最初に手にしたクラブで上手くなれるかが決まってしまう?【クラブ選びの超知識】
初めてのクラブどう選ぶ?選ぶ基準は?
最初のクラブ選びだからこそ、慎重にならなければいけない理由とは? (写真/Getty Images)
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスを贈る新連載。ゴルフクラブを買う際に必要な「正しい知識」を教えてくれる!
前章で述べさせていただいたように、初心者の方が、これからゴルフを始めるに当たり、きちんとゴルフクラブを選ばなければならないということなんですが、では、具体的にはどうしたら良いでしょう?
いきなり、メーカーのフルクラブのフィッティングに行って買ってください!という話ではないです。
もちろん、それも一つの選択肢ではありますが、なかなかハードルが高いですよね。
フルセットで購入する場合には、それなりの予算も必要です。簡単に始められるとは言い難いと思います。
それでは、まずは、その初心者の方が、どのような基準でクラブを選んでいったらいいのか、を簡単にご説明していきたいと思います。
難しいゴルフ用語も出てきますが、それはまた別途ご説明します。
もしくは、わかる方に聞いてみてください。また、現在進行形でゴルフをされている方も、詳細は後述しますが、是非参考にしてみてください!
最初のクラブ選びで大事なことは「重さ」
最初にゴルフクラブを選ぶに当たり、最も重要な要素は「重さ」です。
短絡的に初心者なんだから、軽いほうが良いのでは?と進められることが多いですが、そんなに単純なことではありません!
やはり、その方々の体型や体力に合わせて、きちんと振りやすい重量というものを探してあげましょう。そして、この「重さ」は、前述しましたように、単に持ったときの「重さ」ではなく、振った時に重く感じるかということになります。
いわゆるC9やD2などで表わされるスイングウエイトに近いかもしれません。
この重さだったり、その他、長さや硬さなどをないがしろにして、適当に選んでしまうと、どうなるか?
症状としては、全く当たらなかったり、当たるようになるために時間がかかったりするので、ゴルフって難しい! と考え始めてしまいます。その結果、ゴルフが嫌になってしまうこともあるでしょう。
ゴルフというスポーツがこれだけ広まっている理由の一つとして、導入のところで躓くことが少ないということです。
ゴルフはやればやるほど難しさを感じるスポーツで、奥が深いものではありますが、導入、つまりは球を打つこと自体はそこまで難しくないはずなんです。
ですから、初心者だから当たらないというのが当たり前ではなく、初心者でも最初から打ちやすいものがあるはずというように考えていきましょう。
ここまで申し上げましたように、初心者だからこそ、クラブが重要で、かつ、長く楽しむためにも、きちんと選びたいです。
そのための知識武装をしてお店に行ってほしいです。
標準クラブに合いやすい身体的特徴
身長の基準は国産ブランド=170cm前後、海外ブランド=175〜180cm
国産ブランドにもよりますが、例えば7番アイアンの長さが37インチだとしたら、外国ブランドに近いスペックになります。
この身長に影響するのは、クラブの長さだけではなく、ライ角も考慮しなければなりません。
この基準になる身長より、低い方はライ角はフラットめ、高い方はアップライトめに調整することをオススメします。
ただ、なかなか、最初からライ角をいじってもらうのは抵抗感があるでしょうから、フラットが良いと判断された方は、長さを短くしてみましょう。
こうすれば、長さの問題も同時に解決できます。
クラブは多少短すぎても、最初のうちは逆に当たりやすくなって良いことが多いです。
ここで、バランス(スイングウエイト)を気にされる方もいらっしゃいますが、こちらも、スイングウエイトは軽く出ていたほうが、扱いやすいクラブになる方が大半なので、まずは切ったままで使い始めることをオススメします。
また、長さが足りない方、アップライトにしたい方は、調整してもらうか、もしくは、これも長さのときと同じ傾向で、どちらかというと、多少フラット目のクラブを使い始めたほうがスイングメンテナンスがしやすいことも多く、長く使えることが多いです。
力がある、ないの判断は?
最初は主観で大丈夫です!
ご自身の中で、重い軽いを判断しましょう!
