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初心者向けアプローチショットの基本的な打ち方

人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説!

2021/09/17 ゴルフサプリ編集部

大西翔太コーチ

アプローチショットのような小さいスイングならボールに当てやすいと思いがちだが、これがなかなか難しいもの。「アプローチのスイングにはゴルフの基本が詰まっているんです。この基本を先にマスターしておけばドライバーやアイアンも必ずうまくなりますよ」と大西翔太コーチ。初心者向けのアプローチの基本的な打ち方をしっかり学習して上達に役立てよう。

初心者向けアプローチショットの基本的な打ち方

初心者向けアプローチショットの基本とは

最初にアプローチショットの基本から説明しましょう。どんなショットでもそうですが、アプローチのような振り幅の小さいスイングほど再現性や反復性が求められます。つまり、クラブを何回振っても同じ軌道で振れて、同じ打点でインパクトできるようなスイングです。それを実現するのはとても難しいことですが、複雑な動きをできるだけ省いてシンプルなスイングを目指せばアプローチショットの基本が早く身につきます。

まず両足を軽くそろえるくらいに狭いスタンスで立ち、体重を左右均等に乗せてボールをカラダの中心線の前にセットします。右ツマ先は真正面に向けますが、左ツマ先は軽く開きましょう。これはインパクト以降の腰の回転を促して、フォロースルーをスムーズに出すためです。両手をグリップする位置もカラダの中心線の前。真正面から見ればクラブのシャフトが地面に対してほぼ垂直となる体勢となります。両腕とシャフトが大文字のYに見えるようなアドレスです。

そしてお腹を引き締め、骨盤を前傾させて、両ヒザを軽く曲げます。背中からお尻にかけてのラインがほぼ真っすぐとなるように構えるのが理想のアドレスです。ボールとカラダの間隔は、お腹とグリップエンドの間に握りコブシが1つ半から2つ入るくらいのスペースを作るのが目安です。

スタンス
両足をそろえるくらいにスタンスを狭くし、ボールをカラダの中心線の前にセット。両腕をシャフトが大文字のY字に見えるように構える。
両ツマ先
両ツマ先を真っすぐ向けてから、左ツマ先を軽く開こう。
構え方
骨盤を前傾させて両ヒザを軽く曲げる。お腹を引き締め、背中からお尻のラインがほぼ真っすぐとなるように構えよう。
グリップエンドとお腹の距離感
ボールとカラダの適切な間隔は、グリップエンドとお腹の間に握りコブシが1つ半〜2つ入るくらいだ。

アドレスで注意したいのはクラブのソールを芝に均等につけて、ロフト角どおりに構えること。前傾角度が深くて手元が引くすぎるハンドダウンの構えでは、クラブヘッドのトゥ(先側)が浮いてフェースがかぶって目標の左を向きます。前傾角度が浅くて手元が高すぎるハンドアップの構えになると、クラブヘッドのヒール(ネック側)が浮いてフェースが開いて目標の右を向いてしまいます。また両手が右モモの前のハンドレートの構えはクラブフェースが寝てしまいますし、両手を目標側に突き出しすぎた極端なハンドファーストの構えではフェースが立ちすぎてしまうことになります。

クラブヘッドのソール
クラブヘッドのソールの全体を芝に均等につけて構えることが大切だ。
クラブヘッドのトゥ側が浮いてしまう
前傾角度が深すぎるとクラブヘッドのトゥ側が浮いてしまう。
前傾角度が浅すぎて手元が高いとクラブヘッドのネック側が浮く
前傾角度が浅すぎて手元が高いとクラブヘッドのネック側が浮く。
ハンドレートに構えるとクラブフェースが寝てしまう
ハンドレートに構えるとクラブフェースが寝てしまう。
極端なハンドファーストではクラブフェースが立ちすぎる
極端なハンドファーストではクラブフェースが立ちすぎる。

アプローチに使うクラブは何がいいかというと、サンドウェッジが断然オススメです。ピッチングウェッジやアプローチウェッジでも構いませんし、初心者のうちはサンドウェッジは難しすぎると思う人も多いことでしょう。でもサンドウェッジのソールの出っ張った部分をバウンスというのですが、このバウンスを使って打つコツを最初につかんでおけばアプローチショットの基本が早く身につきますし、アプローチのバリエーションを広げることができます。さらに多くのゴルファーが苦手意識を持っているバンカーショットだってすぐにうまくなります。

ロフト角56〜58度のサンドウェッジ
アプローチに使うクラブはロフト角56〜58度のサンドウェッジが絶対にオススメ。バウンスを使って打つ感覚を早く身につけよう。

初心者向けアプローチショットの打ち方

バウンスを使って打つのは難しいと思われがちですが、案外そうでもありません。バウンスがうまく使えないとしたら、アドレスが一番の原因です。前述したようにハンドダウンやハンドアップの構えや、ハンドレートや極端なハンドファーストな構えではバウンスが使えません。それ以前にバランスがとれていないアドレスでは、スイング中に腕や手が余分な動きをしやすく、スイングの再現性や反復性がなくなってインパクトの打点が安定しないのです。真正面からシャフトが地面と垂直に見えるような体勢を作り、ボールとカラダの適切な間隔を保ってソールの全体を芝につけて構えることが大前提なのです。

