短パン+ハイソックスが一般的になった理由

前回の記事で、女性目線を意識しないと男性の短パンは危険がありますよ、という提案をしました。

今回は、そういうことをクリアできた、という前提で男性の”短パンゴルフ”を考えてみます。
2023年6月。2つのニュースが目に留まりました。

(1)ツツガムシにさされて死亡者が出たというもの。
(2)マダニから致死率3割という、謎の感染症が広がるというもの。

どちらもダニの一種が媒介する感染症で、草刈り中や林の中を散策していた際に噛まれて感染したという内容でした。

他人事のように感じるかもしれませんが、感染すると死亡例があるダニは、全国に広がっています。ゴルフコースのラフや藪、林の中などに、感染症を持っているダニがいないと考えるのは都合が良すぎるというものです。

「殺虫剤で処理しているので、ゴルフコースは安全です」というのは、もはや都市伝説です。簡単に害虫を処理できれば虫刺されのトラブルは起きないはずですが、ゴルフコースにはたくさんの昆虫がいて、実際にゴルファーは虫に刺されています。

日本独特の、短パンにはハイソックスというドレスコードは、ダニ対策としては有効です。

そもそもは第二次世界大戦中、オーストラリアの収容所にいた日本兵の捕虜が、短パンにハイソックスという姿でゴルフをするイギリス兵を見て、これが本場のスタイルなのだと勘違いしたのが始まりだといわれています。そして帰国後に広めたのが、独自のドレスコードになったというのが有力な説です。

現在もオーストラリアの同じのエリアにあるゴルフコースでは、ラフに危険なダニがいるため、剥き出しの足でのプレーはNGなのです。

短パンのメリットとデメリットを考える!

昭和の頃は夏休みの期間中、最高気温が30℃を超える日は数えるほどでした。無邪気な小学生でしたので、30℃を超えるとガッツポーズをして喜んだものです。40年以上の年月が流れ、温暖化なのか、地球規模の異常気象なのか、夏休みは連日30℃超えは当たり前、体温を超えるような気温の日にも驚かなくなりつつあります。

つまり、夏は確実に昔よりも暑くなっているのです。だから、熱中症対策のためにも夏ゴルフは短パンで、と考えるのは普通でしょう。短パンは、長ズボンより涼しいのは間違いありません。最大のメリットです。男性ゴルファーの中には、夏ゴルフ=短パンという人もたくさんいる時代になっています。

一方、短パンを履かない男性ゴルファーもいます。好き嫌いもありますが、経験したうえでやめてしまった人もいるのです。

デメリットの例

(1)日焼けに弱い人は、露出する足全体に日焼け止めを塗る必要があります。
それを面倒臭がったために、両足が軽い火傷のような状態になった経験がある人は少なくありません。

(2)ダニのみならず、虫刺されもデメリットのひとつです。
虫除け剤の塗り方が不十分だったりすると、蚊、アブ、ブユ(ブヨ)などに刺されてしまう場合があります。特にゴルフ場によくいる種類のアブは、膝から下を好む傾向があるので厄介です。

アブは肌を食い破るので、鋭い痛みや出血があります。血はなかなか止まらず腫れたりもするので、それでゴルフが嫌になってしまう人もいるようです。

(3)最後は、疲労です。
日焼けは身体に負荷をかけ、疲労として蓄積されます。短パンで日焼けすると、露出面積が広いだけにバカにできません。「今日は涼しかったのに、変に疲れた」という症状になります。

もちろんこれらは男性のみならず女性ゴルファーにも言えることですが、いずれもちゃんと準備をすれば予防も対処もできます。
短パンで夏ゴルフを楽にしたいのであれば、デメリットはしっかりした準備と工夫でクリアするのが正解です。

どうしてプロは短パンを履かないの?

男性プロゴルファーが短パンを履かないのは、ツアーの服装規定で禁止されているのが理由です。練習日など規則で許されているときは、短パンでプレーする姿を見ることができます。

ただ、短パンだと目に入ってくる足元の情報に違和感があって、ショートゲームのアドレスが微妙に狂うから履かない、というプロゴルファーも存在します。

プロがシューズのモデルが変わってもカラーを替えないのは、ショートゲームでのアドレスの違和感をなくすためだというのは、いくつかの実験で証明されています。シューズのカラーが影響するぐらいですから、短パンも足元の情報として影響するケースもあるはずです。

つまり、短パンは涼しいけれど、ショートゲームでイマイチ調子が悪いというゴルファーがいても不思議ではないのです。どちらのメリットとデメリットを選ぶのかは、ゴルファー次第です。

本当に怖いのは、短パンで絶好調になってしまうことのような気がします。想像してみてください。真冬でもショートゲームのために短パンで耐えているゴルファーは健気かもしれませんが、滑稽を越えて軽いホラーです。ゴルフは謎多きゲームなのだと、男性用の短パンは語っているのです。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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