自分で判断するのが難しい方は、今から述べる重量を参考にしてみましょう。
重量というのは、今現在は、ヘッド重量にそれほど差がないので、基本的にはシャフト重量で選ぶことになります。
ここでひとつゴルフで考える「力のあるなし」に関して言っておきましょう。
一般的な体力の持ち主というと抽象的ですが、日頃トレーニングをしているとかでも変わってきます。その場合には「力がある」と判断してください。
特にこれまでスポーツ遍歴もなく、日常生活ではあまり運動もしないという方は「一般的」と判断してください。
「一般的」な方は、シャフトで言うと、ドライバーで70g前後、アイアンで100g前後の重さにするのが良いと思います。
少しでも「力がある」方考えている方は、ドライバーで70g以上、アイアンは迷わず、ダイナミックゴールドくらいの重量にしていきましょう。
逆に力がないなと思っている方でも、ドライバーでも60g以下にしないほうがいいですし、アイアンでも90gくらいのものが良いです。
気づかれた方もいるかもしれませんが、よく言われている重量より、重めに感じるのではないでしょうか。
ですが、これより軽くなってしまうと、スイングの迷子になったり、他のクラブとのつながりが難しくなったりしますので、ここ基準に考えてみましょう。
女性の方はもう少し細かく見ていく必要があります。
普通の力があると考えている方は、ドライバーで50〜60g、アイアンで70〜80gを目指してください。力がないな〜と思っている方でも、力のある方からあまりかけ離れたスペックは良くないです。
ここは長さで調整するといいでしょう。
力のある女性の方でも、男性用スペックから最低でも1インチ以上短くしてください。
力のない方は、さらにそこから0.5インチ、トータルで1.5インチくらい短くしてみてください。
こちらも前述しましたように、スイングウエイトは気になさらずに。ここがポイントになっていきます。
なぜ、シャフト重量を軽くしすぎてしまうと良くないのか? 前述しましたように、今現在、販売されているクラブのヘッド重量はほぼ変わりません。
そうなると、シャフト重量が軽くなると、もちろん、全体重量は軽くなるのですが、クラブの重心位置は、ヘッド寄りになることが想像できると思います。
つまり、持ったときは軽く感じやすいのですが、振った時に、重く感じやすいクラブとなります。
ここまでお伝えしてきた、いわゆる、クラブに振られやすい状況は、シャフトが軽くてヘッド側が重く感じるクラブにおいて起きやすい事象です。
なので、できれば、ご自身で考えらているシャフト重量よりやや重めで、でも、その分、振りやすい長さ、重く感じない長さ=短くすることをオススメします。
スポーツ歴と本気度で選ぶクラブは違う?
次に、スポーツ遍歴です。
この中で、特筆すべきは、野球です!
特に、高校や大学などで、部活動や体育会などでしっかりと野球をやってきた方が一番特徴的で、クラブの選び方が一般の方とは全く逆になります。
具体的に言えば野球経験のない場合、ゴルフクラブは振ってて重いと感じながら始める方が多いので、軽めから選んでいき、どこまで重くできるか? という観点からクラブを選ぶことが多いです。
ところが、野球を本格的にやってこられた方は、ゴルフクラブは軽い!と感じながら始めることが多いです。それもそのはず、野球のバットに比べたらだいぶ軽いですよね!
そのため、ゴルフクラブは重ためから試していき、どこまで軽くできるかという方向からクラブ選びをする必要があります。
つまりは、思考の順番が、一般のゴルフクラブの選び方が、全く逆になるんです。
野球出身者の鉄板スペックもあるくらいです。
その他、各スポーツごとの特徴もありますので、それはまた、後日、ご説明していきたいと思っています。
以上、このように、まずは、ざっくりでいいので、ご自身が求めるべきスペックというのをまとめてから、クラブを探しに行って、可能であれば、実際に振ってみて、重さや長さの適性を確認してみましょう。
長さに関しては、短く持って振ったりすることをやってみてください。
その時に、自分にとっての適性の重さや長さがわかることが多いです。
シャフトの硬さ、実は重要です。
これはこれだけで話す内容が膨大になりますので、ここでは簡単に述べますと、「なるべく硬い」ほうが良いでしょう。
前述しましたように、シャフトがしなることが、タイミングを必要とします。
当てるだけでしたら、硬いほうがやさしいというのはご理解いただけると思います。
なので、初心者の頃は、やはり当たらないという要素をなるべく排除しておきたいので、硬めをおすすめする方が良いでしょう。
女性でも、男性もののR、一般男性50代くらいまでは S より硬いものから始めてください。
野球出身者のように、棒を振り慣れている方は、X から始めましょう。
また、いわゆる、先調子、中調子、元調子等と言われるものの選択も重要ですが、ここでは、先調子からはじめると良いと言うことを述べさせていただきます。
シャフトが硬いと難しい、と感じている方は、比較的始めてから時間の経った方が多く、自分の癖に合わなくなってタイミングが合わないから、という方が多いです。
なので、最初から、やや硬めのシャフトでスイングを作っていければ、シンプルな癖の少ないスイングになりやすいです。
ここまで述べさせていただいた初心者に対してのクラブ選びですが、では、どのくらいのクラブをどうやって選んだら良いのか? 次回はもう少し具体的なお話をしていきたいと思います。
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ)
ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。
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