アドレスが決まれば、あとは構えたときのグリップエンドとお腹の間隔をキープしてスイングするだけでOK。手先だけでクラブを振り上げたり、インパクトで手首をコネたりしてはいけません。腕や手に頼らずに、お腹の回転主体でスイングすることが重要なポイントです。腕やクラブをカラダの真正面にセットしたままで、お腹を右に回してテークバック。そして、お腹を元に戻してインパクトし、お腹を左に向けてフォロースルーへと振り抜きましょう。このようにアドレスのグリップエンドとお腹の間隔をキープしてスイングすればスイングがとてもシンプルになりますし、バウンスが自然に使えるようになります。

グリップエンドとお腹の間隔
アプローチの基本の打ち方で重要なのは、構えたときのグリップエンドとお腹の間隔をキープして、お腹の回転でスイングすること。

スイングの振り幅としては、テークバックもフォロースルーもクラブが水平の高さが目安と考えてください。時計盤でいえば9時くらいの高さまで上げて、3時くらいの高さまで振り抜くイメージですが、それよりもやや大きい10時から2時の振り幅となっても構いません。とにかくグリップエンドとお腹の間隔を変えずに、お腹の回転でスイングすることを第一に考えてください。テークバックでワキが大きく開いたり、インパクトで腕をネジったり、下半身が止まって手打ちになったりするのはNGです。

テークバック
腕や手をカラダの真正面にキープし、お腹を右に回してテークバック。時計盤の9時くらいの高さを目安にしてクラブを上げよう。
お腹を元に戻してインパクト。構えたときのグリップエンドとお腹の間隔が変わらなければクラブヘッドが正しい位置に戻る。
フォロースルー
お腹を左に回してフォロースルーへと導く。テークバックと左右対称形の9時の高さへと振り抜こう。
テークバック
テークバックでワキがあくとグリップエンドとお腹の間隔が変わってしまう。
フォロースルー
フォロースルーまでグリップエンドとお腹の間隔をしっかりキープしよう。
フォロースルー
フォロースルーで左ワキがあいてしまう人が多いので注意。
フォロースルー
フォロースルーで腕をネジったり(左)下半身が止まったまま振り抜いたり(右)するのもNG。

アプローチのスイングがしっかりしている人は、スイング全体がしっかりしています。3時から9時までの小さいスイングの練習は、安定したインパクトゾーンを作る上でとても有効です。このスイングの軌道が安定すれば、インパクトの打点の正確性もアップしてアプローチがどんどん上達します。フルショットでも球が曲がりにくくなりますから、プレッシャーに強いスイングを実践できるわけです。初心者の方こそ、アプローチショットの基本的な打ち方の練習を多く積んでください。

初心者向けアプローチショットのドリル

初心者向けアプローチショットの基本的な打ち方を早くマスターできるオススメの練習法を2つ紹介しましょう。一つ目はグリップエンドがお腹につくまでクラブを短く持って構え、9時から3時までの振り幅で素振りを繰り返す練習です。大事なポイントは腕や手を一切使わず、グリップエンドがお腹から離れないようにスイングすること。スイング中にワキがあいたり、腕をネジったり、手首をコネたりするとグリップエンドがお腹から離れてしまいます。

初心者向けアプローチショットのドリル
グリップエンドがお腹につくまでクラブを短く持ち、アドレスの姿勢を作ろう。
初心者向けアプローチショットのドリル
グリップエンドをお腹につけたまま9時くらいの高さまでテークバック。腕や手を使わないのがポイント。
初心者向けアプローチショットのドリル
3時くらいの高さまでフォロースルー。腕や手を使わず、お腹の回転主体でスイングする感じがつかめる。

もう1つは地面の上にスポーツタオルを敷いて、素振りする練習です。タオルの上にボールを置いて実際に打っても構いません。9時から3時までの振り幅よりももう少し小さい8時から4時までの振り幅で、バウンスをタオルの上で軽く滑らせてスイングしましょう。タオルを空港の滑走路にたとえれば飛行機の着陸のイメージでクラブヘッドを鈍角に入れて、バウンスを軽く滑らせた後は飛行機の離陸のイメージでクラブヘッドを鈍角に振り抜きます。上から打ち込んだり、下からすくったりするとタオルが大きくめくれてしまいます。タオルが少し飛んでも、ひどくめくれなければ合格です。

初心者向けアプローチショットのドリル
地面の上にタオルを敷き、小さいスイングで素振りしよう。
初心者向けアプローチショットのドリル
クラブヘッドを鈍角に入れて、タオルの上でバウンスを軽く滑らせる。
初心者向けアプローチショットのドリル
フォロースルーも鈍角に振り抜く。タオルがあまりめくれなければOK。
初心者向けアプローチショットのドリル
クラブヘッドを鋭角に入れたり、下からすくったりするタオルが大きくめくれてしまう。

〈初心者向けアプローチショットの基本的な打ち方のまとめ〉

・狭いスタンスで立ち、両腕とクラブが大文字のY字に見える体勢で構える
・サンドウェッジを使ってバウンスを使って打つコツを先に覚えよう
・グリップエンドとお腹の間隔をキープし、お腹の回転主体でスイング
・9時から3時までの振り幅で、安定した軌道をマスターする

初心者はシンプルなアプローチからマスターしよう。

Y字のアドレスを作り、お腹の回転主体で9時〜3時の振り幅でスイング。

※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。

取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/静ヒルズカントリークラブ


大西翔太

大西翔太
大西・翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。21年は宮里藍 サントリーレディスオープンで、青木の4年振りツアー2勝目に貢献した。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。



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