ウッドの愛称は未来永劫?ドライバー、スプーン…相性の良いクラブと出逢えれば、愛称がより愛おしくなる!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第70回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
そもそもウッドではないけれど、ウッドの愛称が愛される理由!
「木の5番と、鉄の4番を持ってきて」ひと昔前までは、ゴルフコースでこんなセリフをよく耳にしたものです。キャディバッグの中にはウッドとアイアンとパターしかありませんでしたから、単純だったのです。
現在はユーティリティを入れるのが普通になって、ウェッジもPWとSW以外のクラブが入っているのが当たり前になりました。例えば5番は、ウッドもアイアンもユーティリティも入っているケースがあり得ます。
ウッドは、3番ウッドのように番手で呼んでも十分に通じますが、同じ番手の別のクラブがある場合は、聞き間違いや言い間違いが出やすいのも事実です。アイアンは番手を数字で呼び、ウッドは愛称で呼べば間違いが起きにくい、と考えたゴルファーが徐々に増えながら、令和の時代になりました。
昭和の時代までは、ウッドのヘッドは木製だったので、ウッドは本当にウッドでした。1980年代の後半から一気にヘッドのメタル化が進んで、当初はメタルの3番とか、違う名称を使う試みもあったのですが、結局ウッドは区分としてそのまま使われています。
そもそも、ゴルフクラブはウッドのクラブが初めに作られて広まっていきました。遠くにボールを"drive=運ぶ"ことができる『ドライバー』は、最も広く使用されている愛称です。
そして、ドライバーはほぼ全てのゴルファーが持っているクラブです。昭和の時代のキザなゴルファーでさえ、木の1番とは言わずにドライバーだけは、ドライバーだったのです。
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ブラッシー
現在ではほぼ見ることがない2番は、ブラッシーという愛称です。職人がクラブを作っていた時代の初期は、ソールが使用により摩耗で削れてしまうので、ソールに象牙をはめたりして、耐久性を上げる工夫をしていました。しかしあるとき、それを真鍮の板で代用したのです。
そのクラブは結果として低重心になり、象牙より耐久性も上でした。ボールが上がるし飛ぶし、コスパもいいということで、真鍮ソールは一気に広まりました。真鍮=Brassで、ブラッシーという愛称になったのです。
3番ウッドのスプーン
職人がクラブを作っていた時代、3番ウッドに相当するウッドクラブはフェースを凹面にしていたことが愛称の語源です。これにより、フェース下部のロフトが増えてボールを上げやすくなり、打ちやすくなったからです(現在は規則で凹面は禁止)。
この凹面フェースが、食器のスプーンに似ていたからスプーンと呼ばれました。
バッフィー
4番はバッフィーと呼びます、という紹介をするのが普通なのですが、この愛称は日本独自です。欧米ではスプーンより下の番手の愛称は曖昧で、5番ウッドの愛称がバッフィーだと紹介する文献が多いのです(4番ウッドはその中間だから、スプーンバフィーという説もあります)。
バフィーの語源は諸説あって、スコットランド語で地面を打つという意味の「baff」が転じたという説と、擦るという意味の英語の「buff」が転じたという説が有名です。
「いやいや、5番ウッドはクリークですよ」という声も聞こえますが、クリークは欧米ではロングアイアンの愛称です。クリークが5番ウッドだと誤用されたのは、1938年にウイルソン社が5番ウッド相当の商品名を「ファイブクリーク」として販売し、大ヒットしたことが原因だとされています。舶来の大メーカーが名称に使用しているのだから、5番=クリークで間違いない、と広まったのです。
ちなみにクリークは、鍵をかけるときに出る音の「click」が語源です。金属音なのでやはりロングアイアンですね。
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