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ゴルフ初心者はどのクラブで練習をスタートするのが常識?欧米ではパターから始めるのが王道なのはなぜ?

重箱の隅、つつかせていただきます|第33回

2023/04/27 ゴルフサプリ編集部

ゴルフクラブ

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.611/106ページより

初心者に持たせたいクラブとは何か?

「重箱の隅、つつかせていただきます」イラスト

4月といえば新入生や新社会人など、生活環境が変わり、新しいことを始める人が増える季節。ゴルフを教わろうという初心者に、声をかけられる先輩などもいるかもしれない。

さて、その場合どんなクラブを握らせるだろうか。まずは練習場に連れて行くとして、取りあえず自分のクラブを貸す、という前提。ひと昔前なら5番アイアンが定番だったが、今どきの5番は難しすぎるだろう。

クラブが進化した、やさしくなったといっても、最初に必要なのは「振りやすい長さと重さ」と「球を打ち上げやすい打面」だろう。

昔の5番はロフト角30度前後、長さは37・5インチ。経験則から、そこそこ振りやすく、普通に当たれば球が上がるスペックと認知されたのだろう。全番手の真ん中っぽさもある。これを今どきのクラブで考えると、7、8番アイアンになる。だから、まず初心者に打たせるのは7番からスタート、というのが常識的な考え方と言える。

だが、欧米のティーチング方式では、パターから始めるのが王道だったりする。40年も前に名伯楽のボブ・トスキが提唱した「タッチ・システム」というのがあるが、まずパッティング、次にアプローチ、フルショットはその後。

つまり「球を目標に向けて打つ」ことを知る、楽しむのがゴルフを覚えるうえで一番大切だから、という考え方だ。

ジュニアからゴルフを始める人が多い欧米らしさを感じるが、パターから始めてアプローチに移る、というのは大人でも正解だと思う。問題は、日本ではパターだけではすぐに飽きてしまう環境と、ゴルフはクラブを振り回して飛ばせることが、スポーツ感があって楽しい、という〝入口イメージ〟が強いことだろう。すぐにフルショットを練習したくなる気持ちを、あえて抑え込む必要はない

初心者に勧めるクラブは?

「重箱の隅、つつかせていただきます」イラスト

というわけで、私なら初練習場同行なら自分のクラブを貸し、ウェッジ、7番、ドライバーを打たせてみる。続けたい意欲が見えれば、中古ショップへ直行し、7番アイアンとウェッジ、パターを買わせる。

この3本なら初心者でも飽きずに練習できるし、ショートコースデビューも簡単だ。本コースデビューにはドライバーが打てる=全番手が打てるようにしたいが、その見極めは7番アイアンでできるはず。

7番もまともに打てないまま本コースデビューは止めたほうがいい
し、もしフライング的にラウンド機会が巡ってきても、ドライバーは打たないほうがいい。練習以上の結果は出ず、つらくなるだけだ。

さて、初心者用3本の見繕い方だが、初心者本人の希望は知るべきだ。見た目の好みなどは初心者でもある。

そのうえで私が気にするのは、まず高価ではないこと。上達に合わせて買い替えるまでのつなぎであり、使いつぶすつもりなので。7番アイアンを選んでいるのは、中古品でショップの試打用だったものが単品で安く出るから、というのもある。ウェッジも多少傷んでいると安い。

ただ、パターだけは長く使うかもしれないので、本人が気に入ったものを選ばせたいが、なるべくヘッドが重すぎないものを薦める。重すぎるヘッドは打ち方にクセがつきやすくなるからだ。

で、最後に手を加えるのがグリップ。最近は中古でもきれいなグリップに交換されて売られているが、太さや硬さ、バックラインの有無は要チェック。わずかな出費でかなり使い勝手が変わる。この3本からは買い足しではなく、フルセットに移行すればいい。本コースデビューが決まる頃、が目安だろう

戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。


重箱の隅、つつかせていただきます

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