渋野日向子はバーディ！鶴岡果恋は2日後失格……。先週ツアーで起こった二つのルールをおさらい！
全米女子オープン3日目、しぶこにはルールの神様が微笑んだ。（写真は2024年 全米女子オープン 撮影／Getty Images）
「全米女子オープン」ではカップの淵に止まりかけた渋野日向子のボールが「14秒後」にカップインしてのバーディ。また国内女子ツアーの「ヨネックスレディス」では鶴岡果恋が試合から2日後に「過少申告」で失格になった。この二つはなぜ起きたのか。
ルールでは「待てるのは10秒」だが……
「全米女子オープン」3日目の14番、渋野の約10メートルのバーディートライはカップの淵で止まったかと思われました。それが約14秒後にカップイン。
ゴルフ規則13.3aでは、ボールがカップのホールにせり出している場合は10秒間待つことが認められています。
さらに「ホールに歩み寄るための合理的な時間」も加えられます。入りそうだからと10メートルに1分もかけるようなことはダメですが、普通に歩み寄るための時間は「10秒」にカウントされないので「14秒後のカップイン」となったわけです。
ここがパーだと単独2位が3人の2位タイとなっていたので、まさに大きな1打でした。
試合から2日後に「過少申告で失格」となった鶴岡果恋
「ヨネックスレディス」最終日の17番パー４で、鶴岡のティーショットは右のＯＢ方向へ。そのため「暫定球」を打ち、こちらはフェアウェイへ。
ところが鶴岡はこれを「元の球」（最初のティショットのボール）と思い込んでしまい、2打目としてプレー。グリーンに乗せて2パットの「４」でスコアを提出しました。
実際には「暫定球」をプレーしていたので4打目で乗せて２パットの「６」が正しいスコアなので、過少申告となりました。
なぜ「暫定球」を「元の球」と思い込んでしまったのか
大きく打ち下ろすヨネックスカントリークラブの17番はティショットの着弾地点が見づらい地形です。
当日は大雨でさらに見通しが悪く、ボールがどこに行ったか目視で確認はできなかったと思われます。鶴岡は暫定球を打つ前に、最初のボールと区別が付くように印をつけました。さらに次のショットの前にもボールを拾い上げて確認（この行為はルールで認められています）しましたが、印が消えていたために「元の球」と思い込んでしまいました。
映像を見た関係者が指摘
ですがこの時の映像を見ると暫定球をプレーしているようにしか見えません。配信でも「4打目」のテロップが出ていました。そのため発表された成績（スコア）との違いに気づいた関係者がJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)に指摘。競技委員が映像を確認するとともに状況を様々に精査。鶴岡本人にも話を聞きました。
選手、関係者ともに試合後はコースを離れていたため作業に時間を要しましたが、ゴルフ規則20.2e(2)「競技が終了した後であっても、プレーヤーが、１ホールでも実際のスコアより少ないスコアを提出した場合はそのプレーヤーを失格としなければならない」に基づき最終日2日後の４日に失格となりました。
どうすれば防げたのか
ゴルフ規則18.3c(2)ではボールが元の球か暫定球か区別できない時は暫定球として扱われる、となっています。
あるいは区別のための印をもっとしっかり（大きな）ものにする。ボールのナンバーを変える。
さらにはスコアを提出する前に競技委員に状況を説明して処置の指示を仰ぐ、といったことをしれば失格という事態は防げた可能性もありました。
失格により当初発表された9位の成績のポイントも賞金もゼロに。
鶴岡は「嘘をつこうなどゴルフ人生で一度も思ったことも感じたこともありません」とのコメントを発表しました。
だからこそ慎重に行動していれば、と悔やまれるところです。
（取材・文／森伊知郎）
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