ゴルフと熱中症2|呼吸筋を鍛えることで酷暑を乗り切るための最強の暑熱順化を行う!
生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第17回
「戻り梅雨」で一息ついた猛暑が下旬から再来すると予想されています。雨の心配が少なくなりホッとする一方、熱中症の危険がさらに高まります。特に、少し気温が低くなったのに慣れていた体に炎天下でのゴルフは大きな負担です。改めて熱中症に最大の警戒と予防をしましょう。
呼吸筋を鍛えることで酷暑を乗り切るための最強の暑熱順化を行う!
ゴルフの予定に合わせて暑熱順化を取り入れる
暑さによって体温が上がると、脳や神経に熱によるダメージが及んでしまいます。熱中症で最もこわいのはこの点なのですが、それを防ぐには自律神経がオーバーワークにならないよう負担を減らして体温調整を行える状態に整えておくことが大切です。
そこで前回は、ラウンド中に首筋と手のひらを冷やすことの有効性、ゴルフ当日の水分・塩分補給の大切さ、また冷却グッズなどを利用することも熱中症の予防につながることなどを学びました。
それらが熱中症の予防に直結するのはもちろんなのですが、本来はゴルフ当日を迎える前、できればラウンドの2週間くらい前から「暑熱順化」を取り入れることが重要なのです。今回は、暑さに体を慣らす「暑熱順化」の有効性と、炎天下でのラウンドでも体温調整をしっかり行なうためのコンディションについて考えていきましょう。
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数日から2週間かけて体を暑さに慣らせよう
アドバイスしてくださるのは、トップアスリートが実行する最先端のコンディショニングに詳しい医学博士の末武信宏氏です。日常生活を通して暑さに体を慣らすことで、夏場18ホールを回れる体をしっかり作っていきましょう。
「暑熱順化というのは、読んで字のごとく暑い環境に徐々に体を慣らしていくことです。慣れるまでに数日から2週間かかり、またやめると元に戻ってしまいます。アマチュアゴルファーの場合は、プレー日程がわかれば2週間前から始めるのが理想ですが、もし1週間前を切っていても数日でも行なうと当日の負担がかなり軽くなります」。
軽い運動やぬるめの湯船につかるのもオススメ
どんなことをするのがベターかというと、一般的には、30分程度のウォーキング、サイクリング、ストレッチなどの軽い運動をする。また屋外に出る時間がとれない方には2日に1回程度ぬるめの湯船にゆっくり浸かって汗をかくのも暑熱順化のひとつといわれています。
酸素を多く取り込めるようになる末武流ストレッチ
そこで末武先生に、アマチュアゴルファーにも取り入れやすく、効果のあるストレッチを教えていただきました。
「熱中症を予防し、ゴルフで高いパフォーマンスを発揮するには、自律神経を整えて機能アップを図ることが何より大切です。そのために実行していただきたいのは、1ゆっくりした呼吸法をマスターして心拍を活性化する2呼吸筋を鍛えて酸素を多く取り込む3胸郭拡大ストレッチを行ない深い呼吸をすることです。1〜3はすべて呼吸時の換気量を増やす運動ですから肺に酸素を多く取り込むことにつながり、ひいては脳や血液への酸素供給が増えて、熱中症を防ぐことができるのです。ぜひ取り入れてみてください」。
末武先生は、1〜3の要素を盛り込んだ5つのオリジナルストレッチを、ゴルフサプリ読者の皆さんに公開してくださいました。ぜひ一緒に体を動かしてみましょう。
(A)全身伸ばし
1)足を肩幅くらいに広げて立ちます。手首を頭の上で交差して、かかとは上げないように大きく息を吸って体を上に伸ばします
2)次に、息を大きく吐きながら体をゆっくり左に倒しましょう。顔が床に向くと腰が斜めに倒れますので、そうならないよう顔を正面に向けたまま腰を伸ばして倒します
3)ゆっくり戻し、反対側にも、同じように上体を倒します
(B)片足立ち足首揺らし
1)片足立ちで足首をつかみます。まず右手を腰に当て、背筋を伸ばして右足で立ちましょう。左手はお尻の位置で、左足首をつかみます。ふらつくようなら壁に右手をついて支えても大丈夫です。
