「救済処置」の勘違いはどうして生じるのか?

1月からスタートした新ゴルフルールもう活用しただろうか。寒い時期のラウンドを敬遠している人だけでなく、ラウンド数を重ねているゴルファーでも、まだ実感が湧いていないかもしれない。

大きな変更点は「障がいを持つプレーヤーのためのゴルフ規則の修正」が新たに規則25となったことだが、一般ゴルファーにはあまり利用場面はないだろう。

ルール改訂で話題となるのは「救済処置」の変更点だが、今回注意を促したいのは次の3点。

「救済処置」の変更点1つ目

まず、ペナルティーエリアやアンプレヤブルなどの救済で、ホールと基点を結んだ後方線上にドロップする方法。

2019年改訂以前は「線上」にしかドロップできなかったが、改訂後は「線上の基点からホールに近づかない半径1クラブレングス以内のエリア」と、ドロップできる範囲が広げられた。ところが今回の改訂で、また「線上」のみに戻されたのだ。

で、新たに加わったのが有効な救済エリアの変更。「ドロップした球の着地点(基点)から1クラブレングスの円内」、つまりホール方向に転がってもOKということが明記された。ここで勘違いしやすいのは、旧ルールに従って「線上」以外にドロップしてしまうこと。やり直さなければ2罰打となる。

また、救済エリアの変更を他のラテラル処置と混同し、すべての場合で「1クラブの円内OK」と誤解し、元の球位置や赤杭ラインなどの基点よりもホールに近づいているのにインプレーとしてしまうのも、もちろんNGだ。

原則的に、元の球位置よりホールに近づける救済処置は、ない。だから「前進4打」はジェネラルルールでは認められないし、ドロップエリアを設ける場合も熟考を要するのだ。

「救済処置」の変更点2つ目

さて、2点目に移ろう。ドロップ、プレース、リプレース後に一旦止まった球が、自然の力で動いて他のエリア、OBに移動した場合、無罰でリプレースしなければならない、というもの。

以前はドロップ後の球が、風で動き出してOBや池に落ちてもあるがまま。改めて罰打を払い、救済するしかなかったが、その矛盾が改善されたわけだ。

この勘違いポイントは「他のエリアに移動」しないと、リプレースではないということ。2019年に分けられた5つのエリアのいずれかをまたがない場合は、あるがまま。うっかりリプレースしてプレーすると2罰打になる。

たとえば、カート道路から救済ドロップで斜面に止まった球が、風で動いて元のカート道路に戻ったとする。これはリプレースできない。カート道路は斜面と同じく、ジェネラルエリアだからだ。改めて、カート道路に止まった球の位置で、救済を受け直すのが正解となるのだ。

「救済処置」の変更点3つ目

最後の3点目は、乱暴に扱った結果でない限り、破損クラブが交換できるようになったこと。旧ルールでは使用の継続、修理は認められていたが、たとえばホーゼルの調整機構によるシャフト、ヘッド交換は修理とはみなされず、パーツが異なる別物への「交換」になるとして禁止されていた。

そこで、今回の改訂では折れたシャフト交換が可能になる…というのが勘違いポイント。交換の制限として「持ち運ばれている部品からの組み立ては禁止」されているからだ。

つまり、ハーフターンなどでロッカーや車に置いてある予備のシャフトをクラブハウスで差し替える交換行為自体は可能だが、コース上ではできない。予備のシャフトをバッグで運んでも、使えないのだ。

このように「救済処置」の勘違いは、具体例を思いつけないと生じやすい。オフィシャルガイド、裁定集が必要になる所以だ。

戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。


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