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ピンまで150ヤード。ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーが7番アイアンで乗らないのはなぜ?

吉本巧のゴルフギア教室 第10回

2024/04/13 ゴルフサプリ編集部

ピンまで150ヤード。ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーが7番アイアンで乗らないのはなぜ?

毎年たくさんの新しいギアがデビューするゴルフマーケットで自分に合った一品を選ぶのは至難の業。噂に流され手を出したら大失敗! という話もよく耳にする。安い買い物ではないだけに、セレクトミスは絶対避けたいところだ。こんな状況で役に立つのは正しい知識。道具はもちろんゴルフのテクニックについて正しく理解していれば惑わされない。ということで生まれた、ゴルフのメカニズムに精通したコーチ・吉本巧がギア目線から森羅万象を解説するこの企画。今回のテーマはピンまで150ヤードを何番で打つか。乗りそうで乗らないワケを教えます。
写真/ゴルフサプリ編集部

平均距離でゴルフができれば今のままでも10打よくなる

みなさんは平らで良好なライから150ヤード先のピンを狙う時、どのクラブを使いますか? 「150ヤードは7番アイアン」と言われているので、そうしている人も多いと思いますが、どうでしょう? それでグリーンをとらえられているでしょうか? ハッキリ言いますが7番アイアンで常時150ヤード打てるアマチュアゴルファーは、全体の3割くらいしかいません。

それにもかかわらず「150ヤード=7番」と言われます。なぜ、そんな説が広まったのか。僕は飛距離の基準を作るのが練習場だから、と結論づけました。7番は練習でよく使われるクラブです。下が硬めの練習場でボールが止まったところが150ヤード付近。あるいはネットに150ヤードを示す看板みたいなものがあって、そこに当たった。で「7番は150ヤード」となり、やがて、そうでなければいけないみたいに迷信化したのだと思います。いずれにしても150の元ネタは、キャリーとランのトータル距離。番手ごとの飛距離はキャリーで割り出すのが基本ですが、背伸びしたいし、見栄もあるのでトータル距離を言うようになったのでしょう。

それはさておき、仮にランを入れて7番で150ヤード打てたとしても、コースではショートするのがオチです。例えばグリーンエッジまで140ヤード、そこからピンまで10ヤードでトータル150ヤードだとしたら、手前にバンカーがあればキャリーで入る可能性が高い。ラフに落ちてグリーンに乗らないことも多いでしょう。つまり、番手の飛距離をキャリーとランのトータル、かつ最大飛距離で割り出しているのです。番手による飛距離は平均飛距離で割り出さなければいけません。平均距離でゴルフができれば、今のままでも10打よくなります。

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平均飛距離を150ヤード程度にしないと150ヤードは乗らない

今回のテーマで言うなら、ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後の平均的なアマチュアゴルファーが、平らで良好なライから150ヤード打つ場合、適正番手は6番になります。

というのも、アマチュアの方が7番で10回打ったとしたら、ランを入れても150ヤードをオーバーするのは統計的に1~2球。前述したように大体がショートします。これは7番の平均飛距離が140ヤード程度であることを示しています。これだと圧倒的にグリーン手前のエリアに行くことが多いわけで、手前にハザードがあれば間違いなく捕まることを意味しているのです。

そこで、ボールが止まるエリアをもう10ヤード先にしたい。言い換えれば、平均飛距離を150ヤード程度にするには、時には160ヤード打てないといけないことになります。160もあって140もあって平均が150ヤード程度になるわけですからね。7番で160ヤードとなると、さすがに「オレも、オレも」とはならないでしょう。

つまり、自分の飛距離を統計的に見て、なるべくピンに寄せたいと考えた場合、平均的なヘッドスピードの方が150ヤード打つなら6番になるのです。こうすることで160ヤードは10回に1回程度で、7~8回は150ヤード近辺になる可能性が高い。160ヤード打てたらスイングが良すぎたということ。70~80点のスイングでも150ヤード打てるクラブを選ぶことが、この距離から確実に乗せる必要条件になるというわけです。

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ひとつの目安として150ヤードはアイアンで打ってほしい

中には6番に不安がある人もいるでしょう。そんな人は、まず7番の長さに持ちましょう。親指1本分ほど短く持つことでミート率が上がります。6番と7番を同じ長さにする手もあります。長さが同じになると、短く持った時と同様にミート率が上がりますから、ロフトが立っているぶん飛びます。飛びすぎも防げるので、かえっていいかもしれません。もちろんUTを使う手もあります。6番よりスピンは入らないかもしれませんが、打ち出し角が高いので、結果的には大きく変わらないと思います。そうなると好みで、あるいは成功確率の高い方を選べばいいでしょう。

でも、ひとつの目安として150ヤードはアイアンで打っていただきたいと僕は思っています。その方がコントロールしやすいですし、ヘッドスピードが30台後半~40台以上あれば打てるからです。また、このヘッドスピード帯の人がUTの導入を考えた場合、適正ロフトが30度以上になってしまいます。そうなるとなかなかモデルがないのが現状。将来のことも考えて、アイアンは6番まで死守していただきたいので、短くしたり、ポケットキャビティでもいいのでアイアンを使ってほしいところです。

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アマチュアの方の場合、当たった時と当たらなかった時の飛距離差が20ヤードくらいあります。オーバーとショートの差が大きいため平均値を見なければならないのですが、実は飛距離差がわずかしかないプロでも、その辺は結構考えています。ベタピンに寄った時には、狙ってそうなったケースと結果的にそうなったケースがありますが、半分くらいは後者。池越えでベタピンでも、実は左を向いて池を避けたら、ちょっとつかまり損ねてフェードで寄った、みたいなことがよくあるのです。ミスに対する保険のかけ方がうまくて(それがマネジメントでもあるのですが)、そう考えると、よほどアマチュアゴルファーの方がギャンブラーです。

最後にあえて付け加えますが、本当にうまいゴルファーは残り距離だけでクラブを選びません。もしかしたら距離は最終的な要素で、いずれにしても距離から入ることはありません。ボールのライであったり、ピン位置だったり、その日の自分の調子やショットの傾向などが選択基準の上位にきます。カートのナビでピンまでの距離を確認し、番手を1本だけ持って行くアマチュアの方をよく見ますがあり得ない。それで打つしかなくなる、なんてことになったらもったいないことこの上ありません。2~3本持って行ってから考えればいいのに……といつも思っています。

吉本巧

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。


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