ミスは道具のせいだった!? スイングはクラブに支配されている【ダグ三瓶・クラブ選びの超知識(2)】
ゴルフクラブは制御できないから正しい選び方を身につけよう!
切り返しから起こるこのしなりが今回のポイント(写真は2024年アーノルド・パーマー招待 撮影/GettyImages)
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスを贈る新連載。ゴルフクラブを買う際に必要な「正しい知識」を教えてくれる!2回目はスイングとクラブの関係。
振られている?それとも振る?
そもそもゴルフクラブって、皆さんは、振っていると思いますか?それとも、ゴルフクラブに振らされていると思いますか? 禅問答みたいな質問ですみません。
ゴルフクラブは、例えばドライバーですと、総重量は今や300g弱が当たり前になっています。生活で手にする物で例えるなら、これは小さい缶コーヒーくらいの重さです。この重量の数字だけを聞くと、そんな軽いものに、振られるということは想像し難いかもしれません。
ですが、このゴルフクラブ(ドライバーの場合)というものの構造は、1mちょっとの棒の先に200gのおもりを付けたものになるわけですが、これを動かすには、300gのものを単純に持ち上げるよりも、何十倍も力が必要なことは容易に想像できる方もいらっしゃると思います。
その上、その棒状の部分(シャフト)は、スイング中にまずまず変形し(しなり)ます。
このしなる棒を振って、1m先の200gのもの(ヘッド)を、時速140km以上のスピードを出して、直径4cmのボールに当てるというのが、ゴルフスイングなのです。
そう考えると、まあまあ、みなさん、すごいことをやってのけているんですよ!
でも、そのすごいことをもう少し細かく紐解いてみましょう。
まず、バックスイングを上げる際は、ゴルフクラブは地面に置いてありますので、止まっています。止まっているものを動かしますので、クラブ全体の重さを感じることでしょう。
ですが、物体は、一度動き出すと慣性というものがあるので、始動してしまえば、そのあと力はそこまで必要はなく、勢いで自動で上がっていきます。
次に、ゴルフスイングはバックスイングが終わると、今度はまるっきり逆方向にクラブを動かさなくてはいけません。これが「切り返し」です。逆方向に動かす必要があるので、止まっているものを動かすときよりもさらに力が必要です。
そして、その後はダウンスイングとなります。
実は、このときに、シャフトはかなり変形します。行って帰っての方向で完全に逆方向に力が加わりますから、ここで一気にシャフトは変形します(しなります)。
この変形(しなり)がやっかいで、これによってヘッドがアドレスのときと同じ方向に戻ってくることが難しくなります。
そうなったときに、人間はどうするかというと、インパクトに向かって、きちんと戻ってくるように操作しようとするんですね。
これを一般的には、「タイミングを合わせる」と言ったりします。
つまり、ゴルフクラブはスイングすることによって、自然発生的にシャフトが変形し(しなり)、長さの影響で先端にあるヘッドにスピードが発生し、その衝突エネルギーでボールが飛んでいくということです。
しなることによって、当たるところや方向性に影響しますから、それをコントロールしなければならないということなんですね。
そのコントロールしなければならない理由が、「ヘッドという重りが先端についているから」、「シャフトが変形する」、ということをまず理解してください。
その先端についている物体(ヘッド)の大きさだったり、重さだったりで、そのコントロールしなければならない量は変わります。
また、シャフトもどのようにしなる(変形する)かによって、その戻すタイミングが変わってきます。
ミスショットの原因は、ざっくり言えば、このタイミングが合わないこと、だと思っていただければ良いと思います。
つまり、ゴルフスイングって、乱暴に言ってしまえば、ゴルフクラブをタイミングよく振ることだと思っていただいてもいいかなって思っています。
ゴルフクラブによってスイングは変わる
さて、ここまでご説明して、ゴルフクラブをご自身でコントロールしきっている、と言い切れる方は少なくなってきたのではないでしょうか?
そうなんです。実はゴルフクラブは振りたいように振っているように見えて、実はかなりの部分、ゴルフクラブによってその動きは制限されているんですね。
ゴルフクラブの動きに合わせるように、タイミングを取るために、体をコントロールしているのが、ゴルフスイングと考えてもらってもいいでしょう。
つまりは、ゴルフクラブによってスイングは変わってしまう、ということが言いたいわけなんです!
ゴルフクラブを制御するのがゴルフスイング。そして、タイミングを取るのがゴルフスイングですから、その制御対象である、ゴルフクラブが変わってしまえば、タイミングは変わりますし、ゴルフスイングは変わってしまいます。
もし、タイミングが合いにくいクラブを使い続けるとどうなるか?
おそらく、調子の波が大きくなったり、少し練習に行かないと当たらない不安に襲われ、実際にラウンドでも当たらないということが起こったり、前半と後半のスコアが大幅に違ったり、上達の妨げにもなることでしょう。
タイミングを合わせるためだけの練習はもったいないです!
練習は効率よく上達につながるような、そんなゴルフクラブを見つけていきましょう!
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ダグ・三瓶(だぐ・みかめ)
ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。
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