ゴルフの乗用カートに乗った時、隣の人の匂いが気になったことある?
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第106回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
カートは人との距離が近いので、ちょっとだけ注意が必要かも
「大人で優しいし、ゴルフも上手いし、本当に良い人なのだけど、ダメなんです」
若いゴルファーから特定の先輩ゴルファーと同組にしないで欲しいという要望があったそうです。老若男女が集う大きなサークルの幹事をしている人から聞きました。
「加齢臭が我慢できないのです」
理由を聞いて、その幹事もドキッとしたそうです。
昔は、匂いが原因で不愉快になるという事例は、ゴルフではごく少数のレアケースでしたが、近年のゴルフシーンでは、実は、深刻な問題として多発しています。
原因は、乗用カートです。無意識ですが、カートに乗ったときの他者との距離は、かなり親密な関係でなければ許されないほど近いのです。
レストランのテーブルでは気が付かないような匂いも、ゴルフの乗用カートであれば、感じてしまうというわけです。
加齢臭だけではなく、口臭、脇の匂い、汗臭い、服の匂い、足の臭さ、調べてみると、実に多くの不愉快を感じさせる匂いがあります。
匂いは“見えない迷惑”として、ゴルフでも大問題なのです。
この迷惑の厄介なところは、匂いを発している本人には自覚がないことです。
だからというわけではないですが、「臭いよ」と伝える側も、相手を傷つけないような注意が必要で、問題解決まですんなりといかない現実があります。
匂いを消すか、足すか、それとも全く別の発想か
オールドゴルファーになれば、大なり小なり、何らかの迷惑な匂いを発しているものだと考えるのが正解なのだと考えます。自分だけは大丈夫、という油断が、“同組NG”という不名誉を増やしていると思うからです。
今回は、体臭に絞った対策を考えてみます。
汗腺や皮脂腺などの身体の仕組みが原因で匂いを発している場合、調べてみると、日帰りできるような簡単な手術で医学的に匂いの元を絶つことができます。
脇や汗臭さが手術で抑えられるのは有名ですが、加齢臭を抑える手術もあるそうです。
そこまで大袈裟にしなくとも、と考える人が多いと思います。
皮膚科の医師に確認をしましたが、ほとんどの体臭は、匂い対策をしているボディソープなど使用して、洗い残しのないように身体を洗うことで防げるということでした。
プレー前に、デオドラントを使うことも効果があり、携帯用の汗拭きにデオドラント効果があるものをプレー中に使うこともオススメということでした。
「喫煙、飲酒、食べ物などの生活習慣も体臭に影響します。それらの見直しも検討して欲しいですね」
最後に皮膚科の医師が強調していました。耳が痛いです。
注意をしたいのは、香水などを使って、匂いを消すという発想です。
香水が苦手で、不愉快という人も多いからです。強い香りで隠すという方法は、本末転倒になってしまう可能性があるので注意しましょう。
以外に見落としがちなのは、ウェアです。
防臭効果があるウェアもありますが、洗濯方法などで洗っても匂いの元が取れていないケースもあるようです。匂ってしまうタオルが買い替えないとダメなように、匂ってしまうウェアも交換するのが得策だとのことでした。
また、ベストやアウターなど、頻繁に洗濯しないウェアに匂いが染みついてしまっていることもあるそうです。首回りを嗅げば、本人でもわかることがあるそうなので注意しましょう。
臭いと言われないためには一緒にゴルフをしなければOK?
「臭いおじさんが嫌なら、一緒にプレーしなければ良い。こっちから願い下げだ」
憤るオールドゴルファーもいますが、それを言ったらお終いです。
互いに心配りをするからゴルフの楽しさは成立するのです。
先日、ゴルフコースの関係者から聞きました。
「タイガーバームを塗っているお客様だけが、虫刺されの被害に遭わなかったので、キャディの一部で実験したら、ちゃんと効果があったんですよ」
タイガーバームは、塗る鎮痛消炎剤です。愛用者がたくさんいますが、塗ると強いハッカ臭がすることが特徴です。
虫除けがあまり効かないブヨなどの害虫が、ハッカの匂いを嫌うことは有名ですから、タイガーバームを塗ることが虫除けになるという方法は、実験するまでもなく、アリだと思います。
ちなみに、僕はウェア用の冷感スプレーを夏場は愛用しています。これもハッカに似た強い匂いがしますが、ブヨの被害とは無縁で何年も過ごしています。涼しさを増して、虫除けになる一石二鳥だと思ってきましたが、知らないうちに、匂い隠しの効果にも助けられる一石三鳥になっていたのかもしれません。
脳科学者の話では、五感の中で嗅覚が最も記憶と深いところで結び付くそうです。本能的に嫌なものは嫌というのは嗅覚と関係しているとか。
匂いに少しだけ敏感になって、記憶に残る楽しいゴルフをするようにしたいものです。
今年の僕の夏ゴルフも、ハッカの匂いに包まれそうです。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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