【問題】

練習グリーン上で平坦な面か上り斜面にボール4個を等間隔で並べます。距離はパターの長さ、34インチとしましょう。打つボールの中心と1番のボールの中心が一直線に重なり、パターのフェース面がスクエアになるようにセットします。フェース面を変えることなく、4番のボール方向へストロークします。このときボールはどこに向かって転がりますか?

真っすぐの軌道でないとカップに入らない?

連載第2回目、今回も清永教授からの質問から始まる。

「今回は練習グリーンを使いましょう。皆さんが好きなボールはなんですか? タイトリスト? スリクソン? ちなみに私はブリヂストンを使っていますが、銘柄はなんでも構いません! 平坦な場所か上りの緩やかな斜面にボール4個を等間隔で並べてください」(清永教授)

4つボールを並べたらパターの長さくらいの距離に打つボールをセットする。

「実際に打つボールの中心と1番のボールの中心が一直線上に重なるようにセットしてくださいね。そして1番のボール方向へ打つようにフェースをセットしましょう」(清永教授)
“パッティング博士”の清水教授から教えてもらえるのだから、何のドリルかと思いきや、なんとこれが今回の挑戦状だった。

「では1番を狙ってフェース面を変えることなく、4番のボール方向へストロークしてください。そうですね、ストロークしにくいという人は、やりやすいようにスタンスも4番のボールへ打つつもり、つまりオープンに構えてもいいですよ。そして、いいですか、フェース面を返すことなく4番のほうへストロークしてボールを打ってください。こうやって打った場合、ボールはどこへ転がるでしょうか?」(清永教授)

フェース面を変えず「カット軌道」で打ったボールはどこへ? 4番のほうへストロークしているのだから、4番のほうへ行くのでは……。シャンクのようなミスになれば1番へ行くかもしれないが……。

「答えは2番です!」(清永教授)

ちなみにバレーボールは30度で飛び出す

研究室の学生とともにいろいろな素材といろいろなボールで同じ実験を繰り返した清永教授。ゴルフボールの場合は入射角45度の場合15度の角度で飛び出ていくが、バレーボールの場合は30度で飛び出すことがわかった。

フェース面さえ変わらなければアウトサイドインに振ってもボールはカップに入る!

清永教授はかつて元NASAの研究者でゴルフを科学的に解析した第一人者、デーブ・ぺルツ博士の著書を読んで疑問を持った。その研究結果によると「パターの入射角が10度の場合、ボールが打ち出される角度は2度」と書いてある。「なんで10度しかやっていないんだろう。角度を変えたらどうなるの?」

教授の疑問は大学の研究室のテーマとなった。実際にボールを使って0~45度まで5度刻み、1つの角度で10回試打、打面の素材は3種類、さらにバレーボールなど違うボールも使ってみた。その試打回数4200!

「14種類のボールを使いましたが、すべて定数がバラバラでした。これは素材の違いによるものです。この実験でわかったのは金属とゴルフボールの摩擦係数は1対3。もうお分かりですね! 短い距離であればフェース面がしっかりカップを向いていればボール4個分ストロークがズレてもボールはカップに入るのです」(清永教授)

本当にボールは2番に転がっていった!

この短い距離でカップを外して打ってボールはカップ方向に行くはずはない! 世の中によくある机上の空論ではないのか? 練習グリーンの平らな場所で実際に打って確かめてみたところ、ボールは本当に2番の方向へコロがって行ったのだった。

プロたちは感覚でわかっている?

プロたちの「お先にパット」を思い浮かべてほしい。短いとはいえ、まあまあいやらしい距離を簡単に打っているのを目にしたことがあるのではないだろうか。それもアウトサイドインのカット軌道のはず。短い距離を確実に入れる方法をプロたちは感覚的に知っているのだ。




解説/清永 明

福岡大学名誉教授。大学時代は九州学生選手権を3連覇。医師でありながらゴルフにまつわる現象を物理の目で分析。1メートルのパットが90%の確率で入るヨネックスの「トライプリンシプルパター」の設計者としても有名。