「パットのヘッド軌道がわかる!」スマホとテッシュの箱でできる簡単チェック法
ゴルフの常識を疑ってみよう。「ボールを見続ける」は本当に必要か?|清永教授からの挑戦状 Vol.7
ゴルフの原理原則を疑い、分析した清永教授の常識を覆し、上達スピードが速まる理論を紹介!
ゴルフトゥデイ本誌 626号/122~123ページより
解説/清永 明
〈問題〉
パッティングストロークを撮影し、そこからわかるパッティングの基本を導き出しなさい
スマホを使って実験。映し出されたものは?
清永 今日はみなさんには自分で実験をしてもらいましょう。
GT 私たち一般人には大学で使うような実験道具はありませんよ。
清永 大丈夫です、スマートフォンは皆さんお持ちでしょう。そして写真も動画も、撮り慣れていることでしょう。
GT スマホを使うのですね? どう使いましょう?
清永 1mの角材、それかティッシュの箱を4つほど並べましょうか? なければ真っすぐがわかるものを準備してください。
GT はい、セットしました。
清永 ではそれを前にしてヘッドを少し離してアドレスしてください。アドレスしたら、まずカメラの位置をトウ側にセット。そして動画を撮りながらゆっくりと素振りを10回してみてください。それが終わりましたら目を閉じて、同じように素振りをしてみてください。
GT はい。やりました!
清永 できましたらパターの位置はそのままでカメラの位置をフェースセンターにセットします。先ほどと同じように素振りを10回ずつやってください。
GT はい、やりました。
清永 最後にカメラの位置をヒール側にセットして、また録画しながら同じ動作を繰り返します。
GT はい、すべて終わりました。
清永 すべてのストロークが録画できましたら、どんな動画が撮れているか見てみましょうか。見て気づくことはありませんか?
GT 緊張してブレることもありますが、だいたい一定の軌跡かと思います。
清永 その軌跡は、どうなっていますか?
GT 目の前に直線を示すものもあり、それに沿ってヘッドを真っすぐ動かしているつもりですが、弧を描いています。
清永 その通り! パターのフェース側中心点の動きを「ストローク線」として表現します。この実験で「ストローク線」は決して直線ではなく、間違いなく円軌跡だということがわかるでしょう! 個人差は円軌跡の半径の大きさの違いだけです。
清永 背が高い人や長尺シャフトの使用者は身長が低い方や短尺シャフト使用者より半径の大きな円軌跡なので直線に近く見えます。ですが、見えたり感じたりしても決して直線ではないことを理解してください。
GT でもプロをはじめ、特にショートパットは真っすぐの軌道に修正するよう練習している人が多い気がします。
清永 医師としての私が恐れることはそのようにストローク線を直線だと思い込んでパッティング練習をするゴルファーです。間違った軌跡を正しいと思って練習するわけですから、努力をすればするほどその努力が実を結ばず、時間経過と共に自己不信に至ってしまい、結局「イップスという病」に罹患される方がおられるからです。
ボールを見ることに固執してはいけない
GT 確かに! 円軌道ということをきちんと理解すればショートパットも入るようになりますか?
清永 パッティングストロークが正しい軌跡を描こうとしても小手先でヘッドを調節したりすると、フェース面が大きく開閉し、かつストローク線も本来の通過点を外れる可能性が高くなります。以前述べましたようにパッティングストロークとしては振り子運動を選択する方が合理的です。その際「振り子の要」を体のどの部位にするかを決めたほうがいいです。
GT どこがいいのですかね?
清永 首根っ子(解剖学的には第7頸椎=隆椎:首の後方で突起している部分)を要とする方法です。振り子の長さが長い方を選択すると身体の慣性モーメントも大きくなり、小手先の細工が効きにくくなり、結果としてストロークが安定します。これを称して「隆椎を中心とする傾斜付き振り子運動」と清永が命名しました。
清永 では、そのほかにわかることはありませんでした?
GT え? まだあるんですか?
清永 「目を閉じること」、これがこの実験での重要な課題です。
GT 開眼時と閉眼時でストロークがほぼ変わらない……。
清永 その通り! ということはパッティング中「ボールを見続ける」ということは必要ないということがわかります。
GT そういえば、かつてジョーダン・スピース選手がカップを見て打っていました。
清永 はい、この実験を通してもパッティングの秘訣は「フェースの向き」と「スイートエリアの動き」そして「バックスイングの大きさ」、この3点がパッティングにとって大事だということがわかります。
これを3次元で意識できるようになると驚くほど上達することでしょう。
GT ボールを見るということに縛られなくていいと。
清永 動画を見たら一目瞭然! 「一見は百聞に優る」「パッティング中は止まっているボールを見るな、フェース面の動きを見よ、感じろ」です。
スマートフォンを使ってストロークを撮影!
パット上達のために知っておきたいこと
●パッティングのストロークは曲線
●ボールは見るな! フェースの動きを見よ!
解説/清永 明
福岡大学名誉教授。大学時代は九州学生選手権を3連覇。医師でありながらゴルフにまつわる現象を物理の目で分析。1メートルのパットが90%の確率で入るヨネックスの「トライプリンシプルパター」の設計者としても有名。
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