「ダウンブロー」は和製英語って知ってた? ついでに上から打ち込むってイメージも間違いです
ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第20回】
![森守洋](/images/articles/10010403/big_main10010403_20240411173126917069.jpg)
切れ味鋭いアイアンショットを放つには上からヘッドを打ち込んでいくイメージが強いが、ホーガンのボール位置はウェッジでも左足寄り。緩やかな入射角でもターフをしっかり削れるダウンブローの秘訣は、バウンスの使い方にある。
GOLF TODAY本誌 No.622 51~55ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ 取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫
ターフは【“薄く短く”】がホーガン流の大正解
地面の影響が少ないほど弾道は安定
「ソリッドな力強いインパクトを求めるならダウンブロー。確かにその通りですが、ダウンブロー=上から打ち込む、というイメージは間違いです」と森プロ。
元々「ダウンブロー」は和製英語で、「ディセンディング(下降しつつある)ブロー」という表現が欧米では一般的だ。
「ヘッド軌道は、飛行機が軟着陸するような緩やかなイメージが正解で、インパクトゾーンはほぼレベルブロー=払い打ちで良いです。打ち込みすぎず、地面の状態や芝の影響が少ないほど、打ち出し角やスピン量も変わりにくく、弾道が安定するようになります」
このことから、ターフが厚く、長く削れるのはNGだという。
「ホーガンのショットもスピンの効いた低弾道だったことから、上から打ち込むイメージが強いようですが、実際は振り抜き重視のほぼレベルブロー。だから、ボール位置も常に左足寄りでした」
円軌道とフェースターンが角張らないターフ跡を描く
![スクエアヒットをイメージして、短冊のような長方形のターフを取るイメージはNG。円軌道に従って楕円状に削れるのが正しい。](/images/articles/10010403/big_5965530_202403071523288730061.jpg)
![上から鋭角に打ち込むと、地面の硬さや芝の抵抗で弾道がバラつきやすくなる。緩やかな入射角でとらえるほうが安定しやすい。](/images/articles/10010403/big_5965531_202403071523413605111.jpg)
ホーガンが示したターフ跡は短かった
![著書『パワー・ゴルフ』に掲載されたホーガンのターフ跡のイラストを見ると、短いのがわかる。「わずかボール1個分、前方に最下点があるイメージです」](/images/articles/10010403/big_5965533_202403071524030637431.jpg)
【レベルブロー】に近づくホーガン流4つの原則
![ホーガン](/images/articles/10010403/big_5965535_202403071524190518171.jpg)
原則(1)「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」の徹底
「頭を後方に残すことで、上からではなく横からヘッドを入れていく動きになります。ただし、スイング軸は右傾しないように」
原則(2)「サイドスロー」の感覚を生かす
![原則(2)「サイドスロー」の感覚を生かす](/images/articles/10010403/big_5965539_202403071525325744361.jpg)
「右腕の動きにサイドスローの感覚を持たせると、ヘッドを地面ではなく目標方向に振る動きになります。スナップも入ります」
原則(3)「左足カカト内側線上」のボール位置
「ホーガンはウェッジでもスイングセンターより右にはボールを置きませんでした。このことからも、上から打ち込みすぎる動きを排除していたことがわかります」
原則(4)「たぐり動作」でより緩やかな軌道に
![原則(4)「たぐり動作」でより緩やかな軌道に](/images/articles/10010403/big_5965544_202403071526189263011.jpg)
「左手首が盛り上がるような“たぐり動作”でグリップエンドを引き込むと、ヘッド軌道はより直線的になり、入射角もさらに緩やかになります」
刃先は回転で下げる。バウンスを【“コロがす”】タテ回転をイメージ
フェースターンで下がる刃先がターフを削る
イメージ(1)ヘッド重心が軸のターンで進行する
![イメージ(1)ヘッド重心が軸のターンで進行する](/images/articles/10010403/big_5965549_202403071526577858101.jpg)
「フェースが開いた状態=バウンスから接地、打球直後からフェースが閉じて(立って)、刃先(リーディングエッジ)が地面にくい込んでいく動きをイメージ。ヘッド重心はレベルに抜けていくイメージで正解」
イメージ(2)ややヒール寄りのバウンスから接地
「噛み気味にヘッドが入っても、フェースが開いていれば刃先は刺さらないので問題なし。バウンスが前方に“コロがる”ように地面を押さえこむイメージで。ヒール後方から刃先の中央に接地点が移るイメージでターンを促します」
![イメージ(2)ややヒール寄りのバウンスから接地](/images/articles/10010403/big_5965553_202403071527280438611.jpg)
イメージ(3)バウンスで着地するインパクト
「レベル軌道をイメージすると、ハンドファーストで刃先から入れがち。フェースを開いてバウンスを着地させてヘッドのタテ回転を促すイメージがベターです」
![イメージ(3)バウンスで着地するインパクト](/images/articles/10010403/big_5965556_202403071527520516261.jpg)
【オープンフェース】から“たぐり動作”でつかまえる
立てながら回す動きならザックリしない
![立てながら回す動きならザックリしない](/images/articles/10010403/big_5965559_202403071528408843581.jpg)
「フェースターン=ヘッドのタテ回転は〝抜けの良さ〟にもつながります。フェースが開き気味ならバウンスから着地するので、ザックリになりません」
ウェッジに限らずアイアンにもハンドファーストでザックリしないよう、通常4度前後のバウンス角が設けられている。
「私の師匠の陳清波は、わずかにオープンフェースでボールをとらえ、潰れたボールが離れる時にスクエアになるイメージでドローを打っていました。また、積極的にフェースターンを促せるよう、ウィーク気味のスクエアグリップを採用。著書『近代ゴルフ』で〝ダウンブロー〟を広めた達人ですが、この技術のおかげでシニアになっても飛距離、弾道の力強さはほとんど落ちませんでした。
このヘッドのタテ回転を覚えるには7番アイアンの〝ワッグルアプローチ〟練習が有効です。フィーリングをつかんでください」
![インパクト直前までフェースは開き気味。“たぐり動作”でつかまえる動きを覚える。](/images/articles/10010403/big_5965561_202403071529267105051.jpg)
![あらかじめシャットフェース気味につかまえようとすると、上から打ち込む動きになる。](/images/articles/10010403/big_5965562_202403071529267427641.jpg)
7番アイアンでワッグルアプローチ
![7番アイアンのフェースを30度ほど開いて構える。ワッグルアプローチの要領で、インパクト直前の“たぐり動作”でフェースターンを促し、打球を真っすぐ飛ばしてみる。](/images/articles/10010403/big_5965564_202403071529418908991.jpg)
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガンアナリスト 森 守洋
![森 守洋](/images/articles/10010403/big_5965757_202405161844235111041.jpg)
ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
![](/images/articles/10010560/big_main10010560_20240405164204037473.jpg)
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