2)足首をつかんだまま、足先をぶらぶらさせます。かかとをお尻に近づけること、足の甲ではなく足首をつかむこと、胸を張って行なうことがポイントです
3)左右の足を替えて、同様に足先をぶらぶらさせましょう
(C)腕のぐるぐる回し
1)足を肩幅くらいに広げて立ちます。背中を丸めて両腕の前腕を合わせます。ヒジから手の甲同士まで合わせましょう。肩甲骨が左右に開きます
2)ヒジを曲げたまま、手のひらをぐるりと外へ向けながら、両腕を左右に広げます。胸を開き、肩甲骨は中央に寄ります
3)両ヒジを肩の高さから重力に任せて落とします。力を抜き、リズミカルにヒジを5回上げ下げします
(D)肋骨周りのストレッチ
1)足を肩幅くらいに広げて立ちます。胸の下の左右の肋骨のあたりを両手でつかみ、やや上体を反らして鼻から息を吸います
2)肋骨あたりをつかんだまま少し前かがみになり、口からゆっくりと息をはききります
3)1と2を10回繰り返しましょう。肋骨周りの筋肉がほぐれます
(E)両ヒザ倒し
1仰向けに寝て、両足をつけてヒザを立てます。腕は真横に広げ、手のひらを上に向けます
2息を吐きながらゆっくりとヒザを右に倒し、息を吸いながらヒザを戻します。手のひらは、ヒザを倒すのと同時に下に向け、戻すのと同時に上に向けます。背中が浮かないように注意しましょう
3今度は、息を吐きながらゆっくりとヒザを左に倒し、息を吸いながらヒザを戻します。手のひらも、右にヒザを倒した時と同じように呼吸と連動させます
分けて行なってでも継続することが大切
「A〜Eまでを毎日行なうのが理想的ですが、時間をかけて行なって三日坊主で終わるよりは、分けて行なっても構いません。CとDはリモートワークやデスクワークの合間に行ないやすく、Eは寝る前のルーティーンにしやすいストレッチです。また、AとBは1日に何回でも、ちょっとした時間に行ないましょう。ラウンド前やラウンド中に行なっても大きな効果があります。ゴルフ前日まで行なうことで習慣し、できるだけ長期間継続させましょう」。
屋外に出て毎日30分ウォーキングするのはなかなか続きそうにありませんが、末武先生が教えてくれた5つのストレッチなら楽しく取り組んで暑熱順化ができそうです。
ストレッチをはじめて数日から数週間経つと、自律神経が活性化して汗をかきやすく、体温調整がスムーズにできやすくなります。とはいえ屋外は猛暑ですから、十分な水分補給をすること、決して無理をしないことが重要です。
この夏は油断をせず、ラウンド時は万全の対策をしてのぞみましょう。
【熱中症のまとめ】
(1)暑熱順化の目的
暑い環境に徐々に体を慣らすことで熱中症になりにくくする
(2)暑熱順化の方法
ウォーキング、サイクリング、ストレッチなど軽い運動
2日に1回程度ぬるめの湯船に浸かって汗をかく
(3)注意点
無理のない範囲で行なう
水分を十分にとる
暑い時は我慢せずエアコンを利用する
(3)末武流ストレッチ
・ゴルフのラウンド前、ラウンド中に有効
A全身伸ばし
B片足立ち足首揺らし
・デスクワークの合間に取り入れると有効
C腕のぐるぐる回し
D肋骨周りのストレッチ
・寝る前のルーティーンにしたい
E両ヒザ倒し
※A〜Eを毎日行なっても、分けて行なってもOK
できるだけ長く続けることで効果はより大きくなる
取材・文/野上雅子
・健康指導/医学博士 末武信宏氏(さかえクリニック院長、先端医科学ウエルネスアカデミー副代表理事、順天堂大学医学部非常勤講師、トップアスリート株式会社代表取締役)
日本美容外科学会認定専門医。アンチエイジング診療を行なうかたわら順天堂大学医学部でスポーツ医学の研究に従事。五輪選手をはじめ、さまざまな競技選手への治療およびトレーニング、コンディショニング指導で実績を積み、トップアスリートらから厚い信頼を得ている。テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。著書も多く、先の6月21日には、監修をつとめる『スポーツのパフォーマンスを最強にする超肺活』(カンゼン)が出版された。
http://n-suetake.com
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