバーされる
ステルス2 HDの計測データの一例。「上手く打てました。上がりやすさとつかまりはHD。アマチュアには、これが一番飛ぶんじゃないかな」(石井)
「一番性格がわかりやすいのはHDで、つかまり、上がるモデルで基本的にはこれが入口。これで多くの人が救われると思います。HDが重意図感じる人はステルスグローレというモデルがありますが、重量の入口をクリアできるならほぼHDでいいでしょう。
HDを使っていて左に飛ぶのが気になる、つかまることをポジティブに思えなければノーマルのステルス2。アマチュアゴルファーはほぼこれでカバーされると思います。さらにクラブを操りたい、高低のコントロールをしたいなど、ティショットを打つ時に真っすぐではなく自分で球筋をアレンジする人ならプラスを使う。芯を外した時の寛容性が若干上がっている、あるいは必要とされるヘッドスピード帯域が下がり、遅くても浮くようにはなって前作のプラスよりはやさしくなっている印象がありますが、決してみんなが使えるやさしさではなくパワーが必要です」
ヘッドのポテンシャルは高い。シャフトとのマッチングがカギ
「飛距離については前作がどう合わなかったか次第で変わります。ボールが浮かなかった人は飛ぶようになる。バッチリはまっている人はノーマルでは上がりすぎるのでプラスの方がいい、といった具合です。やさしくなることに対してのトレードオフは必ずあると思うので、ちょうどいいさじ加減を探さなければいけない。ちょうどいい初速なのか打ち出しの高さなのか。
オフセンターヒットなどに対しての寛容性は上がっていますが“スポーツカー”の領域での話。ヘッドスピードは30m/s台では厳しく、やはり40m/s台は超えていたい。もちろんこれはシャフト次第でもあります。ヘッドのポテンシャルは高いので、それをどうマッチングさせるかが鍵のクラブだと思います。
純正で用意されているシャフトはクセがなくて王道の守備範囲の広いモデル。前作のTENSEIは純正としてはすごく硬かったですが、今度のディアマナはそこまで硬くないので、これだったらいいなと個人的には思います。その意味でもハードルは下がっています」
フェースをカーボンに変えた時にプロゴルファーが拒絶反応を示したら立ち行かなくなるので前作のステルスは100%プロ向けに作っていると思います。ステルス2はツアープロのスイッチもスムーズに行っていそうなので、今度はもっと裾野を広げようという位置付け。逆に言うと、その意味で完成度がそこまでではなかったものが、練り上げてきた印象があります。アマチュア向けはステルス2からと言ってもよく、前作が厳しかった人は試すべきドライバーになっています」
テスター:石井良介
1981年生まれ。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導に定評がある。
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