世界ランクNo.1のジョンラームがクロムソフトを選ぶ理由は?
新・マスターズ王者のジョン・ラームは契約当初からキャロウェイのボールを絶賛していた。
撮影/田辺安啓
2023年のマスターズを制したジョン・ラーム。マスターズでは14本のクラブすべてがキャロウェイのクラブであり、ボールはもちろん「クロムソフト X」だった。
テスト段階からその性能に驚きを隠せなかった
ラームがキャロウェイゴルフと契約したのは2021年1月。キャロウェイと言えば当時からAIテクノロジーを使ったドライバーのボールスピードや「APEX」「Xシリーズ」のアイアン、そして世界中のツアーで使用率No.1を誇る「オデッセイ」のパターが高く評価されていた。
しかし、ラームがキャロウェイゴルフと契約したときに最も驚いていたのはボールの性能だった。
契約当時のラームは、次のように語っていた。
「チームキャロウェイに加われて、とても興奮しています。次のトーナメントが待ちきれません。新しいクラブセッティングには自信を持っていますし、特にゴルフボールはテスト段階から本当に素晴らしいと思わせてくれました」
ラームはそのボールを使って、21年の「全米オープン」でメジャー初優勝を飾ると、22年は欧州ツアー(DPワールドツアー)最終戦などで優勝。
23年は年明けからPGAツアーで5戦3勝と無敵の強さを見せて、その勢いのまま「マスターズ」を制することになった。
実はキャロウェイではラームと契約する約5年前からボール開発の新プロジェクトを進めていた。キャロウェイのボール工場は、米国のマサチューセッツ州・チコピーにあるが、新プロジェクトでは約55億円を投資して工場の設備を抜本的に入れ替えて世界最先端の機材を導入。
私は2020年に現地を訪れて取材しているが、その際にボールの工場長に話を聞くと、
「最も資金をかけたのがボールのコアを配合する大型のミキシングマシーンです。この機械は世界中を探し回って見つけたもの。ゴム素材の配合する量、時間、温度管理を完全にデジタル化することができるようになったことで、ルール上限となるギリギリの精度まで設計通りのボールを生産できるようになりました」
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また、ラームなどツアー選手の多くが使う「クロムソフトX」は限界までウレタンカバーを薄くするために工場内の一角にある専用施設で生産されていた。
巨額の金額を投じたのは生産体制だけではなく、検査面でも世界最高峰の設備を揃えた。工場長は管理体制にも自信を持っていた。
「新しく導入したのは3次元のX線検査によって、ボールの内部をチェックする機械です。他社でも2次元のX線検査はやっていると思いますが、3次元は世界でキャロウェイだけだと思います。この機会によって、ボールの中心からコアが0.2mmもズレないレベルでボールを検査することが可能になりました」
キャロウェイと契約した当初のジョン・ラームはパフォーマンスだけでなく、品質管理、生産誤差でも世界最高レベルになっていた「クロムソフトX」に驚いていたのかもしれない。
「クロムソフト」のラインアップは3つ
「クロムソフト」では「クロムソフト」「クロムソフトX」「クロムソフトX LS」という3タイプをラインアップしている。
クロムソフトX
ジョン・ラームやザンダー・シャウフェレ、さらに石川遼や上田桃子が使っているのが「クロムソフトX」。4ピース構造のボールでショットでは風に負けない強い弾道が打つことができ、グリーン周りでは高いスピン性能を発揮してくれる。タイプとしてはショットの打点がある程度安定していて、ヘッドスピード42m/s以上のゴルファーにオススメのボールである。
クロムソフトX LS
同じく4ピースの「クロムソフトX LS」もツアー仕様のボールで、“LS”という名前の通り「クロムソフトX」よりショット時におけるスピン量が抑えられているので、パワーヒッターが打っても中弾道で吹け上がることがない。また、サイドスピンも抑えられるので、打点がズレたときの曲がり幅が軽減できる。
クロムソフト
そして「クロムソフト」は他の2つに比べても圧倒的に打感がソフト。ヘッドスピード40m/s未満のゴルファーでも飛距離を出せることができて、直進性も高い。中間層が1層の3ピース構造になっている点が「クロムソフトX」「クロムソフトX LS」との違いでもある。打点のバラツキに強いため、3つの中では最もアベレージゴルファー向けのボールと言えるだろう。
ゴルフボールは、すべてのショットに影響する唯一のギア。ジョン・ラームが今年のマスターズでフェアウェイを正確に捉えた1球も、バーディパットを沈めた1球も、4日間に記録した276打(12アンダー)はすべて「クロムソフト X」によるもの。もし、マスターズ王者のギアに興味を持ったら、まずはボールから試してみてはいかがだろうか。
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